【どこよりも分かりやすい!】都城高専に進学したら将来なにになれるのか【機械工学科編】

直近3年度の進路実績から、学ぶ内容・就職する業界・実際の仕事まで分かりやすく解説

この記事の目次
「都城高専の機械工学科に進学すると、将来はどのような仕事に就けるのだろう」

機械工学科と聞くと、機械を組み立てる仕事や、自動車を整備する仕事を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、機械工学科から目指せる仕事は、それだけではありません。

新しい機械や部品を設計する人、工場でものを効率よく作る方法を考える人、大きな設備が壊れないように点検する人、完成した製品が安全に使えるかを試験する人など、さまざまな技術者を目指せます。

さらに、機械工学の知識が使われるのは、機械メーカーだけではありません。自動車、半導体、食品、飲料、化学、エネルギー、建物設備など、私たちの生活を支える多くの業界で機械系の技術者が働いています。

この記事では、都城高専が公開している直近3年度分の進路データを基に、機械工学科で何を学び、それが現実社会のどこで使われ、どのような仕事につながるのかを、中学生にも分かるように紹介します。

1.結論 - 機械工学科からは、ものづくりを支える技術者を目指せる

都城高専の機械工学科を卒業すると、たとえば次のような仕事に就く可能性があります。

  • パソコンを使って、機械や部品の形を設計する
  • 自動車やロボットが安全に動くかを試験する
  • 工場で製品を速く、正確に作る方法を考える
  • 工場の機械やエレベーターが壊れないように点検する
  • 半導体を作る大型装置を調整し、故障を防ぐ
  • 飲料や食品を容器に詰める製造ラインを改善する
  • 顧客の工場へ行き、機械の設置や修理を行う
機械工学科は、単に「機械を作る人」を育てる学科ではありません。
機械を考える人、設計する人、動かす人、改善する人、安全を守る人など、ものづくりを幅広く支える技術者を目指す学科です。

本科を卒業してすぐに企業で働くこともできますし、都城高専の専攻科や大学へ進み、さらに専門的な勉強を続けることもできます。

2.都城高専の本科・専攻科・大学編入の仕組み

都城高専には、中学校卒業後に入学する本科と、その上に設けられた専攻科があります。

本科は5年間です。本科を卒業すると「準学士」の称号が与えられ、就職、都城高専専攻科への進学、大学への編入などから進路を選びます。大学へ進む場合は、主に大学3年次へ編入する仕組みです。

ルート1 本科学科を卒業して就職

中学校 → 機械工学科5年間 → 企業へ就職

本科で学んだ知識と技術を使い、20歳前後から企業の技術者として働き始めるルートです。

ルート2 専攻科へ進んでから就職

中学校 → 本科5年間 → 専攻科2年間 → 企業へ就職

本科で学んだ内容を土台に、さらに専門的な授業や研究に取り組んでから就職します。

ルート3 大学へ編入

中学校 → 本科5年間 → 大学の主に3年次へ編入

大学で専門分野をさらに学び、卒業後に就職または大学院進学を選ぶルートです。

ルート4 専攻科から大学院へ進学

中学校 → 本科5年間 → 専攻科2年間 → 大学院

より長く研究を続けたい人や、高度な設計・開発に関わりたい人が選ぶことのあるルートです。

機械電気工学専攻とは?

都城高専の専攻科には、機械電気工学専攻があります。

名前だけを見ると、「機械工学科と電気情報工学科が、そのまま一つに合体した学科」のように見えるかもしれません。

実際には、両学科の内容を最初から半分ずつ学び直すわけではありません。本科で身につけた自分の専門を土台にしながら、機械と電気・情報が組み合わさる技術をさらに深く学ぶ専攻です。

身近な例:工場のロボット
ロボットの腕という「機械」だけでは動きません。腕を動かすモーター、周囲を確認するセンサー、動きを計算するコンピューター、正確に停止させる制御技術が必要です。
身近な例:電気自動車
車体やタイヤなどの機械技術に加えて、モーター、バッテリー、センサー、コンピューターによる制御が使われています。

機械電気工学専攻は、このように機械と電気・情報がつながった現代のものづくりに対応できる技術者や、より高度な設計・開発・研究に取り組める技術者を育てる専攻です。修業年限は2年間で、所定の単位を修得し、審査で認められると学士(工学)の学位を取得できます。

3.機械工学科では何を学ぶのか

機械工学科では、機械を「考える・設計する・作る・動かす・安全に使い続ける」ための勉強をします。

専門科目の名前だけを見ると難しそうですが、実際に社会で使われている機械と結びつけると、学ぶ意味が分かりやすくなります。

機械や部品が壊れない形を考える

自転車のフレーム、学校の椅子、遊具、ロボットの腕、自動車の部品などには、人の体重や走行中の衝撃など、さまざまな力が加わります。

細すぎると折れたり曲がったりします。しかし、必要以上に太くすると、重くなり、材料も多く必要になります。

  • どこに大きな力が加わるのか
  • どのくらいの太さなら壊れないのか
  • どうすれば軽くて丈夫にできるのか

こうした問題を計算するのが、材料力学や機械設計です。設計製図やCADでは、考えた機械や部品の形を、パソコン上で正確な図面にします。

現実社会では:
自動車の部品、エレベーター、工場のロボット、橋を点検する装置など、力を受けるほぼすべての機械に使われる考え方です。

どの材料を使えばよいか考える

鉄、アルミニウム、ステンレス、プラスチックなどには、それぞれ違った特徴があります。

鉄は強い一方で重く、さびることがあります。アルミニウムは軽く、飲料缶や自転車、航空機の部品などにも使われます。プラスチックは軽くて複雑な形にしやすいものの、高温に弱い種類もあります。

必要な強さ、重さ、価格、熱への強さ、さびにくさ、加工のしやすさなどを考えて、最も適した材料を選びます。

現実社会では:
自動車、飛行機、スマートフォン、フライパン、飲料缶など、身の回りのさまざまな製品の材料選びに使われます。

熱や空気、水の流れを学ぶ

エアコンは、部屋の熱を外へ運ぶことで室温を下げています。冷蔵庫も、庫内の熱を外へ移動させています。自動車には、エンジンやモーターが熱くなりすぎないように冷却する仕組みがあります。

これらにつながるのが、熱力学や伝熱工学です。

また、扇風機や掃除機では空気が流れます。水道設備や工場では、ポンプを使って水や液体を送ります。飛行機が飛ぶ仕組みにも、翼の周りの空気の流れが関係しています。

こうした空気や水の動きを考えるのが、流体力学や水力学です。

現実社会では:
エアコン、冷蔵庫、ドライヤー、給湯器、自動車の冷却装置、飛行機、ポンプ、水道・工場の配管などに応用されています。

実際に部品を作る

機械工学科では、教室で計算するだけではありません。工作機械や工具を使い、金属を削ったり、穴を開けたりして、実際に部品を作ります。

私たちが使う自動車、家電、スマートフォンなども、まず、ねじ、歯車、軸、ケースなどの部品を作り、それらを正確に組み立てて完成します。

実際に作ってみると、次のような問題が見つかることがあります。

  • 図面どおりに加工できない
  • 部品同士がうまく組み合わさらない
  • 組み立てるための工具が入らない
  • 動かすと想定外の場所がぶつかる

作って終わりではなく、問題の原因を考え、設計や作り方を改善するところまでが機械工学の学習です。

センサーとコンピューターで機械を動かす

現在の機械は、歯車やモーターだけで動いているわけではありません。

  • 自動ドア:人が近づいたことをセンサーで見つけて開く
  • エアコン:部屋の温度を測り、設定温度に近づくように運転を変える
  • エレベーター:位置、速さ、ドアの状態を確認しながら動く
  • ロボット掃除機:壁や家具までの距離を調べ、ぶつからない道を選ぶ
  • 自動車:カメラやレーダーで前方を確認し、必要に応じてブレーキをかける
センサーは、機械にとっての「目・耳・皮膚」のようなものです。センサーが集めた情報をコンピューターが処理し、「止まる」「速く動く」「温度を下げる」「障害物を避ける」と判断します。

このように、機械を目的どおりに動かす方法を学ぶのが制御工学です。

データサイエンス・機械学習・シミュレーションは何に使うのか

「データサイエンス」や「機械学習」と聞いても、中学生には仕事とのつながりが分かりにくいかもしれません。

工場の機械には、温度、振動、圧力、動く速さなどを測るセンサーが取り付けられています。毎日の記録を比べると、次のような特徴が見つかることがあります。

故障する数日前から振動が少しずつ大きくなっている。温度が一定の数値を超えると、製品の不良が増えている。

多くの数字を整理し、そこから役立つ特徴を見つけるのが、データサイエンスの一例です。

機械学習は、正常に動いているときと故障前のデータをコンピューターに多く見せ、違いを自動的に見つけさせる技術です。これにより、機械が完全に止まる前に異常を発見できる可能性があります。

シミュレーションは、実物を作る前に、パソコンの中で動きや強さを試す技術です。

  • 自動車が衝突したときに車体がどう変形するか
  • 橋に大きな力が加わったときにどこが曲がるか
  • 飛行機の周りを空気がどう流れるか
  • ロボットの腕が他の部品にぶつからないか

こうしたことを、実物を何度も作らずに調べられます。

実験し、結果を説明する

技術者は、「たぶん大丈夫だと思います」だけで機械を作ることはできません。

実際に力を加えたり、温度を測ったり、振動を調べたりして、安全性や性能を数字で確かめます。その結果をグラフや表にまとめ、なぜそのような結果になったのかを考え、他の人に説明します。

都城高専機械工学科では、1年次の設計製図、2年次のものづくり実習、3年次の工学実験、4年次の機械システム創造設計、5年次の卒業研究というように、学年が上がるにつれて実践的な学習へ進みます。

4.卒業生の何割が就職し、何割が進学するのか

機械工学科・本科卒業後の進路

卒業年度 卒業者 就職 進学 その他
令和5年度 38人 21人(55.3%) 16人(42.1%) 1人
令和6年度 34人 20人(58.8%) 14人(41.2%) 0人
令和7年度 34人 19人(55.9%) 15人(44.1%) 0人
3年度合計 106人 60人(56.6%) 45人(42.5%) 1人

直近3年度の本科卒業生106人

就職 56.6% 進学 42.5% その他 0.9%

大まかにいえば、約6割が就職し、約4割が進学しています。

企業で早く技術者として働き始める学生がやや多い一方で、毎年4割前後は、都城高専専攻科や大学などへ進んでいます。

なお、令和5年度から令和7年度までの本科就職希望者は、21人、20人、19人で、3年度とも全員の就職が決まっています。この記事では「就職の強さ」そのものよりも、卒業後にどのような技術者になれるかを中心に見ていきます。

機械電気工学専攻修了後の進路

専攻科は、修了後の就職者数・進学者数が公式ページでそろっている最新3年度、令和4年度から令和6年度を使用します。

修了年度 修了者 就職 進学
令和4年度 12人 6人 5人
令和5年度 8人 4人 4人
令和6年度 13人 10人 3人
3年度合計 33人 20人 12人
令和4年度は、公式表の修了者数12人に対し、就職者6人と進学者5人の合計が11人となっています。この記事では学校の公表値をそのまま掲載しています。また、この数字は機械工学科出身者だけではなく、機械電気工学専攻全体の数字です。

5.本科卒の就職先 - 最も多いのは製造業

都城高専機械工学科の本科から就職した学生は、直近3年度で合計60人です。

学校が公表している企業別就職状況と産業分類を照合すると、このうち製造業へ進んだのは31人でした。

本科から就職した学生の約51.7%、およそ2人に1人が製造業へ進んでいます。
主な分野 就職者 本科就職者60人に占める割合
化学・食品・素材などを作る企業 11人 約18.3%
機械・製造装置を作る企業 10人 約16.7%
半導体・電子部品・精密機器を作る企業 6人 10.0%
自動車などの輸送用機械を作る企業 4人 約6.7%
製造業全体 31人 約51.7%

意外なのは、機械や製造装置を作る企業だけが多いわけではないことです。化学会社、飲料会社、半導体会社にも、多くの機械系技術者が必要です。

どのような製品を作る工場にも、原料を運ぶ装置、液体を送るポンプ、加熱・冷却する設備、製品を詰める機械、箱を運ぶコンベヤーなどがあるからです。

また、残りの29人が機械工学と関係のない仕事へ進んだわけではありません。製造業以外にも、自動車や航空機の設計を支援する企業、機械を点検・整備する企業、建物や工場の設備を管理する企業、電気やガスなどの社会インフラを支える企業などがあります。

最も多いのは製造業で、およそ2人に1人。ただし、製造業以外にも、設計、整備、点検、設備管理など、機械工学を使う仕事へ幅広く進んでいます。
以下の企業例では、都城高専卒業生本人の配属先は公表されていないため、各社の事業内容と公式採用情報から、機械工学科卒業生が担当する可能性のある代表的な仕事を説明します。

機械や製造装置を作る企業

直近3年度では、本科就職者60人のうち10人、約16.7%が、工場で使われる機械や製造装置などを作る企業へ進んでいます。

就職先には、ファナック、三菱重工業、東レエンジニアリング、SCREENグラフィックソリューションズ、京都製作所などがあります。

企業例|ファナック - 工場で働くロボットや機械の「頭脳」を作る会社
機械・製造装置

ファナックは、工場で使われる産業用ロボットや、工作機械を動かすCNCなどを扱う企業です。

工作機械とは、金属を削ったり、穴を開けたりして部品を作る機械です。CNCは工作機械に対して、「どこを、どのくらいの深さまで、どの速さで削るか」を指示する頭脳のような装置です。

自動車、スマートフォン、家電などの中には、非常に多くの金属部品があります。その部品の多くが、工作機械や産業用ロボットによって作られています。

FANUC公式:ハンドリング・組立ロボットの紹介。工場で部品を運び、並べ、組み立てるロボットの動きを確認できます。

機械工学科卒業生が担当する可能性のある仕事
  • ロボットや工作機械の部品を設計する
  • 完成した機械が正確に動くかを試験する
  • 工場内の製造設備を改善する
  • 顧客の工場で機械を設置し、点検・修理する

公式情報:FANUC ROBOT Video Lineup

自動車や航空機に関係する企業

学校の正式な産業分類で「輸送用機械器具製造業」に分類された本科卒業生は、直近3年度で4人、全体の約6.7%でした。

ただし、この数字に含まれるのは、自動車などを直接製造する企業が中心です。SUBARUテクノやタマディックのように設計を支援する企業、JALエンジニアリングやANAラインメンテナンステクニクスのように航空機を整備する企業は、別の産業に分類されます。

したがって、実際に自動車や航空機の仕事に関わる学生は、4人よりも多いと考えられます。
企業例|本田技研工業 - 自動車や二輪車を設計し、工場で作る会社
自動車・輸送機械

本田技研工業、いわゆるHondaは、自動車や二輪車などを開発・生産する企業です。都城高専機械工学科からも、直近3年度に本科卒業生の就職実績があります。

自動車には、機械工学で学ぶさまざまな技術が使われています。車体やサスペンションには強さや振動の知識が必要です。エンジンやモーターの冷却には、熱や液体の流れの知識が使われます。ブレーキやステアリングには、機械を正確に動かす制御技術が必要です。

Honda公式:製造現場をエンジニアの視点から紹介した動画です。製品を大量に、正確に作るための生産技術をイメージできます。

機械工学科卒業生が担当する可能性のある仕事
  • 自動車や二輪車の部品を設計する
  • 試作品が安全に動くかを試験する
  • 振動、強度、熱などを測定する
  • 工場の製造ラインを計画・改善する
  • 製品を正確に組み立てる設備を導入する

Hondaの高専本科卒向け採用では、二輪・パワープロダクツ研究開発、四輪研究開発、二輪・四輪の生産領域などが示されています。ただし、同じ会社に入っても、配属先によって仕事内容は大きく異なります。

公式情報:Honda 高専卒(本科)向け技術系採用

半導体や電子部品に関係する企業

直近3年度では、本科就職者60人のうち6人、10.0%が、半導体、電子部品、電気機器、精密機器などを作る企業へ進んでいます。

就職先には、JASM、京セラ、福井村田製作所、パナソニック インダストリー、ニコンなどがあります。

半導体は非常に小さな電子部品で、スマートフォン、自動車、ゲーム機、エアコン、洗濯機など、多くの製品の中で計算や制御を行っています。

半導体そのものは小さいのですが、それを作る工場では、何メートルもある大型の製造装置が使われます。そのため、半導体工場にも、機械を設置し、調整し、点検し、改善する機械系技術者が必要です。

企業例|JASM - 熊本で半導体を作る工場
半導体

JASMは、TSMCが熊本県に設立した半導体製造会社です。都城高専機械工学科からも、直近3年度に本科卒業生の就職実績があります。

半導体は、極めて細かな加工を何度も繰り返して作られます。そのため、製造装置のわずかな振動、温度の変化、部品のずれなどでも、完成する半導体の品質に影響することがあります。

TSMC Japanese Official:JASMで働く社員が、半導体分野へ挑戦した理由を紹介しています。

機械工学科卒業生が担当する可能性のある仕事
  • 製造装置が正確に動くように調整する
  • 温度や振動のデータから異常を見つける
  • 故障しやすい部品や動きを改善する
  • 機械が止まる前に点検や部品交換を行う
  • 冷却水、空調、配管などの工場設備を管理する

JASMの公式採用情報では、設備エンジニアが、機械の効率向上、機械部品の最適化、センサーによる状態分析、問題の予防などを担当すると説明されています。

現在公開されている職種情報には、学士以上を応募条件とするものもあります。本科卒業生本人がどの採用区分・職種で入社したかは公表されていないため、ここでは半導体工場における代表的な機械系の仕事として紹介しています。

公式情報:JASM採用サイト

化学・食品・素材などの企業

直近3年度では、本科就職者60人のうち11人、約18.3%が、化学、食品、飲料、石油、プラスチック、金属などを扱う企業へ進んでいます。四つの製造業分野の中では、このグループが最も多くなりました。

就職先には、サントリープロダクツ、ロッテ、三菱ケミカル、旭化成、ENEOS、日本アルコール産業などがあります。

化学会社や食品会社で、機械工学科の卒業生が化学物質の研究や食品の味づくりを担当するとは限りません。

工場の中には、次のような機械があります。

  • 原料を運ぶコンベヤー
  • 液体を送るポンプ
  • 原料を混ぜる装置
  • 加熱・冷却する設備
  • 容器に中身を詰める機械
  • キャップやふたを閉める機械
  • ラベルを貼る機械
  • 製品を箱詰めする機械

こうした機械を安全に、止めずに動かすことが、機械系技術者の仕事になります。

企業例|サントリープロダクツ - 飲料を高速で作り、容器に詰める工場
食品・飲料

サントリープロダクツは、都城高専機械工学科の直近3年度の就職先に含まれています。

私たちが店で手に取るペットボトル飲料も、工場では多くの機械を通って作られます。原料を混ぜ、温度や圧力を調整し、ペットボトルを作り、飲料を詰め、キャップを閉め、ラベルを貼り、箱に詰めます。

Suntory公式:飲料事業と、水を生かしたものづくりを紹介する動画です。

機械工学科卒業生が担当する可能性のある仕事
  • 飲料を容器に詰める製造ラインを運転する
  • 機械の異常な音や振動を確認する
  • 故障した機械の原因を調べる
  • 故障する前に部品を交換する
  • 製造速度や安全性を高めるために設備を改善する

サントリーの公式採用サイトには、高専の機械工学科を卒業し、パッケージング設備のメンテナンス、トラブル対応、設備改善などを担当している社員の例が紹介されています。別の機械工学科卒業者は、缶に飲料を詰める工程の運転、設備保全、改善を担当しています。

スーパーやコンビニに並ぶ一本の飲料の後ろにも、機械工学を学んだ技術者の仕事があります。

公式情報:サントリー製造部門・高専卒社員インタビュー

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6.学校で学ぶことは、実際の仕事にどうつながるのか

機械工学科の授業と、卒業後の仕事の関係を簡単に整理すると、次のようになります。

学ぶ分野 現実社会で使われる場所 つながる仕事の例
材料力学・機械設計 自動車部品、ロボット、エレベーター、橋梁点検装置 機械設計、製品開発、強度試験
熱力学・伝熱工学 エアコン、冷蔵庫、エンジン、工場の冷却設備 設備設計、性能試験、設備管理
流体力学・水力学 飛行機、ポンプ、配管、空調、水処理施設 機械設計、プラント設計、設備保全
設計製図・CAD 機械や部品の図面作成 機械設計、設計支援
機械工作・ものづくり実習 金属部品、歯車、ねじ、製造装置 製造技術、生産技術
制御工学・情報処理 自動ドア、エレベーター、ロボット、自動車 自動化設備の設計・調整
計測・工学実験 製品の強度、温度、振動、安全性の確認 品質管理、試験・評価
データ分析・機械学習 工場設備の異常検知、故障予測 設備保全、生産改善

たとえば、材料力学で学んだ「どこに大きな力が加わるか」という考え方は、自動車部品の設計や強度試験に使われます。

熱力学や流体力学は、エアコン、冷却装置、ポンプ、配管などの設計や管理に使われます。制御工学は、工場のロボットや自動化設備を正確に動かすために必要です。

工学実験で身につける「測定し、結果を整理し、原因を考える力」は、製品の品質確認や機械の故障原因を調べる仕事につながります。

学校で学ぶ科目は、一見するとばらばらに見えます。しかし、実際の機械や工場では、それらを組み合わせて問題を解決します。

7.専攻科へ進むと、将来の選択肢はどう変わるのか

機械工学科の本科を卒業した段階でも、幅広い企業で技術者として働くことができます。

では、さらに2年間、機械電気工学専攻で学ぶ意味はどこにあるのでしょうか。

機械と電気・情報を組み合わせて考えられる

工場のロボットには、腕や歯車などの機械部品に加えて、モーター、センサー、電気回路、コンピューターによる制御が必要です。

電気自動車には、車体やサスペンションなどの機械技術、モーターやバッテリーなどの電気技術、走行状態を判断する情報・制御技術が使われています。

機械電気工学専攻では、本科で学んだ専門を土台にしながら、こうした複数分野をつなげて考える力を高めます。

より長く研究に取り組める

本科でも5年生で卒業研究に取り組みますが、専攻科へ進むと、さらに2年間、専門的な研究を続けられます。

新しい装置を設計・製作する、コンピューター上で機械の性能を調べる、実験データを分析して問題の原因を探すなど、より高度な設計・開発・研究に取り組めます。

大学院進学の道が開かれる

専攻科で所定の要件を満たし、審査で認められて学士(工学)を取得すると、大学院へ進学できます。

専攻科修了後に企業へ就職する学生もいれば、大学院で研究を続ける学生もいます。

8.本科卒と専攻科修了では、目指せる企業や仕事に違いがあるのか

直近3年度の就職実績を見る限り、専攻科へ進まなければ大手企業に就職できない、というわけではありません。

本科卒からも、本田技研工業、ファナック、三菱重工業、ENEOS、旭化成、三菱ケミカル、JASMなどへの就職実績があります。

また、ファナックのように、本科卒業生と専攻科修了生の両方に就職実績がある企業もあります。

したがって、「本科卒は小さな企業へ進み、専攻科修了者は大企業へ進む」という単純な分かれ方ではありません。

比較 本科卒 専攻科修了
学ぶ期間 5年間 本科5年+専攻科2年
就職 幅広い技術系企業へ就職できる 幅広い技術系企業へ就職できる
学習内容 機械工学の基礎と実践 より高度な設計・開発・研究
学ぶ分野 機械工学を中心に学ぶ 機械と電気・情報の連携にも学びを広げる
卒業・修了後 就職、専攻科、大学編入 就職、大学院進学
称号・学位 準学士 所定の要件と審査を経て学士(工学)

専攻科は、「本科卒では十分な企業に就職できないから進む場所」ではありません。

  • 機械工学をさらに深く学びたい
  • 機械と電気・情報を組み合わせた技術を学びたい
  • 研究にもう少し長く取り組みたい
  • 学士の学位を取得したい
  • 大学院への進学を考えている

このような人のための選択肢です。

学校が公表しているのは主に就職先企業までで、一人ひとりの配属部署や仕事内容は分かりません。そのため、「専攻科修了者は必ず設計・開発、本科卒業生は必ず設備保全」といった分け方はできません。

9.大学編入・大学院進学にはどのような道があるのか

本科卒業後に進学する場合、主な道は二つあります。

都城高専の専攻科へ進む

直近3年度では、機械工学科から都城高専専攻科へ、令和5年度8人、令和6年度8人、令和7年度6人が進んでいます。

大学へ編入する

本科卒業後、大学の主に3年次へ編入します。直近3年度の進学先には、熊本大学、長岡技術科学大学、九州大学、宮崎大学、鹿児島大学などがあります。

専攻科から大学院へ進む

専攻科を修了し、学士(工学)を取得した後は、大学院でさらに研究を続けることもできます。

都城高専へ入学したからといって、本科卒業後に必ず就職しなければならないわけではありません。
  1. 本科卒業後すぐに就職する
  2. 専攻科でさらに2年間学ぶ
  3. 大学へ編入する
  4. 専攻科から大学院へ進む

このような複数の道を、在学中に考えることができます。

10.機械工学科が向いている中学生

機械工学科に向いているのは、単に工作が得意な人だけではありません。

たとえば、次のような人には向いている可能性があります。

  • 機械がなぜ動くのか考えるのが好き
  • 壊れた原因や、うまく動かない理由を考えるのが好き
  • 作ったものを何度も改良することが苦にならない
  • 自動車、航空機、ロボット、工場の機械などに興味がある
  • 数学や理科を、実際のものづくりに役立てたい
  • パソコンを使った設計やシミュレーションにも興味がある
  • 実験や実習に取り組みたい
  • 将来、技術者として社会を支えたい

入学前に知っておきたいこと

機械工学科は、毎日ものを作るだけの学科ではありません。

数学や物理を使った計算、設計図の作成、実験結果の分析、レポートの作成、研究発表などにも取り組みます。

また、「自動車が好きだから、自動車だけを学べる」という学科でもありません。材料、熱、空気や水の流れ、金属加工、制御、情報処理など、機械工学を幅広く学びます。

現在の成績だけでなく、「身の回りの機械に疑問を持ち、その仕組みを自分で考えてみたいか」が大切です。

11.まとめ - 機械工学科は、さまざまな技術者への入口

都城高専の機械工学科から目指せるのは、機械を組み立てる仕事だけではありません。

機械や部品を設計する人、工場の製造ラインを改善する人、大型設備を点検する人、製品の安全性を確かめる人、顧客先で機械を設置・修理する人など、ものづくりを支えるさまざまな技術者を目指せます。

直近3年度では、本科から就職した学生の約51.7%が製造業へ進んでいます。ただし、その就職先は機械メーカーだけではありません。

化学・食品・素材など:約18.3%

機械・製造装置:約16.7%

半導体・電子部品・精密機器:10.0%

自動車などの輸送用機械製造:約6.7%

食品会社にも、半導体会社にも、化学会社にも、工場の機械を動かし、点検し、改善する機械系技術者が必要です。

学校で学ぶ材料力学は、自動車やロボットの部品を壊れにくくするために使われます。熱力学や流体力学は、エアコン、冷蔵庫、自動車の冷却装置、ポンプ、配管などに使われます。

制御工学や情報処理は、自動ドア、エレベーター、工場のロボット、自動車の安全装置などに使われます。データ分析や機械学習は、工場の機械が故障する前に異常を見つけるためにも使われています。

直近3年度では、本科卒業生のおよそ6割が就職し、4割が専攻科や大学などへ進学しています。

本科卒業後すぐに企業で働くことも、機械電気工学専攻でさらに2年間学ぶことも、大学へ編入することもできます。専攻科から大学院へ進み、研究を続ける道もあります。

都城高専の機械工学科は、機械を設計する人、工場を改善する人、設備を守る人、安全を確かめる人など、ものづくりに関わるさまざまな技術者への入口です。

進学先を考えるときには、企業名だけを見るのではなく、「自分は機械を設計したいのか」「工場のものづくりを改善したいのか」「大きな設備や乗り物の安全を守りたいのか」「さらに専門的な研究を続けたいのか」という視点から、自分の将来を考えてみることが大切です。

12.使用資料

この記事は、時点で公開されている都城高専の公式資料と、就職先企業の公式サイト・公式採用情報を使用して作成しています。

主な使用資料

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