今回の記事で私が最も伝えたいのが、「何が子供の将来を豊かにするかをよく考えて、集中して時間を使うべきところ、削るべきところを整理した方がいいのではないか」ということです。その一つとして「部活(主に中学生)」を取り上げたいと思います。
私が懸念しているのは、「中学生の多くが、部活が終了する3年生の夏から高校受験の対策を始める」という状況です。学業をある程度のレベルでこなした上で、「楽しく」部活を行うのは素晴らしいことだと思います。しかしながら、現実はそうではなく、多くの中学生が、「学業より優先して」部活を行い、受験を意識し出すのが非常に遅いなと感じます。
理想的には両方を高いモチベーションでこなすことがいいわけですが、もしこれができないのであれば、長期的な視野に立って「どちらを優先した方が将来の自分にいいのか」をもっと意識してもいいのかなと思います。
【ちょっと小話:世界で戦う中学生たち】
少し世界に目を向けると、オンライン上で世界中の人たちと交流し、学び、スキルを高めることができる場所はたくさんあります。
私がとあるプログラミングのコンテストに出場した際の話です。世界中から6300チームほどが出場し、賞金も出る大会でしたが、とある千葉の中学生が自分で書いたコードをフォーラム(←掲示板みたいなもの)に投稿しておりました。
世界中のプログラマーやエンジニアが集まる場所で、自分から評価を受けに行く姿(もちろん英語で)にとても感銘を受けた記憶があります。
以前からオンラインで世界中の大学の講義が受講できたり、プログラミングや動画編集など特定のスキルを取得できる場所はたくさんありましたが、コロナ後からそれもより加速した印象があります。
学校も生徒に対して様々な機会を提供してくれています。しかし、何も学校が用意した環境だけに自分を置く必要はなく、もっと多様な選択肢に目を向けてもいいのではないかと思います。
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手前みそで恐縮ですが、先のプログラミングコンテスト(機械学習)で私は初出場、上位3%以内の成績で入賞でした。
繰り返しになりますが、前提として部活がとても楽しく価値を感じているなら大いにやるべきであると思います。しかしながら、私の感覚としては特に楽しさや価値を見出せない中、「周りがやっているから」という理由で漫然とそれを続けている子供たちが半分以上いると感じます。
楽しい趣味はそれだけで価値があります。ノーベル賞受賞者の多くは、なぜか「ダンス・演劇」などの芸術性を鍛える趣味に打ち込んでおり、全く異なる分野の趣味が仕事や研究にプラスの効果を与えるのではとの考えがあるくらいです。ゲームでも読書でも部活でも、「好きなこと」には分野を問わず大いにのめり込んで行ってほしいと思います。
ただ、「続けることがつらい事柄 」に関しては、将来的にこれが必ず役に立つという実感がない限り、本当に続けるべきなのかを考える必要があります。苦痛を美徳とする精神を、なんにでも持つべきではありません。
その意味で言うと、子供たちの多くが経験する「受験」はつらい道のりと言えます。しかし、そこで素晴らしい結果を残すことは、豊かな人生を歩める可能性を大いに上げてくれます。生涯年収は、高卒と大卒で約6,000万円異なり、大卒の中でも国立トップの東京大学に進学するのと、私立トップの早稲田大学に進学するのとでは約8,000万円の差があります(合格する学校のレベルでも大きな差があるということを言いたいです)。
都城市内での実業系高校を考えた場合でも、例えば国立高専とその他の高校に進学するのとでは、将来的な就職・給与に差が出ることは明らかです。つまり、受験のつらさを乗り越えることは、将来的にリターン(利益)として返ってくる可能性が高いのです。
一方、部活はどうでしょうか。もちろん、そこで培われる人間関係や規律・秩序を守る精神性を育む意味ですばらしい価値を見出せると思います。しかしながら、「続けるのがつらい」「意味があるのか」という疑問を持った状態でそれを続けているのであれば、一旦それをお休みして別の趣味を探すか、今自分が打ち込むべきことに時間を割いた方が有意義ではないでしょうか。続けていくうちに、面白さや愛着を感じる趣味も多いでしょうから少々の辛抱は必要かもしれませんが、その状態を何年も続けることは他の才能や能力を伸ばす機会を奪っているように思えます。
※ なお、部活は日本独特の文化であり、海外では部活的なものは民間・家庭教師でやるか、学校でやるにしても「優秀な選手で勝つためのチーム」を作ることを前提にしているようです。
実際、高校受験を控える都城市の中学生は、3年生の夏まで部活を頑張り、本格的な受験勉強はその後という子がほとんどです。残念ながらこのような状況では、本来であればもっとハイレベルな進学先を選ぶことができた子供達も、限られた選択肢しか取ることができません。
私たちは一度、この「部活を続けることで何を得られたか、または得ることができるのか」を考えた方がいいように思えます。お金が全てだとは思いませんが、日本の貧困化が深刻化しており、私たちの子供世代の多くは「今当然と思っている生活」を送れなくなる可能性が高いです(20代独身の半数は貯蓄5万円以下、30代独身でも77万円以下であり、経済的事情で結婚や子育てを諦める人は増える一方です)。
学生時代をどう生きるか、どういう結果を残すかが、良くも悪くも子供たちの将来を決めてしまうことがあります。厳しい時代が訪れるにしても、子供たちには将来的に豊かで明るい人生を送ってほしいです。その意味で、限られた学生時代をぜひ「有意義な時間」で埋めてほしいなと思っています。