多くの学生たちは日々、各方面から「勉強しろ！」の集中砲火を浴びせられながら日々生活しているわけですが、そもそもなぜ勉強すべきなのでしょうか？
私はよく「経済的に自立を果たすため」と答えるようにしてます。もちろん経済合理性のみで動いているわけではない人がいるのは事実ですが、ほとんどの学生やその家族にとっては「将来、可能な限り就きたい職につけて、望むのであれば結婚や育児も可能なくらいの豊かな生活環境を手に入れる」ことが勉強することが第一目的であるように思えます。
その上で、私がなぜ多くの学生に早期の学習開始を薦め、可能な限り難関と言われる学校を目指すべきと言い続けるのかを深掘りして書き綴りたいと思います。
※ 以下は大学受験のお話が中心ですが、実業系高校レベルでも同じことが言えます。工業高校を目指す学生は、早期に準備を始めて国立高専の受験を目指すことをおすすめします。
学歴フィルターという言葉をご存じでしょうか？ 就職活動において企業側が大学名で学生をふるいにかけることを指します。 つまり、上位大学の学生はそのまま優良企業への就職を実現できる可能性が高まり、下位大学の学生は暗に採用お断りをされる可能性が高まるという現実です。優良企業の採用活動では多くの応募がありますから、学生一人ひとりの長所や強みをみることは大変な労力であり、取り合えず学歴で判断してそこから細かく人間性を見ていこうという流れが採用の現場では行われています。
私がここで強調したいのは、合格し進学した大学によってある程度の就職できる企業のレベル帯が決定するという現実です。大多数の学生は将来、やりがいとスキルを身につけられる仕事ができ、高い給料と充実した福利厚生与えてくれる企業に就職したいと思うはずです。このような仕事は、高学歴の学生が優先して席を取っていきます。
この厳しい現実は、さらに難しい問題を引き起こします。結婚・子育て・将来への貯蓄、親孝行もしたいことでしょう、大人になるにつれある程度の収入は必要になります。良い給料・待遇を求めて30代40代で転職する場合のことを考えてください。
転職活動では「20~30代で培ってきたこれまでの経験やスキルは何か？」ということが非常に重要視されます。つまり、大学卒業後のファーストキャリア（新卒で初めて入社する企業や、そこで行う主な業務）がその後の、20~30代の転職企業の幅を決めてしまうのです。これは、卒業大学で最初の就職企業の幅が決まってしまうのと全く同じ構図です。
仮に大学卒業後、最初の就職活動で失敗してしまい20代をいわゆる「低スキル・低賃金」の労働で棒に振ってしまった場合、スキル・経験の格差が開いていることが原因でそこからの復帰はかなり厳しくなります。したがって新卒で初めて入社する企業でどれだけ良い経験を積めるかということが重要になるのですが、当然多くの上位大生がこの点を重要視しており、そこの学生たちがこの権利を獲得していきます。
学生たちにとって今ここで勉強するかしないかが、30代40代の仕事を決めてしまうと聞いてもピンとこないかもしれません。しかし、周囲の大人たちは「勉強しろと」口すっぱくいうのは、社会に出てもなお学力や経歴で判断されることが多く、経験として「やっぱ勉強って大事だよね」と実感しているからに他なりません。学生は親御さんの保護もとで勉強に集中できるこの唯一の期間に、可能な限り上位の大学合格を目指すべきだと思います。
難関と言われる大学は、ある程度の学習に対する耐久力や精神力を持っていなければ合格はできず、自然と能力の高い学生が集まる傾向にあります。学力の高い学校に通う学生は、当たり前にできることのレベルが高く、ぼんやりにでも目標を持ち、自分の考えを論理的に発言できる意味でコミュニケーション能力が高い傾向にあります（本人たちは気づいていないことが多いですが）。
「周囲5人の平均が自分」という言葉の通り、人間は周囲の環境から良くも悪くも影響を受けます。周囲が当たり前にできることのレベルが高く、目標を持った人たちで、コミュニケーション能力の高い人たちであればその人たちを参考にしつつまた自分も頑張ろうとやる気をもらえます。私は上位の大学を目指すことの大きなメリットは、このよう高い意識や目標を持った「面白い人々」と過ごせることにあると思います。結果的にその環境が今後の自分にプラスの影響を与えていくのです。
世の中的には、少子化であるにも関わらず大学の数は増え続けており、ほぼ無試験で合格できる大学の新設が後を立ちません。先に書いた、ファーストキャリアの重要性にも関わる話ですが、大学卒業後や30代40代の働き方も考えて大学へは進学すべきです。個人的には、学費を掛けつつそのような大学で4年の期間を過ごすよりは、一度社会に出て世の中や会社、サービスの仕組みを知ることや、お金を稼ぐという経験を一刻も早くするべきだと思います。
塾を設立して改めて思ったことですが、学力の高い学生は「頑張りを継続できる学生」です。夏休みを初めとした長期休みで積極的に自習している姿を見るのは「既に高い学力を持った」学生であることが多いです。逆に、例えば目標としている高校や大学への合格が厳しいラインにある子、本来は一番頑張らなければならない子たちほど少々頑張りに欠け、仮にやる気が出てもその頑張りを「継続」できないことが多いように思えます。
大学受験という人生の「とてつもなく」大きな節目を妥協を重ねることで終わるのはとても勿体無いことです。学生たちにはぜひ頑張りを継続した末に大学受験を成功させて、そのような努力を継続できる人間たちが集まる環境を勝ち取ってほしいです。そのことが、将来豊かで選択肢の多い人生を送る一歩になります。
「合理的であるなら、絶対にするはずの努力」でも、実際にはできないこと多いものです。人間は怠ける生き物です。だからこそそこを断ち切って「努力できる」一部の人間が成功を勝ち取ることができるのだと思います。長期的な視野に立って将来のために勉強するということは難しいことですが、「今勉強することが自分の人生を楽にする」ことは間違いありません。
難関校を目指すことは人生のいい途中経過になります。ぜひ信じて頑張りを「継続」させてほしいです。
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