オリジナル教材「中学理科が身につく 小学生の国語読解」を作った理由
「知りたい」を入口に、国語の読解力と中学理科の土台を育てる。
この記事の目次
国語の勉強を通して、文章を読む力を育てたい。けれど、せっかく時間をかけて読むのなら、その文章から得た知識も、子どもの中に残るものにしたい。
そんな思いから、みや塾では、小学生教室で使用するオリジナルの国語読解教材を作っています。
教材の名前は、『中学理科が身につく 小学生の国語読解 生物編』
※ 化学編・物理編・地学編も制作予定
目指しているのは、小学校卒業までに「大人のサポートがなくても、自分自身で教科書を読み解くことができ、同時に理科の幅広い教養を身につけられている子を育てること」です。
1.「勉強しなさい」の前に、そもそも勉強する土台はできているのか
日々の指導の中で、気になっていることがあります。
それは、中学生になっても、文章を読むこと自体に大きな負担を感じている子がいることです。大人が横について一緒に読めば進められるのに、一人になると学習が止まってしまう。そうした場面に多く遭遇します。
教科書を開いていても、何について説明しているのか、どの言葉が大切なのか、どの情報を使えば問題が解けるのか、そもそも自分が何をすればいいのか分からない。
私は、こうしたつまずきを、本人のやる気や努力だけの問題にしてはいけないと考えています。
「勉強する力」の手前には、「文章を読んで理解する力」が必要です。
だからこそ、小学生のうちから、文章の中にある情報を取り出し、つながりを考え、内容を理解する練習をしておきたい。これが、教材づくりの出発点でした。
2.小学生の国語は気持ちや感性の読み取りに比重を置きすぎる
国語の教材を選ぶ中で、以前から感じていた疑問もあります。
例えば、『ごんぎつね』のような物語を読み、登場人物の気持ちを考える学習。人物の自伝や昔の体験を読み、その思いを想像する学習。
私はこうした学習に価値がないと言いたいわけではないですが、率直に言えば、気持ちや感性の読み取りに比重を置きすぎる、いわば小学生の国語学習の中心である「情緒国語」には問題があると感じています。
「名作であること」と「子どもが読みたくなること」は別です。
せっかく好奇心が旺盛な小学生の時期であるなら、教材を用意する側も、「子どもが知りたくなる内容か」をもっと考えるべきだと思います。
「気持ちを考える力」と「説明を理解する力」を、同じものにしない
もう一つは、育てたい力との関係です。
登場人物の心情を考えることと、教科書の説明を読み、用語の意味や条件、理由を理解すること。同じ「読む」でも、学習で焦点を当てるところは異なります。
「どう感じたか」「どんな気持ちだったか」を考える学習は確かに大事ですが、それ以上に重要なのは「何が書かれているか」「なぜそう言えるか」「どの説明が根拠になるか」を確かめる練習です。
みや塾が限られた授業時間の中で重点的に取り組みたいのは、後者の論理的な読解能力です。
筆者が期待している気持ちを何となく当てるのではなく、本文のどこを読めば、なぜその答えになるのかを説明する。そうした国語の学習を、はっきりと形にしたいと考えました。
わかりにくさを、読み手だけの責任にしない
気持ちを読み取らせる文章には、書いていない内容を推察させる問題が多くあります。
この時、「読めないのは読解力が足りないから」と、読み手の問題として考えるのではなく、書き手が相手に伝わるようにきちんと説明しているか、という視点も必要だと思います。
子どもに正確な読み取りを求めるなら、教材を作る側も、理解できるように伝える努力をする。
内容を薄くするのではなく、理由や仕組みをたどれる文章にする。その文章を丁寧に読めば答えを考えられる問題にする。この点も、制作で大切にしています。
3.そこで、国語の題材に「中学理科」を選びました
今回の教材では、公立中学校で学ぶ理科の内容を、国語読解の題材にしています。
生き物の体のつくり、植物の働き、体の中で起きていることなどを文章で読み、問題に答えます。理科の知識を教えるだけでなく、その説明を理解する過程そのものを、国語の学習にしています。
解いて終わりではない。繰り返し読み、覚える価値がある
中学理科を題材にする大きなメリット
①文章自体を理解することが教養へとつながる
②子供たちが日常、疑問に思う題材を取り上げる事で好奇心を刺激し、高いモチベーションで学習に取り組める
例えば、「根はどのように水や養分を吸収するの?」という文章。これに取り組むことで、植物の根にはなぜ太い部分に細い毛のような部分が無数についているのか、という日常的な疑問に小学生の段階から答えられることができます。
このような教材を生物編から始まり、化学編・物理編・地学編、合わせて100題を小学校卒業までに2〜3周繰り返し演習させます。
理科の文章を通して、「教科書の読み方」を練習する
この教材では、文章の中から、「これは何か」「何と何が違うのか」「なぜそうなるのか」「全体として何を説明しているのか」を読み取ります。
例えば、専門用語が出てきたら、その意味を説明している部分を探す。二つのものを比べているなら、共通点と違いを分ける。理由を問われたら、原因と結果のつながりをたどる。
「大事そうな言葉に線を引いた」で終わらせず、言葉どうし、文どうしの関係まで考える練習です。
私が目指しているのは、「知っている単語が増えること」と同時に、「説明をどう読めば理解できるかがわかること」です。中学理科の内容を使うことで、その後に読む教科書につながる練習にしたいと考えています。
教科書を読める力を、他教科の学びにもつなげたい
文章を根拠に内容を理解する練習は、国語と理科の時間だけで終わらせたくありません。
例えば、社会では、出来事の原因や結果を説明した文章を読む。算数では、文章題に書かれた条件を整理し、何を求めるのかを確かめる。こうした場面にも、説明や問いを丁寧に読む姿勢をつなげていきたいと考えています。
もちろん、教科ごとの知識や練習も必要です。それでも、自分で教科書を読み返して内容を確かめられることは、自学の大切な支えになります。
「誰かに説明してもらう」だけでなく、「自分で読んで確かめる」という学び方を持ってほしい。
国語の教材を通じて、他教科の学習にもよい影響を広げたいと考えるのは、そのためです。
4.「このテキストなら宿題をたくさん出してもいい!」
1年ほど前から、理科の題材を取り扱った教材を試験的に取り入れて、塾生の反応を見てみたところあまりの反応の良さに驚いています。
小学生の子供は好奇心旺盛です。日常的に「知りたい!」と考える、この時期の欲求を上手く活かすべきです。
「カエルの卵とトカゲの卵は何が違うの?」
今後のシリーズでも、「使い捨てカイロはなぜ温かくなるの?」「昼なのに太陽が消えるのはなぜ?」といった題材を制作していきます。
「読解の練習をするために読む」だけでなく、「その答えを知りたいから読む」
塾生がこんな思いでこの教材に取り組んでくれることを目指して制作しています。
5.すべての漢字に読み仮名をつけました!「読めない」で、学びを止めない
もう一つ、見た目には地味ですが、私が非常に大切だと考えている工夫があります。
教材の漢字には、すべて読み仮名を付けています。
中学理科の内容には、小学生がまだ習っていない漢字や、初めて出会う言葉も出てきます。そのたびに読み方がわからず止まってしまっては、内容を考えるところまで進みにくくなります。
ここで分けて考えたいのは、「漢字が読めないこと」と「文章の内容を理解できないこと」は、同じではないという点です。
知らない漢字があるという理由だけで、その先の説明に触れる機会をなくしたくありません。
読み仮名があれば、知らない漢字に出会っても、まず言葉として読んで先へ進むための手がかりになります。読み方を大人に尋ねなければ進めない場面を減らし、本文の意味や仕組みを考えることに時間を使ってほしいのです。
漢字の読み書きを練習する時間は、別に必要です。しかし、この教材の目的は、読めない漢字でつまずかせることではありません。
「まだ習っていない漢字があるから読めない」ではなく、「読み仮名を使えば、自分で読んで考えられる」。
その状態を用意することに、大きな学習上の意味があると考えています。
6.答えだけでなく、「どこを読んでそう答えたか」も残す
教材の内容と同じくらい大切にしているのが、授業での取り組み方です。
みや塾では、問題に答えたら、解答と、その根拠にした本文の箇所を、子ども自身に必ず線で結ばせています。
「どこを読んで、その答えを書いたの?」
この問いに、答案を見ながら答えられるようにするためです。
子ども自身にとっては、自分の答えを本文に戻って確かめる手がかりになります。講師にとっては、子どもがどこを根拠に選び、どう答えに結びつけたのかを見る手がかりになります。
例えば、答えが違っていたとしても、根拠にする場所を取り違えているのか、場所は合っているのに説明のつながりを読み違えているのか、あるいは答え方に課題があるのかで、確認すべきことは変わります。
線だけで理解のすべてがわかるわけではありませんが、答案と合わせて見れば、子どもに確かめるべき点が見えてきます。
正解かどうかだけでなく、何を根拠に、どう答えたのかまで確認する。これを、みや塾の国語指導では大切にしています。
7.全問、自分で書く。最後は、文章全体をまとめる
選択肢を入れず、本文から答えを作る
この教材には、選択肢問題を入れていません。抜き出し、文完成、理由説明など、すべて子どもが自分で書いて答える形式です。
選択肢をなくした理由は明確で、塾生が考えずに答えを書くことを防止するためです。
加えて、そもそも選択肢問題の良くない点として、誤った選択肢を読ませる時間が無駄であることが挙げられます。
誤った内容を含む選択肢を読むことよりも、理解して身につけてほしい本文を読み込み、そこから答えを作ることに時間を使いたいと考えています。
すべての問題に長い文章で答えるわけではありません。短い語句を書き出す問題もあります。そのうえで、「この中から選ぶ」ではなく、「本文から探して、自分で書く」ことを積み重ねます。
最後は、タイトルの疑問に短く答える
各題の最後には、必ずまとめ問題を置いています。
これは、読んだ感想を書く問題ではありません。タイトルに示された疑問に、本文をもとに短く答える問題です。
例えば、「カニやエビはなぜ昆虫と近い仲間なの?」という問いなら、「節足動物」という言葉を見つけるだけでは足りません。
関節のある足をもつこと、体の外側に硬い外骨格があること、足の数や体の分かれ方が違っても共通するつくりから同じ節足動物に分類されること。そのつながりを捉え、必要な内容をまとめます。
「この文章は、結局何を説明していたのか」
そこまで言葉にして、初めて一つの題材の学習が終わります。文章の一部分を正しく読む力と、全体の中心を捉える力の両方を育てたいと考えています。
8.楽しさを入口に、教科書から自分で学べる子へ
今後は、生物編に続いて、化学編・物理編・地学編も制作する予定です。
取り上げる分野が変わっても、教材づくりの軸は変わりません。
目指しているのは、小学校卒業までに「大人のサポートがなくても、自分自身で教科書を読み解くことができ、同時に理科の幅広い教養を身につけられている子を育てること」です。
みや塾での学習が、塾生の豊かな人生を切り開く一助となってほしい!
そんな思いで、みや塾では、教材づくりと日々の指導を進めています。

