将来の仕事はここから選べ！（産業分野別編）

2025年6月10日/in雑記

　進路決定は将来の仕事の幅を決めることから長い時間をかけて慎重に行うべきで、都城市の学生はここが弱い印象があります。

　これには、情報収集が不可欠なのですが、なにをしたら分からないと言う学生のために私が塾生用に作成していた資料をブログとして公開します。

　さらに深掘りしてほしい塾生は、とくみつ先生に声をかけてください。

1. 製造業（Manufacturing）

概要

自動車、電機、化学、機械、食品、鉄鋼などの全般にわたる「モノづくり」を担う産業。

現状と将来の見通し

世界：製造業は依然としてGDPの中核を占め、IoT（モノのインターネット）やAI（人工知能）による自動化・スマート化が進行中。EV（電気自動車）や再生可能エネルギー分野が成長の原動力として注目されています。

日本：人口減少と国内市場の縮小が存在しますが、高付加価値品や輸出依存型製造業へのシフト、DX（デジタルトランスフォーメーション）推進による生産性向上が進行。特にEV関連、半導体、素材分野などで投資が活発です。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約1,200兆円
日本：約140兆円（GDP約550兆円×約26.9 %）

1-1. 自動車（Automobiles）

概要

自動車および部品の設計・生産・販売を担う産業。EV（電気自動車）、自動運転、コネクテッドカー（インターネット接続車）なども含む。

現状と将来の見通し

世界：EVシフト、脱炭素化、自動運転技術など大きな構造変化。中国・米国・欧州での新興EVメーカーの台頭、ソフトウェア化、サプライチェーン多様化が進展。
日本：トヨタを中心にハイブリッド車・EV開発、海外展開強化。少子高齢化・国内需要縮小、海外シフト・高付加価値化が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Tesla（テスラ／米国） … 約142兆円
・Toyota Motor Corporation（トヨタ・モーター・カンパニー／日本） … 約34.6兆円
・BYD（ビー・ワイ・ディー／中国） … 約23兆円
・Mercedes-Benz Group（メルセデス・ベンツ・グループ／ドイツ） … 約8.4兆円
・Volkswagen（フォルクスワーゲン／ドイツ） … 約7.9兆円

【日本】
・トヨタ自動車 … 約34.6兆円
・本田技研工業（ホンダ） … 約5.9兆円
・日産自動車 … 約4兆円
・スズキ … 約3.3兆円
・マツダ … 約1兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科
自動車の設計・製造、エンジン、EV・ハイブリッド車、ロボティクス、制御工学、流体力学、熱力学。

・工学部 – 電気電子工学科
モーター、バッテリー制御、車載電子機器、センシング技術、自動運転・AI、通信・コネクテッドカー。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
自動運転アルゴリズム、AI・画像認識、組込みソフトウェア、車載ネットワーク。

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
軽量化素材、新素材（高張力鋼、CFRP、アルミ等）、電池材料、塗装・表面処理。

・工学部 – 航空宇宙工学科
空力設計、先進構造設計、モビリティの新分野。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部　機械工学科／機械情報工学科／航空宇宙工学科／精密工学科／電気電子工学科／電子情報工学科／マテリアル工学科
EV・自動運転・材料研究など幅広い最先端分野を網羅。

・名古屋大学　工学部　機械・航空宇宙工学科／電気電子・情報工学科
自動車産業の中心地。トヨタと強い産学連携、次世代モビリティ研究。

・京都大学　工学部　機械システム工学（機械工学）コース／電気電子工学科／理工化学科（材料コース）
バッテリー・電動化・AI自動運転など多分野に強み。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院　機械系／電気・電子系／情報系
ロボティクス・コネクテッドカー・自動運転の先端研究。

・大阪大学　工学部　機械工学科／電子情報工学科
次世代自動車技術・新材料・ソフトウェア工学が学べる。

・早稲田大学　創造理工学部　総合機械工学科／先進理工学部　応用化学科
自動車部品、環境車、先進材料、ソフト開発研究に強い。

・慶應義塾大学　理工学部　機械工学科／電気情報工学科
EV・自動運転・情報通信融合の研究・教育拠点。

・北海道大学　工学部　機械知能工学科／応用化学コース
自動車・部品・材料・環境の複合領域に対応。

・九州大学　工学部　機械航空工学科／電気情報工学科
自動車・エネルギー・制御・材料研究、地域産業連携も盛ん。

・千葉大学　工学部　総合工学科（機械電子・情報電子領域）
EVや自動運転など次世代自動車技術を体系的に学べる。

1-2. 半導体・電子部品（Semiconductors & Electronic Components）

概要

半導体（チップ）や電子部品の設計・製造を行い、スマホ・PC・家電・自動車などに供給。AIやIoT、5Gで需要が拡大。

現状と将来の見通し

世界：半導体不足の影響緩和、先端プロセス（3nm以下）、AI・自動運転・5G用チップ開発が活発。地政学リスクから米中対立によるサプライチェーン再編も進む。
日本：素材・製造装置で強み、国内製造は縮小傾向だが高付加価値品・検査・設計支援で活路。政府支援強化とDX推進がカギ。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・NVIDIA（エヌビディア／米国） … 約518兆円
・Broadcom（ブロードコム／米国） … 約118兆円
・TSMC（ティーエスエムシー／台湾） … 約160兆円
・Samsung Electronics（サムスン電子／韓国） … 約43兆円
・Intel（インテル／米国） … 約13兆円

【日本】
・ソニーグループ … 約23兆円
・東京エレクトロン … 約5兆円
・信越化学工業 … 約5兆円
・村田製作所 … 約4兆円
・ルネサスエレクトロニクス … 約1.2兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 電気電子工学科
半導体デバイス、集積回路設計、電子部品開発、AI/IoT対応回路、光エレクトロニクス、パワーエレクトロニクス、通信デバイス。

・工学部 – 応用物理学科／物理工学科
半導体物性、ナノ材料、量子デバイス、フォトニクス（光電子工学）、材料物理。

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
半導体材料（シリコン、化合物半導体）、薄膜・ナノテクノロジー、絶縁膜・導電膜、化学的製造プロセス。

・情報学部／情報理工学部／工学部情報工学科
半導体回路設計用CAD、組込みシステム、AI・IoT応用、ディジタル信号処理、EDAツール開発。

・工学部 – 精密工学科／機械工学科
半導体製造装置、検査・露光装置設計、精密加工技術、FA（ファクトリーオートメーション）。

・理学部 – 物理学科／化学科
半導体基礎物性、固体物理、無機材料化学、表面界面科学。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学工学部電子情報工学科／応用化学科／物理工学科
　半導体・ナノ材料・電子デバイス・AIチップ研究などの最先端分野に強み。

・東京科学大学（旧東京工業大学）工学院電気電子系／物質理工学院材料系／情報理工学院
　回路設計・半導体材料・製造装置・AI応用など幅広い分野をカバー。

・京都大学工学部電気電子工学科／材料工学科／情報学科
　先端デバイス・新材料・プロセス技術・AIチップ・量子デバイス研究に強み。

・大阪大学基礎工学部システム科学科／電子物理科学科／情報科学科
　半導体製造・材料・設計・AI・自動運転向けチップ開発など。

・東北大学工学部電気情報物理工学科／材料科学総合学科
　半導体材料（特に酸化物・化合物）、パワーデバイス、情報通信デバイスに伝統と実績。

・名古屋大学工学部電気電子・情報工学科／物理工学科
　車載半導体、パワーデバイス、回路設計、材料・装置・AI応用にも強み。

・早稲田大学先進理工学部応用物理学科／電気・情報生命工学科
　集積回路、半導体製造、材料開発、AI応用、IoTデバイス分野が充実。

・慶應義塾大学理工学部電子工学科／物理情報工学科
　回路設計・組込みシステム・材料・デバイス・AI・IoT分野の研究拠点。

・北海道大学工学部応用物理学科／応用化学科
　半導体物性、材料、デバイス、化学プロセス、製造装置分野に対応。

・九州大学工学部電気情報工学科／応用化学科
　パワー半導体、材料・デバイス・設計・検査・製造プロセス研究に強み。

1-3. 電機・家電（Electrical Equipment & Consumer Electronics）

概要

テレビ、スマホ、白物家電、産業用機器などの開発・製造を行う産業。

現状と将来の見通し

世界：スマート家電・IoT機器の拡大、高効率・省エネ技術、AI搭載製品が成長軸。中国メーカーの台頭と競争激化。
日本：高付加価値製品・産業用機器に軸足。ソニー・パナソニックは映像・エンタメ・電池など多角化。デジタルトランスフォーメーションや新素材開発が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】

・Apple（アップル／米国） … 約420兆円
・Samsung Electronics（サムスン電子／韓国） … 約95兆円
・Sony Group（ソニーグループ／日本） … 約17兆円
・LG Electronics（LGエレクトロニクス／韓国） … 約10兆円
・Panasonic Holdings（パナソニックホールディングス／日本） … 約4兆円

【日本】

・ソニーグループ … 約17兆円
・日立製作所 … 約11兆円
・パナソニックホールディングス … 約4兆円
・シャープ … 約0.6兆円
・東芝 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 電気電子工学科
　家電・スマホ・IoT機器・産業用ロボットの回路設計、半導体、センサー、パワーエレクトロニクス、無線通信、AIハードウェア。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
　スマート家電やIoT機器のソフトウェア、組込みシステム、AI・画像認識、音声処理、ネットワーク制御、サイバーセキュリティ。

・工学部 – 機械工学科
　産業機器・ロボットの設計・メカトロニクス、熱流体・省エネ技術、精密加工、デジタル家電の構造設計。

・工学部 – 応用化学科／材料工学科
　家電や電池の材料開発、新素材（有機EL・リチウムイオン電池・高分子材料・新磁性材料）、放熱・絶縁技術。

・工学部 – システム創成／システム工学科
　IoT機器の統合設計、システム最適化、DX（デジタルトランスフォーメーション）、スマート工場。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部電気電子工学科／機械工学科／マテリアル工学科
　エレクトロニクス・半導体・AI・ロボットから新素材まで幅広く最先端研究が可能。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院電気電子系／情報通信系／機械系
　スマート家電・IoT・ロボティクス・AI家電のソフト/ハード両面を学べる。

・大阪大学　工学部電気電子情報工学科／機械工学科／応用化学科
　家電・産業機器の基盤技術や新素材・高効率化・AI活用研究に強み。

・東北大学　工学部電気情報物理工学科／材料科学総合学科
　半導体・次世代材料・通信技術・IoT分野の研究が盛ん。

・京都大学　工学部電気電子工学科／材料工学科／情報学研究科
　AI搭載製品・省エネ・スマート家電、基礎から応用まで体系的に学べる。

・名古屋大学　工学部電気電子・情報工学科／材料工学科
　産業用機器やスマート家電、次世代デバイス、材料技術で企業連携も豊富。

・早稲田大学　先進理工学部電気・情報生命工学科／創造理工学部総合機械工学科
　IoT家電・AI搭載機器・新素材・ロボット分野で産学連携。

・慶應義塾大学　理工学部電気情報工学科／機械工学科
　IoT、エンタメ機器、通信・AI・制御・家電の融合研究を推進。

・九州大学　工学部電気情報工学科／機械工学科
　スマート家電・省エネ・新エネルギー家電・IoTデバイス分野で研究体制が充実。

・東京理科大学　工学部電気工学科／情報工学科／応用化学科
　電子デバイス・AI応用・材料開発・家電関連技術の実践的研究に注力。

1-4. 化学（Chemicals）

概要

基礎化学品、機能性材料、医薬品原料、農薬、化粧品など多様な化学製品の製造を担う産業。

現状と将来の見通し

世界：持続可能な材料（バイオプラスチック、リサイクル材）、脱炭素化に向けたグリーンケミカルの開発が加速。新興国の需要増に伴い成長。規制強化や環境対応が課題。
日本：高付加価値素材や医薬品原料に強み。海外事業拡大と環境規制対応が必須。研究開発投資を強化し、環境配慮製品へのシフトが進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Sinopec（シノペック／中国） … 約13.6兆円
・BASF（ビーエーエスエフ／ドイツ） … 約6.0兆円
・Dow（ダウ／米国） … 約3.0兆円
・LyondellBasell（リオンデルバセル／米国） … 約2.7兆円
・Covestro（コベストロ／ドイツ） … 約1.8兆円

【日本】
・信越化学工業 … 約9.06兆円
・東レ … 約1.59兆円
・旭化成 … 約1.34兆円
・三菱ケミカル … 約1.14兆円
・住友化学 … 約0.56兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 応用化学科／化学工学科
基礎化学、無機・有機化学、分析化学、高分子化学、反応工学、プロセス工学、触媒、環境化学、化学プラント設計。

・工学部 – 材料工学科／高分子材料学科
機能性材料（電子材料、光学材料）、バイオマテリアル、ナノ材料、複合材料、バイオプラスチック、リサイクル技術。

・理学部 – 化学科
基礎化学、物理化学、合成化学、構造解析、グリーンケミストリー（環境負荷低減化学）、創薬化学。

・薬学部 – 薬科学科／創薬科学科
医薬品原料の合成、プロセス開発、薬品製造、分析技術。

・農学部 – 応用生命科学科／農芸化学科
バイオテクノロジー、農薬・肥料の開発、環境化学、微生物利用、発酵工学。

・環境学部／環境工学部
サステナブル素材、リサイクル技術、脱炭素材料、廃棄物処理、環境規制対応化学。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部応用化学科／化学システム工学科／化学生命工学科／理学部化学科
　世界最先端の基礎・応用化学研究、グリーンケミカル・新素材開発にも強い。

・京都大学　工学部理工化学科／理学部化学科
　基礎化学から材料、バイオ、環境化学まで幅広く研究。応用・産学連携も活発。

・大阪大学　基礎工学部化学応用科学科／理学部化学科／基礎工学部システム科学科
　高分子材料・機能性材料、医薬品原料・環境対応材料の研究が盛ん。

・東京科学大学（旧：東京工業大学）　物質理工学院応用化学系／材料系
　産業材料、環境調和型化学、新素材やバイオマテリアル分野で日本有数。

・東北大学　工学部化学・バイオ工学科／理学部化学科
　材料化学、ナノ材料、機能性高分子、環境調和型化学の研究で先進。

・名古屋大学　工学部化学生命工学科／理学部化学科
　基礎から応用・医薬・機能性材料・環境化学など幅広い。

・北海道大学　工学部応用化学科／理学部化学科／農学部応用生命科学科
　高分子・無機有機化学、農薬、バイオマス素材、持続可能技術研究も強い。

・九州大学　工学部応用化学科／理学部化学科／農学部応用生命科学科
　バイオプラスチック、機能性材料、環境対応化学、医薬品原料など多彩。

・早稲田大学　先進理工学部応用化学科／創造理工学部環境資源工学科
　化学、材料、エネルギー、環境対応材料の最先端研究。

・慶應義塾大学　理工学部応用化学科／生命情報学科
　医薬品原料、機能性材料、バイオテクノロジーなど融合領域に強み。

・筑波大学　理工学群応用理工学類／生命環境学群生物資源学類
　化学、材料、バイオマス、サステナブル素材の先進研究。

・東京理科大学　理学部第一部化学科／工学部応用化学科
　基礎・応用化学、機能性材料、環境化学、医薬品・農薬分野に強み。

1-5. 機械（Machinery）

概要

産業機械、工作機械、建設機械、農業機械など多様な機械の製造を担う産業。

現状と将来の見通し

世界：スマートファクトリー向けのIoT搭載機械や自動化機器の需要増加。新興国のインフラ整備も市場を押し上げ。
日本：高度な工作機械・ロボット技術で世界市場で強み。海外展開・新素材活用、生産効率化が課題。DX推進が重要。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Siemens（シーメンス／ドイツ） … 約26兆円
・Caterpillar（キャタピラー／米国） … 約23兆円
・ABB（エービービー／スイス） … 約14兆円
・Komatsu（コマツ／日本） … 約4.25兆円
・Hitachi Construction Machinery（日立建機／日本） … 約0.94兆円

【日本】
・三菱重工業 … 約11.7兆円
・ファナック … 約3.48兆円
・コマツ … 約4.25兆円
・日立建機 … 約0.94兆円
・ヤンマー … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科
産業機械・工作機械・建設機械・農業機械の設計・製造、メカトロニクス、ロボティクス、制御工学、CAD/CAM、熱・流体・構造力学、メンテナンス技術。

・工学部 – 電気電子工学科
産業用ロボット・自動化装置のセンサー制御、パワーエレクトロニクス、IoT・スマートファクトリー向け制御システム、産業用モーター・インバーター開発。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
AI・IoT応用、産業機械の組込みシステム、画像認識・自動化アルゴリズム、ビッグデータ解析、サイバーセキュリティ。

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
高強度鋼・合金、新素材（炭素繊維CFRPなど）、表面処理、耐久性材料、ナノ材料開発。

・工学部 – システム創成学科／システム工学科
生産システム工学、スマートファクトリー設計、オペレーションズリサーチ、工場自動化システム。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部機械工学科／システム創成学科／電気電子工学科
　産業機械、ロボット、スマートファクトリー、IoT、先端制御技術の研究が充実。

・東京科学大学（旧東京工業大学・東京医科歯科大学）工学院　機械系／電気電子系／情報通信系
　産業用ロボット、自動化、AI・スマート製造、情報通信分野で最先端研究に強み。

・大阪大学　工学部機械工学科／電気電子情報工学科
　メカトロニクス、生産工学、材料科学、IoT連携、ロボット技術が盛ん。

・名古屋大学　工学部機械・航空宇宙工学科／電気電子情報工学科
　トヨタ等の産学連携、工作機械、自動化、AI、航空宇宙分野まで横断的に学べる。

・京都大学　工学部機械工学科／材料工学科／情報学科
　機械工学・新素材・情報科学・AIの基礎から応用まで幅広い教育・研究体制。

・早稲田大学　創造理工学部総合機械工学科／先進理工学部応用化学科
　産業ロボット、機械設計、材料・IoT制御など実践的教育と企業連携が特長。

・慶應義塾大学　理工学部機械工学科／電気情報工学科
　自動化、ロボット、材料、ICT融合分野、AI・IoT応用研究に強み。

・東北大学　工学部機械知能・航空工学科／材料科学総合学科
　スマートファクトリー、工作機械、材料開発、航空宇宙、IoT研究の実績多数。

・北海道大学　工学部機械知能工学科／応用化学科
　機械設計、ロボティクス、材料技術、生産工学などの分野で幅広く研究。

・九州大学　工学部機械工学科／電気情報工学科
　自動化、生産技術、産業ロボット、新素材・スマート製造分野の研究が盛ん。

1-6. 食品（Food & Beverages）

概要

加工食品、飲料、調味料などの製造を行う産業。

現状と将来の見通し

世界：健康志向・植物由来食品の需要増。持続可能な農業・製造工程の導入が進む。新興国の消費拡大も成長要因。
日本：高齢化対応の栄養調整食品や機能性食品に注目。輸出拡大と国内市場縮小の二極化。品質・安全管理強化が必須。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Nestlé（ネスレ／スイス） … 約38兆円
・PepsiCo（ペプシコ／米国） … 約25兆円
・Unilever（ユニリーバ／英国・オランダ） … 約21.6兆円
・Mondelez International（モンデリーズ・インターナショナル／米国） … 約12兆円
・The Coca-Cola Company（コカ・コーラ／米国） … 約11.9兆円

【日本】
・味の素 … 約3.65兆円
・アサヒグループホールディングス … 約2.85兆円
・キリンホールディングス … 約1.89兆円
・明治ホールディングス … 約0.91兆円
・サントリーホールディングス … 非上場

候補となる学部と研究分野

・農学部 – 食品科学科／応用生物科学科
食品製造技術、食品化学、食品安全管理、栄養学、機能性食品、発酵工学、食品微生物学、植物由来食品、バイオテクノロジー。

・工学部 – 化学工学科／応用化学科
食品添加物、食品素材開発、プロセス工学、調味料・香料開発、工場自動化、品質管理、環境に配慮した製造技術。

・薬学部 – 薬科学科／健康食品科学
機能性成分、栄養調整食品の開発、サプリメント、有害物質の検査と評価、安全基準。

・生命科学部 – 生命工学科／生物工学科
食品バイオテクノロジー、遺伝子組換え作物、微生物利用、培養技術。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　農学部生命化学・工学専修／農業・資源経済学専修
　食品化学、機能性食品、食品安全、農業経済、サステナブルな食生産に強い。

・京都大学　農学部食品生物科学科／応用生命科学科
　食品化学・発酵、食品バイオ、栄養・健康、最先端の食品安全・機能性研究。

・北海道大学　農学部食品科学科／農業経済学科
　寒冷地農業、機能性食品開発、食品産業マーケティング、農業と食品の統合研究。

・東北大学　農学部生物生産科学科／応用生物化学科
　機能性食品、食品バイオ、食品生産システム、6次産業化、先端バイオ技術。

・大阪大学　工学部応用化学科
　食品添加物、調味料の化学、食品プロセス工学、機能性成分の分析。

・東京科学大学（旧：東京工業大学）　生命理工学院生命理工学系
　食品バイオ、微生物工学、食品製造プロセスの自動化、食のサステナビリティ。

・名古屋大学　農学部応用生命科学科
　食品機能成分の開発、食品安全、栄養設計、先端バイオ技術。

・明治大学　農学部食料環境政策学科／農芸化学科
　食品安全政策、食品の流通とマーケティング、機能性食品の開発。

・早稲田大学　先進理工学部応用化学科
　食品素材・調味料の化学、食品分析・品質管理。

・神戸大学　農学部食料環境システム学科／食品科学科
　食の安全・安心、食品加工技術、食品の国際流通・ブランド化。

1-7. 鉄鋼（Steel）

概要

鉄鋼の製造・加工を担い、自動車、建設、機械など多分野に供給。

現状と将来の見通し

世界：脱炭素化圧力の中で電炉・水素製鉄技術の開発が進む。新興国のインフラ需要が成長を牽引。
日本：国内需要の停滞・縮小が続くが、高機能鋼や環境対応製造で差別化。海外事業強化と環境技術投資が重要。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・ArcelorMittal（アルセロール・ミッタル／ルクセンブルク） … 約3.1兆円
・Tata Steel（タタスチール／インド） … 約3.0兆円
・Nippon Steel（日本製鉄／日本） … 約3.03兆円
・Baoshan Iron & Steel（宝山鋼鉄／中国） … 約2.0兆円
・POSCO（ポスコ／韓国） … 約2.0兆円

【日本】
・日本製鉄 … 約3.03兆円
・JFEホールディングス … 約1.08兆円
・神戸製鋼所 … 約0.64兆円
・新日鐵住金エンジニアリング … 非上場
・日新製鋼 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 材料工学科／金属工学科／応用化学科
鉄鋼材料の開発、製鋼プロセス、電炉・水素製鉄、リサイクル技術、高機能鋼・特殊鋼、新素材（金属合金、ナノ材料）。

・工学部 – 機械工学科
製鉄機械・圧延設備、工場自動化（FA）、鉄鋼加工プロセス、制御工学、機械構造解析。

・工学部 – 環境・エネルギー工学科
製鉄の省エネ技術、脱炭素（カーボンニュートラル）、水素活用、廃棄物・副産物リサイクル、環境負荷低減プロセス。

・工学部 – 化学工学科
鉄鋼製造の反応工学、排ガス処理、プロセス最適化、化学プラント制御。

具体的な大学の候補と学部

東京大学　工学部マテリアル工学科／機械工学科（精密・航空宇宙を含む）／化学システム工学科
　鉄鋼材料からナノ材料まで、環境・エネルギーと融合した研究体制。機械、化学工学とも連携した幅広い専門領域をカバー。

・東北大学　工学部材料科学総合学科（コース：金属フロンティア・材料システム・知能デバイス・材料環境）／機械知能・航空工学科
　金属・材料科学の伝統と強み。鉄鋼・新素材開発、環境材料工学、次世代航空技術に注力。

・名古屋大学　工学部マテリアル工学科／機械・航空宇宙工学科
　自動車産業の集積地で産学連携が盛ん。高機能材料・プロセス開発、最先端の機械・航空宇宙分野の教育研究。

・大阪大学　工学部応用自然科学科（材料工学系）／機械工学科
　鉄鋼・材料分野に加え、カーボンニュートラル社会への技術開発。材料工学・機械工学が連携した研究体制。

・京都大学　工学部材料化学科／機械工学科
　水素還元製鉄・新素材・エネルギー融合の研究が進む。材料と機械両面から最先端技術を学べる。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　物質理工学院材料系／工学院機械系
　鉄鋼・金属・先端材料と機械工学の融合教育・研究。総合大学化で一層の先端分野強化。

・九州大学　工学部材料工学科／機械工学科／地球環境工学科
　製鉄・鉄鋼材料と環境対応技術、水素製鉄やリサイクル技術の最先端。多角的に社会課題へ貢献。

・北海道大学　工学部応用マテリアル工学科／機械知能工学科
　寒冷地の環境材料やプロセス開発、総合的な工学研究体制。機械と材料分野の融合教育に特色。

・早稲田大学　先進理工学部応用化学科／創造理工学部総合機械工学科
　高機能鋼・環境対応材料・製造プロセスの教育と研究。幅広い先端分野で産学連携も活発。

・慶應義塾大学　理工学部応用化学科／理工学部機械工学科
　鉄鋼・材料科学、環境経営や先端機械工学など複合的に学べるカリキュラム。研究・企業連携も多い。

2. 農林水産業（Agriculture, Forestry, Fisheries）

概要

農作、畜産、林業、漁業（海洋・内水面含む）を合わせた、食料生産および一次産業の基盤。

現状と将来の見通し

世界：人口増加に伴い食料需要が増す一方、気候変動の影響で農業の収益と安定性に懸念あり。持続可能農業、IoTやスマート農業（自動化、精密農業）が注目されています。

日本：農業はGDP比1 %未満と小規模で、高齢化が深刻。保護政策（輪作調整・価格支持）、高単価作物（ブランド化作物）への転換、ICT農業の推進が図られていますが、制度的・構造的課題が残ります。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約60兆円
日本：約5.5兆円（GDP約550兆円×1.0 %）

2-1. 農業（Agriculture）

概要

作物の栽培、種苗開発、農業機械の製造・販売を中心に担う分野。スマート農業技術や持続可能な農法の導入が進む。

現状と将来の見通し

世界：人口増加による食料需要の拡大に加え、気候変動対策や環境負荷軽減のため、精密農業・バイオ技術が拡大。自動化やデジタル化による生産性向上が課題解決に寄与。

日本：農業人口の高齢化と担い手不足が深刻。ブランド作物や有機農産物の需要増加、ICT活用のスマート農業推進が急務。政府の農地集約化や6次産業化支援も進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Deere & Company（ディア／米国） … 約21.8兆円
・Bayer（バイエル／ドイツ） … 約4.6兆円
・Nutrien（ニュートリエン／カナダ） … 約4.5兆円
・Archer Daniels Midland（アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド／米国） … 約3.5兆円

【日本】
・クボタ … 約1.85兆円
・積水化学工業 … 約1.03兆円
・日立建機 … 約0.94兆円
・サカタのタネ … 約0.16兆円
・ヤンマー … 非上場

候補となる学部と研究分野

・農学部 – 作物生産学科／農学科
作物栽培学、作物遺伝学、種苗開発、病害虫管理、植物バイオテクノロジー。

・農学部 – 生物資源科学科
農業資源の管理・利用、バイオマス利用、環境保全型農業、資源循環技術。

・農学部 – 農業経済学科
農業経済学、フードシステム、農業経営、6次産業化、国際農業貿易。

・工学部 – 機械工学科／ロボティクス学科
農業機械の設計・自動化、スマート農業（自動運転トラクタ、ドローン等）、センサ・制御工学。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
農業ICT（情報通信技術）、精密農業、AI・ビッグデータ解析、IoTによる環境・生育管理。

・生命科学部 – 応用生物科学科
植物分子生物学、バイオ技術（遺伝子編集等）、新規農薬・肥料の開発。

・環境学部／生物環境科学部
持続可能な農法、環境負荷低減技術、農業と気候変動の研究。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　農学部応用生命科学課程／環境資源科学課程
植物バイオ・作物生産・農業機械・環境制御など多分野をカバーし、最先端の生命科学・資源循環研究も盛ん。

・北海道大学　農学部生物資源科学科／応用生命科学科
寒冷地農業、作物・畜産・微生物、バイオテクノロジーやスマート農業分野の強み。

・京都大学　農学部資源生物科学科／応用生命科学科／地域環境工学科／食料・環境経済学科／森林科学科／食品生物科学科
作物学、育種、バイオサイエンス、環境工学、農業経済など多様な領域の最先端研究が可能。

・東北大学　農学部生物生産科学科／応用生物化学科
作物遺伝・生産・持続型農業技術からバイオテクノロジー・分子生物学まで幅広い研究を展開。

・名古屋大学　農学部生物環境科学科／資源生物科学科／応用生命科学科
環境保全・バイオマス・植物生産・分子生物学・食品科学など多様な学際領域に強い。

・東京農工大学　農学部生物生産学科／応用生物科学科／環境資源科学科／地域生態システム学科／共同獣医学科
スマート農業、育種・ICT農業、バイオテクノロジー、環境・資源循環、動物医療など幅広く対応。

・筑波大学　生命環境学群生物資源学類
農林生物学・応用生物・生態系・農業経済など多彩なコースと国際農業・環境保全まで幅広く学べる。

・九州大学　農学部生物資源環境学科
熱帯農業、食料生産、環境調和型農業、バイオ・6次産業化まで多様なコース・研究体制。

・神戸大学　農学部食料環境システム学科／資源生命科学科
食料生産・環境経済・バイオ資源・都市型農業など、理系・文系を横断する先端研究に対応。

・早稲田大学　先進理工学部応用化学科／創造理工学部環境資源工学科
バイオテクノロジー・資源循環・環境工学など、農学と工学の融合による次世代技術研究が盛ん。

2-2. 畜産（Livestock）

概要

牛、豚、鶏などの飼育および関連加工食品の生産。品質管理や動物福祉への配慮、環境負荷低減技術が注目。

現状と将来の見通し

世界：肉類消費の増加が続くが、環境負荷や健康志向で代替肉・培養肉の研究開発が活発。生産効率とサステナビリティの両立が課題。

日本：国内消費の減少傾向と輸入依存の増加。安全・安心を重視したブランド畜産、AIを用いた健康管理、飼料効率化など技術革新が求められる。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Tyson Foods（タイソンフーズ／米国） … 約2.8兆円
・Hormel Foods（ホーメルフーズ／米国） … 約2.4兆円
・JBS（ジェービーエス／ブラジル） … 約2.2兆円
・BRF（ビーアールエフ／ブラジル） … 約0.82兆円
・Cargill（カーギル／米国） … 非上場

（※ドル円換算レート1 USD＝140 JPYで算出）

【日本】
・日本ハム … 約0.50兆円
・キユーピー … 約0.47兆円
・マルハニチロ … 約0.15兆円
・伊藤ハム … 非上場
・ホクレン農業協同組合連合会 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・農学部 – 畜産学科／動物科学科
牛・豚・鶏などの飼育・繁殖、家畜栄養学、飼料開発、遺伝改良、動物福祉、畜産経営。

・農学部 – 応用生命科学科／生物資源科学科
畜産物の品質管理、食肉科学、食品衛生、加工技術、バイオテクノロジーを活用した畜産生産。

・農学部 – 環境資源学科／環境共生学科
畜産の環境負荷低減、バイオマス利用、循環型畜産システム、温室効果ガス対策、持続可能性評価。

・獣医学部
家畜の健康管理・疾病予防、ワクチン・薬剤開発、動物福祉、畜産衛生。

・工学部 – システム工学科／情報工学科
畜産分野のAI・IoT活用、スマート畜産、健康モニタリング技術、自動給餌・環境制御システム。

具体的な大学の候補と学部

・北海道大学　農学部畜産科学科／大学院獣医学研究院（獣医学課程）
　北方圏の畜産・酪農拠点。家畜生産やスマート農業、動物衛生・福祉の最先端研究。帯広畜産大学と共同獣医学課程も実施。

・帯広畜産大学　畜産学部畜産科学課程／共同獣医学課程
　日本唯一の畜産学部。家畜生産、畜産環境、食品科学、国際教育プログラムに強み。北海道大学との共同獣医学課程も展開。

・東京大学　農学部応用生命科学課程／獣医学課程
　最先端バイオ、食品安全、動物衛生・獣医学教育。課程制で獣医学専修も設置。研究・実験設備が充実。

・京都大学　農学部応用生命科学科（獣医学・動物福祉分野含む）
　バイオサイエンス、食肉科学、環境保全型畜産など。獣医学部は設置なしだが、学部内で獣医学関連研究が可能。

・名古屋大学　農学部応用生命科学科／資源生物科学科
　動物生産・家畜管理・バイオ資源開発など。最新のカリキュラムや研究拠点が充実。（学科名は要再確認）

・鹿児島大学　共同獣医学部獣医学科／農学部畜産学科
　南九州の畜産研究・肉用牛・豚・鶏の改良や疾病研究。2024年に共同獣医学部・畜産学科へ改組。国際獣医教育認証取得。

・東北大学　農学部応用生命科学科（要確認）
　家畜生産や環境調和型農業、畜産物利用技術の研究。学科名は最新情報で再確認推奨。

・東京農業大学　農学部動物科学科
　家畜飼育、動物栄養、ペット・伴侶動物、行動学まで幅広く学べる。実習・研究環境が充実。

・麻布大学　獣医学部獣医学科
　家畜・動物の疾病、衛生管理、獣医公衆衛生を学ぶ。附属動物病院や多様な実習機会を提供。

・広島大学　生物生産学部生物生産学科
　畜産生産、食品科学、動物資源応用の研究・教育拠点。食品科学や応用動植物科学分野を幅広くカバー。

2-3. 林業（Forestry）

概要

森林の管理・伐採・木材加工を行う産業。環境保全やCO2吸収源としての役割も注目される。

現状と将来の見通し

世界：持続可能な森林管理、森林認証制度（FSCなど）、林業の機械化やバイオマス活用が拡大。違法伐採対策も重要課題。

日本：森林資源の有効活用が課題。後継者不足・輸入木材依存の問題があり、スマート林業（ドローン、ICT）や木質バイオマス発電への期待が高まる。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Weyerhaeuser（ワイヤーハウザー／米国） … 約2.9兆円
・UPM-Kymmene（UPM／フィンランド） … 約2.2兆円
・Stora Enso（ストラエンソ／フィンランド） … 約1.2兆円
・West Fraser Timber（ウエストフレーザー／カナダ） … 約0.9兆円
・Canfor（キャンフォー／カナダ） … 約0.2兆円

【日本】
・住友林業 … 約1.7兆円
・日本製紙グループ … 約0.3兆円
・王子ホールディングス … 約0.3兆円
・大王製紙 … 約0.2兆円
・林野庁（政府機関） … 非上場

候補となる学部と研究分野

・農学部 – 森林科学科／林学科
森林生態学、森林管理学、林業経営学、森林政策学、森林資源工学、森林環境保全、森林生物学、野生動物管理。

・農学部 – 生物資源科学科
森林バイオマス利用、木材科学、バイオエネルギー、森林生態系の持続的利用。

・工学部 – 環境工学科／環境システム工学科
森林・木材資源の循環利用、バイオマス発電、再生可能エネルギー、環境負荷評価。

・工学部 – 建築学科／木質構造工学科
木造建築、木材利用工学、木質バイオマス活用、木材加工技術。

・情報学部／情報科学部
スマート林業（ドローン・リモートセンシング・ICT活用）、AIによる森林管理、GIS（地理情報システム）。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　農学生命科学部森林生物科学専修／生物材料科学専修
　森林科学や木材科学の最先端研究。CO₂吸収や生態系保全の基礎と応用。

・京都大学　農学部森林科学専攻
　森林生態・管理・バイオマス利用に強い。森林環境政策や社会科学分野も充実。

・北海道大学　農学部森林科学科／工学部環境社会工学科
　広大な演習林での実践型教育、森林バイオマスやスマート林業の研究が特色。

・東京農工大学　農学部森林総合科学科
　林業、木材科学、バイオマスエネルギー、ドローンなどICT活用にも強い。

・九州大学　農学部地球森林科学コース
　九州の森林資源を生かした管理・利用、バイオマスエネルギー、持続可能な林業、森林環境政策・砂防等も対象。

・静岡大学　農学部生物資源科学科
　森林環境保全、林業経営、森林利用の地域研究が強み。

・信州大学　農学部森林・環境共生学コース
　長野県の山岳地帯で森林生態学や持続的林業を学ぶ。※2025年4月より「山岳圏森林・環境共生学コース」へ改組。

・愛媛大学　農学部生物環境学科森林資源学コース
　四国の森林資源を活かした実学重視、林業とバイオマス。

・岐阜大学　応用生物科学部森林科学課程
　木材利用や森林工学、山地防災、野生生物管理。

・筑波大学　生命環境学群生物資源学類
　森林資源管理、木質バイオマス、資源循環の幅広い教育。

・名古屋大学　農学部生物環境科学科
　森林環境の解析や資源利用の研究に強み。

2-4. 水産業（Fisheries）

概要

漁業（海洋・内水面）、養殖、魚介類加工および流通。資源管理や環境負荷低減技術が重要。

現状と将来の見通し

世界：乱獲や環境変動による資源減少対策が喫緊の課題。持続可能な漁業認証、養殖技術の高度化、海洋保全が進展。

日本：漁業従事者の減少・高齢化、資源管理の強化が必要。高付加価値加工・ブランド化、スマート漁業（ICT・AI利用）推進が求められる。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

・Mowi ASA（モヴィ／ノルウェー） … 約1.4兆円
・Nippon Suisan Kaisha（ニッスイ／日本） … 約0.26兆円
・Thai Union Group（タイユニオン／タイ） … 約0.16兆円
・Maruha Nichiro（マルハニチロ／日本） … 約0.15兆円
・Trident Seafoods（トライデントシーフード／米国） … 非上場

【日本】
・商船三井 … 約1.8兆円
・日本水産（ニッスイ） … 約0.26兆円
・マルハニチロ … 約0.15兆円
・極洋 … 約0.55兆円
・はごろもフーズ … 非上場

候補となる学部と研究分野

・農学部 – 水産学科／水産科学科
海洋・内水面漁業、資源管理、養殖技術、魚類生態、魚介類の増養殖、スマート漁業（ICT・AI活用）、水産資源の持続可能性、漁業経済。

・農学部 – 食品科学科／食品生命科学科
水産物の加工・保存技術、機能性成分の研究、高付加価値製品開発、食品衛生、品質管理。

・理学部 – 生物学科／海洋生物学科
海洋生物の生態・進化、水圏生態学、水産資源の基礎研究、海洋環境科学。

・工学部 – 環境工学科／生物工学科
水質浄化技術、養殖における環境負荷低減技術、バイオテクノロジーの応用、持続可能な資源管理技術。

・情報学部／工学部 – 情報工学科
スマート漁業（AI・IoT・ロボティクス）、漁獲量予測、資源モニタリングシステム、漁業オペレーションの自動化。

具体的な大学の候補と学部

・東京海洋大学　海洋生命科学部海洋生物資源学科／食品生産科学科／海洋政策文化学科
　日本唯一の水産・海洋系総合大学。漁業・養殖・資源管理・環境保全・食品加工技術に強み。

・北海道大学　水産学部海洋生物科学科／海洋資源科学科／増殖生命科学科／資源機能化学科
　漁業資源管理、海洋生物、養殖技術、スマート水産分野の研究で国内有数。北方海域研究も充実。

・長崎大学　水産学部水産学科（コース制：水圏環境資源／水圏生命科学／海洋未来創生）
　日本有数の養殖・水産資源管理研究拠点。スマート水産や環境保全技術も先進的。

・三重大学　生物資源学部生物資源学科海洋生物資源学コース
　資源管理・養殖・加工・環境技術を幅広く学べる。沿岸漁業や養殖に関する研究が盛ん。

・京都大学　農学部応用生命科学科／理学部生物科学科
　魚類生態や海洋生物の進化、分子生物学的な資源研究で実績。

・東北大学　農学部応用生物化学科／理学部地球環境科学科
　水産資源・生態系管理、環境変動への適応研究が盛ん。

・鹿児島大学　水産学部
　熱帯・亜熱帯域の資源管理や養殖技術、水産バイオテクノロジーに強み。

・愛媛大学　農学部生物資源学科（水圏生物科学コース）
　瀬戸内海の養殖・漁業研究拠点。ICT活用型漁業や環境保全分野に強い。

・静岡大学　農学部応用生命科学科
　食品加工、水産資源利用、環境調和型技術を学べる。

・東京大学　農学部／理学部生物学科
　資源管理や持続可能な漁業、海洋生態研究で日本トップレベルの基礎・応用研究を実施。

・近畿大学　農学部水産学科
　養殖技術の世界をリード。最新のスマート水産技術やバイオ関連研究も充実。

3. 建設業（Construction）

概要

住宅、ビル、工場、インフラ（道路・橋梁・鉄道・港湾など）を設計・施工・維持管理する産業。都市開発や再開発、災害復旧も含む。

現状と将来の見通し

世界：人口増加・都市化の進展により、建設需要は長期的に拡大。近年は、建設現場の人手不足や生産性の低さが課題。これを解決するため、BIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング：3次元設計・情報連携）、ロボット建機、モジュール建設、グリーン建築（省エネ・環境配慮建築）への転換が進んでいる。

日本：公共事業や住宅建設が主力だが、少子高齢化で労働力不足が深刻。老朽インフラの維持・更新需要、災害復旧、脱炭素化対応が大きなテーマ。生産性向上やDX（デジタル変革）、女性・外国人労働者の活用、ZEB（ゼロ・エネルギービル）など技術開発・省人化が急務。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約600兆円
日本：約35兆円

3-1. 総合建設（General Construction）

概要

住宅、商業ビル、インフラ（道路・橋・鉄道など）を含む広範な建設工事を手がける。

現状と将来の見通し

世界：都市化とインフラ整備の継続的需要。BIM（3D設計）、モジュール建設、ロボット化、省エネ建築の普及。

日本：労働力不足・高齢化が深刻。老朽化インフラの更新や災害対応が課題。DX・女性・外国人労働者活用、ZEB（ゼロ・エネルギービル）推進が急務。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Vinci（ヴァンシー／フランス） … 約11.7兆円
・China State Construction Engineering（中国建設／中国） … 約4.7兆円
・ACS Group（ACSグループ／スペイン） … 約2.5兆円
・Skanska（スカンスカ／スウェーデン） … 約1.2兆円
・Balfour Beatty（バルフア・ビーティー／英国） … 約0.48兆円

【日本】
・鹿島建設 … 約1.75兆円
・大林組 … 約1.53兆円
・清水建設 … 約1.12兆円
・戸田建設 … 約0.3兆円
・竹中工務店 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 建築学科／建設工学科
住宅、商業ビル、都市建築、耐震設計、省エネ建築、ZEB（ゼロ・エネルギービル）、災害対応建築、BIM（3D設計）、施工管理。

・工学部 – 土木工学科
インフラ設計（道路・橋・鉄道・トンネル・空港・港湾）、都市計画、地盤工学、構造力学、維持管理（インフラの老朽化対策）、防災工学。

・工学部 – 環境工学科／都市工学科
都市インフラ計画、都市再生、スマートシティ、省エネ技術、グリーンインフラ、サステナブル建築、モジュール建設、環境負荷低減技術。

・情報学部／情報科学部／システム工学科
建設DX（デジタルトランスフォーメーション）、建設業向けAI・IoT活用、ロボット施工、BIM・CIM活用、スマート施工管理。

・理工学部／応用化学科／材料工学科
建材の新素材（高強度コンクリート、断熱材、省エネ素材）、構造材料開発、建築材料の耐久性・安全性評価。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部建築学科／都市工学科／社会基盤学科
　建築・インフラ・都市計画・BIM・環境建築など幅広い最先端研究、公共インフラ分野で日本トップクラス。

・京都大学　工学部建築学科／地球工学科（土木・都市系）
　耐震・防災・インフラ維持管理・都市再生に強み。災害対応やサステナブル都市分野でも著名。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　環境・社会理工学院建築学系／土木・環境工学系
　ZEB、省エネ・スマートシティ、都市インフラの革新研究が盛ん。

・大阪大学　工学部地球総合工学科（建築工学コース含む）
　インフラ維持管理、都市再生、構造安全性、防災など社会基盤の研究に強い。

・名古屋大学　工学部環境土木・建築学科
　中部圏の大手ゼネコンと連携。BIM・ロボット化、省エネ建築、都市開発分野の先端研究。

・早稲田大学　創造理工学部建築学科／社会環境工学科
　建築・都市設計、耐震、インフラDX、グローバル建設経営分野にも強み。

・慶應義塾大学　理工学部システムデザイン工学科（建築デザイン分野を含む）
　都市設計、省エネ建築、建設プロジェクト管理、AI・デジタル施工管理など幅広い。

・北海道大学　工学部環境社会工学科（建築都市コース／社会基盤コース）
　寒冷地建築、都市インフラ、防災・災害対策など独自の強み。

・九州大学　工学部建築学科／地球環境工学科（土木）
　アジア地域連携、ZEB・省エネインフラ、建設の国際ビジネスにも注力。

・千葉大学　工学部建築学科／都市環境システム学科
　スマートシティ、省エネ・環境都市開発、都市インフラDXに対応したカリキュラム。

3-2. 住宅建設（Residential Construction）

概要

戸建て住宅、マンションなど居住用建築の設計・施工を主に担う。

現状と将来の見通し

世界：都市人口増加に伴う住宅需要の増加。プレハブ・モジュール住宅や省エネ住宅の普及が進む。

日本：人口減少により市場縮小。高齢者対応住宅やスマート住宅、空き家対策、リフォーム需要が拡大。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・D.R. Horton（ディーアール・ホートン／米国） … 約5.4兆円
・Lennar（レナー／米国） … 約4.1兆円
・NVR（エヌブイアール／米国） … 約3.0兆円
・PulteGroup（パルテグループ／米国） … 約2.9兆円
・Toll Brothers（トール・ブラザーズ／米国） … 約1.5兆円

【日本】
・大和ハウス工業 … 約3.2兆円
・積水ハウス … 約2.0兆円
・住友林業 … 約0.9兆円
・一建設 … 約0.1兆円
・ミサワホーム … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 建築学科
戸建住宅・マンションの設計、耐震・耐火設計、都市住宅計画、環境建築、省エネ住宅、住宅設備・スマートホーム技術。

・工学部 – 土木工学科
住宅地開発、基礎工学、インフラ設計、宅地造成、都市計画、空き家再利用。

・工学部 – 環境工学科
省エネ住宅、環境共生住宅、エコ建材、再生可能エネルギー利用住宅、住宅のライフサイクル評価。

・生活科学部／人間科学部 – 住居学科
住宅の居住性、インテリア設計、高齢者・障害者対応住宅（バリアフリー）、生活動線設計、住環境デザイン。

・情報学部／情報理工学部 – 情報工学科
スマートホーム、IoT住宅、住宅管理システム、AIによる住宅設計支援。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部建築学科／都市工学科
　耐震住宅・都市住宅計画、省エネ設計、都市再生などの最先端研究。大手建築会社・不動産業界とも連携。

・京都大学　工学部建築学科／社会基盤工学科
　環境建築、省エネルギー住宅、住宅地の持続可能開発、都市基盤整備に強み。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　環境・社会理工学院建築学系
　スマート住宅、IoT活用住宅、省エネ技術、持続可能な都市居住の研究が活発。

・早稲田大学　創造理工学部建築学科／社会環境工学科
　住宅・都市デザイン、省エネ・環境配慮住宅、リフォーム・再生可能建築の研究に注力。

・大阪大学　工学部環境・エネルギー工学科
　住宅のエネルギー設計、持続可能な居住空間、環境技術や都市空間の開発などに強み。

・名古屋大学　工学部社会基盤工学科
　耐震・防災住宅、住宅地開発、都市再生プロジェクト、都市・地域インフラ整備。

・千葉大学　工学部建築学コース／都市工学コース
　住居学・生活科学と工学の融合、バリアフリー住宅・高齢者対応住宅、都市空間デザイン。

・日本大学　理工学部建築学科／生産工学部建築工学科
　住宅設計・施工管理・住宅地計画、実務重視の教育体系で建築技術者を育成。

・神戸大学　工学部建築学科／市民工学科
　スマート住宅、住宅の環境設計、都市住宅・社会インフラの開発に強み。

・女子美術大学　生活環境デザイン学科
　インテリア・住空間デザイン、生活動線設計、生活者視点の住宅設計を重視。

3-3. 専門工事（Specialty Trade Contractors）

概要

設備工事（電気・空調・配管）、内装、仕上げ工事など建設プロジェクトの専門工事を担当。

現状と将来の見通し

世界・日本共に技術者不足が課題。省エネ設備、IoT連携設備、環境配慮型工事の需要増。デジタル施工や安全管理システム導入が進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Siemens（シーメンス／ドイツ） … 約29兆円
・Honeywell International（ハネウェル／米国） … 約22兆円
・Schneider Electric（シュナイダー／フランス） … 約22兆円
・Emerson Electric（エマーソン／米国） … 約10兆円
・AECOM（エイコム／米国） … 約2兆円

【日本】
・日揮ホールディングス … 約0.32兆円
・日本電設工業 … 約0.15兆円
・東洋エンジニアリング … 約0.03兆円
・フジタ … 約0.02兆円
・大末建設 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 電気電子工学科
電気設備工事、制御システム、IoT機器設計、電力インフラ、ビルオートメーション。

・工学部 – 機械工学科
空調・給排水設備設計、配管システム、熱エネルギー管理、省エネ機器開発、設備保守工学。

・工学部 – 建築学科
建築設備設計（電気・空調・配管）、環境工学、建築プロジェクト管理、室内環境制御、施工計画。

・工学部 – 土木工学科
インフラ設備設計、施工技術、安全管理、都市インフラの配管・設備設計。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
デジタル施工（BIM, CAD, IoT連携）、施工管理システム、センサー・監視システム、AIを活用した安全管理。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部建築学科／電気電子工学科／機械工学科
　建築・設備・インフラの融合研究、省エネ・IoT設備の先端研究が盛ん。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　環境・社会理工学院建築学系／工学院電気電子系／工学院機械系
　BIMやスマートビル設備、設備機器のデジタル制御分野で強み。

・早稲田大学　創造理工学部建築学科／総合機械工学科／経営システム工学科
　建築・設備・内装、施工管理、スマート建築研究拠点。

・京都大学　工学部建築学科／電気電子工学科／機械工学科
　省エネ・環境配慮型設備、スマート施工技術、安全管理技術などで実績。

・名古屋大学　工学部建築学科／機械・航空宇宙工学科／電気電子情報工学科
　建築・設備・制御分野の産学連携が活発。

・大阪大学　工学部環境・エネルギー工学科建築工学コース／機械工学科／電気電子情報工学科
　大型プロジェクト向け設備工学、先進IoT連携設備の研究が進む。

・東北大学　工学部建築・社会環境工学科／電気情報物理工学科
　インフラ設備、スマート施工、建築物の環境性能評価研究。

・九州大学　工学部建築学科／電気情報工学科／機械工学科
　設備施工・内装・省エネ技術、デジタル施工管理分野に強い。

・芝浦工業大学　工学部建築学科／電気工学科／機械工学科
　実務的な施工管理・設備設計技術、業界連携による教育が特徴。

・東京都市大学　建築都市デザイン学部建築学科／環境学部環境創生学科
　環境・省エネ建築、建築設備、環境配慮型の先端設備工事を学べる。

3-4. 建設資材（Construction Materials）

概要

セメント、コンクリート、鉄鋼、ガラス、建材など建設に必要な材料の製造・供給。

現状と将来の見通し

世界的に脱炭素圧力が強まる中、低CO2セメントやリサイクル建材開発が加速。資材コストの高騰と需給バランスの課題もある。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・LafargeHolcim（ラファージュホルシム／スイス） … 約9.5兆円
・CRH plc（CRH／アイルランド） … 約9.4兆円
・HeidelbergCement（ハイデルベルグセメント／ドイツ） … 約5.3兆円
・Cemex（セメックス／メキシコ） … 約1.5兆円
・Taiheiyo Cement（太平洋セメント／日本） … 約0.42兆円

【日本】
・Komatsu（コマツ） … 約4.25兆円
・太平洋セメント … 約0.42兆円
・東洋建設 … 約0.14兆円
・住友大阪セメント … 約0.13兆円
・日鉄鉱業 … 約0.12兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
セメント・コンクリート・鉄鋼・ガラスなど建設材料の開発、機能性材料、リサイクル材料、低CO2技術、環境対応型素材の研究。

・工学部 – 土木工学科
構造材料（コンクリート・鋼材等）の設計・評価、建設材料の長寿命化・耐久性評価、建設資材の再利用・循環システム、インフラのサステナビリティ。

・工学部 – 建築学科
建築材料（コンクリート、ガラス、断熱材等）の開発・応用、建築構造と資材選択、省エネ建材、新建材・環境配慮建材の設計。

・工学部 – 機械工学科
鉄鋼・ガラス・セメントの生産プロセスの効率化、資源循環プロセス設計、設備・プラント技術、製造プロセスの自動化・最適化。

・理学部 – 化学科
無機化学・材料化学を基盤とした新規建設材料の開発、ナノ材料、触媒反応、材料評価技術。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部物理工学科（材料科学含む）／建築学科／地球工学科
　世界トップレベルの材料科学・建築・土木・資源分野。低炭素材料や循環型建材、都市インフラまで幅広い研究が可能。

・京都大学　工学部物理工学科（材料科学含む）／建築学科／地球工学科
　耐久性・高機能建材やリサイクル技術、鉄鋼材料の最先端研究。土木・建築の複合的な課題解決に強み。

・東北大学　工学部材料科学総合学科／建築・社会環境工学科
　鉄鋼・セメント・ガラスなどの材料科学や建築・土木の分野で産業界と連携した研究が盛ん。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　物質理工学院材料系／環境・社会理工学院土木・環境工学系
　省エネ材料、環境調和型セメント、革新的建材開発の先端研究拠点。

・大阪大学　工学部応用自然科学科（材料科学コース）／建築工学科
　最先端の材料設計・鉄鋼・無機材料研究、建築材料の機能化や環境対応技術も充実。

・名古屋大学　工学部材料デザイン工学科／社会環境工学科
　自動車・建設・環境分野での材料研究や鉄鋼・セメント技術、環境負荷低減に強み。

・早稲田大学　創造理工学部建築学科／先進理工学部応用化学科
　建築材料・機能性材料・省エネ建材などの応用・産業連携も多数。

・九州大学　工学部材料工学科／建築学科／地球資源システム工学科
　アジア最大級の材料系研究拠点。資源循環・サステナブル建材など持続可能な社会への貢献が大きい。

・北海道大学　工学部応用化学科／環境社会工学科
　寒冷地建材や資源循環材料、土木資材の耐久性評価や寒冷地対応技術の研究が進む。

・千葉大学　工学部建築学科／総合工学科材料系コース
　建築材料・構造材料・リサイクル建材の実践的研究、地域産業との連携を推進。

4. 卸売・小売業（Wholesale / Retail）

概要

商品の流通（仕入れ・販売）を担う産業。卸売業はメーカーと小売の間、小売業は消費者への最終販売を担当。百貨店、スーパー、コンビニ、EC（電子商取引）も含む。

現状と将来の見通し

世界：EC（Eコマース）の拡大、オムニチャネル（実店舗とネット融合）が進展。物流効率化、AIによる在庫・需要予測、キャッシュレス決済など技術革新がカギ。サステナビリティ（持続可能性）対応も重視。

日本：人口減・消費低迷・地方衰退が課題。大手チェーンの寡占化、ECシフト、インバウンド消費、DX推進（POSデータ分析、AI発注、無人店舗）、物流の効率化・人手不足対策が進む。小売業のデジタル化と多様化が必須。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約250兆円
日本：約55兆円

4-1. 食品・飲料小売（Food & Beverage Retail）

概要

スーパーマーケット、コンビニエンスストア、食品専門店など、消費者に食料品や飲料を販売する業態。

現状と将来の見通し

世界：ECの急速な拡大に伴い、オンライン食品販売が成長。サプライチェーンの効率化、健康志向商品の強化、サステナビリティ対応が進む。AIによる需要予測や無人店舗も普及傾向。

日本：高齢化に伴う宅配需要増加、地方の小規模店の減少、大手チェーンの寡占化が進行。デジタル化、キャッシュレス決済、食品ロス削減や地産地消の推進が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Walmart（ウォルマート／米国） … 約116兆円
・Costco Wholesale（コストコ／米国） … 約67兆円
・Alibaba Group（アリババ／中国） … 約43兆円
・Kroger（クローガー／米国） … 約6.6兆円
・Carrefour（カルフール／フランス） … 約1.5兆円

【日本】
・セブン＆アイ・ホールディングス … 約6兆円
・イオン … 約2.5兆円
・ローソン … 約0.5兆円
・ファミリーマート … 非上場

候補となる学部と研究分野

・経済学部／商学部／経営学部
流通・マーケティング、サプライチェーンマネジメント、店舗経営論、消費者行動、フードビジネス論、小売イノベーション、国際流通、デジタルマーケティング。

・農学部／応用生物科学部
食品科学、食品安全管理、食品流通・流通工学、フードサイエンス、食料政策、食品物流・品質管理、バイオサイエンス、食品製造技術、地域農業と地産地消。

・工学部／情報学部
AI・データサイエンス、IoT（モノのインターネット）、無人店舗技術、需要予測アルゴリズム、サプライチェーン効率化、キャッシュレス決済システム、物流ロボティクス。

・生活科学部／人間科学部／栄養学部
食と健康、消費者心理、健康志向食品開発、食品ロス削減、社会調査、地域社会と流通。

・環境学部／社会学部
サステナビリティ、エコロジカルデザイン、食品廃棄物対策、都市と流通の関係、地域経済とフードシステム。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部／農学部／工学部
　食料経済・農業経済・工学分野で、食品流通や食の安全、AIによる流通最適化研究が盛ん。

・京都大学　農学部／経済学部
　食料経済、食品科学、地域フードシステムなどの研究が強み。農業と流通の連携や食品ロスにも注力。

・早稲田大学　商学部／人間科学部
　マーケティング、流通科学、消費者心理、新しい小売モデルやデジタルマーケティング研究を推進。

・慶應義塾大学　商学部／環境情報学部
　サプライチェーン管理、フードテック、データサイエンス、食とサステナビリティの融合研究に強み。

・大阪大学　経済学部／工学部
　流通経済やマーケティング、情報工学分野で小売・食品分野と連携。AIと流通の融合を推進。

・名古屋大学　農学部／経済学部
　食料・農業経済、食品流通、地域産業、サプライチェーン最適化など多面的な研究体制。

・北海道大学　農学部／経済学部
　食料生産から消費まで一貫した研究。寒冷地流通や地産地消、地域活性化に寄与。

・神戸大学　経営学部／農学部
　流通科学、食品流通政策、サステナビリティ経営分野が充実。食品企業との産学連携も盛ん。

・千葉大学　園芸学部／人文社会科学部
　食品流通、地産地消、フードシステム、地域と小売の連携について多角的に学べる。

・明治大学　農学部／商学部
　食品ビジネス、マーケティング、食品ロス削減や健康食品流通など、実務教育も豊富。

4-2. 一般小売（General Retail）

概要

衣料品、家電、家具、日用品など幅広い商品を販売する店舗やチェーン。百貨店や量販店も含む。

現状と将来の見通し

世界：EC市場との競合が激化し、オムニチャネル（店舗とネット融合）化が必須。サプライチェーン改革や顧客体験強化が課題。環境負荷低減やサステナビリティ対応も重要。

日本：人口減で店舗数減少が続くが、高付加価値品や体験型サービスを展開する動き。DX導入や店舗運営の効率化、訪日外国人需要回復が期待される。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Amazon.com（アマゾン／米国） … 約330兆円
・Costco Wholesale（コストコ／米国） … 約65兆円
・The Home Depot（ホームデポ／米国） … 約53兆円
・LVMH（ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー／フランス） … 約44兆円
・Inditex（インディテックス／スペイン） … 約25兆円

【日本】
・ファーストリテイリング（ユニクロ） … 約15兆円
・ニトリホールディングス … 約1.6兆円
・ビックカメラ … 約0.26兆円
・島忠 … 非上場
・ヨドバシカメラ … 非上場

候補となる学部と研究分野

・商学部／経営学部
流通・マーケティング、小売マネジメント、オムニチャネル戦略、消費者行動分析、店舗経営、ブランド戦略、SCM（サプライチェーンマネジメント）、デジタルマーケティング、リテールテック（小売×IT）。

・経済学部
流通経済、小売産業分析、産業組織論、価格戦略、消費経済、グローバル経済と小売、地域経済。

・情報学部／情報科学部／工学部情報系
ECサイト構築、データサイエンス、AIによる需要予測、DX（デジタルトランスフォーメーション）、POSシステム、IoT・RFID・物流システム、顧客データ分析。

・工学部（建築・デザイン系）／生活科学部／家政学部
店舗設計・空間デザイン、什器開発、ユーザーエクスペリエンス設計（UX）、店舗の省エネ・サステナビリティ。

具体的な大学の候補と学部

・一橋大学　商学部／経済学部
　マーケティング、流通、グローバル小売戦略に強く、実務家教員・企業連携が豊富。

・慶應義塾大学　商学部／経済学部／総合政策学部
　先進的なリテールマーケティング、デジタルマーケ分野、流通論や消費者行動のトップ校。

・早稲田大学　商学部／経営管理研究科／情報生産システム研究科
　小売マネジメント、SCM、DX推進、データサイエンスによるリテールイノベーション。

・明治大学　商学部／経営学部／情報コミュニケーション学部
　実務家教員・業界連携、リテールテックや店舗経営論が充実。

・東京大学　経済学部／情報学環・学際情報学府
　経済学的アプローチ、小売産業の分析、ビッグデータや情報技術の応用。

・大阪公立大学　商学部／経済学部
　流通科学・小売経営の拠点、関西大手小売との連携多数。（旧：大阪市立大学）

・同志社大学　商学部／経済学部
　関西圏流通企業とのコラボが盛ん。リテール実務教育が特徴。

・法政大学　経営学部／経済学部
　小売・サービス産業の実践的教育、デジタル時代のリテール戦略も学べる。

・立教大学　経営学部／経済学部
　消費者行動論・ブランド戦略、小売現場のフィールド調査に強い。

・千葉商科大学　商経学部／サービス創造学部
　流通・小売の専門教育、実践的カリキュラムと企業連携。サービス創造学部は企業プロジェクト・PBLが特徴。

4-3. 卸売業（Wholesale）

概要

製造業や輸入業者から商品を大量に仕入れ、小売業者や企業へ販売。物流や在庫管理が重要な役割。

現状と将来の見通し

世界：グローバル化によりサプライチェーンが複雑化。物流効率化・IT活用（EDI、AI予測）が進む。環境配慮型物流や持続可能な調達が求められる。

日本：少子高齢化に伴う労働力不足、物流コスト上昇が課題。IT・ロボット導入で効率化を図る動きが加速。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・W.W. Grainger（グレインジャー／米国） … 約7.6兆円
・Cardinal Health（カーディナル・ヘルス／米国） … 約5.4兆円
・Sysco Corporation（シスコ／米国） … 約5.2兆円
・C.H. Robinson Worldwide（C.H.ロビンソン／米国） … 約1.7兆円

【日本】
・伊藤忠商事 … 約11.9兆円（総合商社）
・三井物産 … 約8.6兆円（総合商社）
・丸紅 … 約4.7兆円（総合商社）
・住友商事 … 約4.4兆円（総合商社）
・双日 … 約0.8兆円（総合商社）

候補となる学部と研究分野

・商学部／経営学部／経済学部
卸売業の経営戦略、流通・サプライチェーンマネジメント、ロジスティクス（物流）、在庫管理、商取引、グローバル経営、貿易実務、事業開発。

・工学部 – システム工学科／経営工学科
生産・物流システム、最適化手法、IoT・AIによる業務効率化、サプライチェーン全体設計、業務プロセス設計、リスクマネジメント。

・情報学部／情報理工学部
ITを活用した物流・在庫管理、EDI（電子データ交換）、ビッグデータ解析、AI需要予測、ロボット導入、業務自動化（DX）。

・国際学部／国際関係学部
国際ビジネス、貿易実務、海外取引交渉、グローバルサプライチェーン、異文化マネジメント、海外市場分析。

・法学部
商取引法、貿易法、国際ビジネス契約、企業法務、コンプライアンス管理。

具体的な大学の候補と学部

・一橋大学　商学部／経済学部
　流通・卸売業・サプライチェーンマネジメント、マーケティング、経営戦略研究に強み。

・神戸大学　経営学部／経済学部／国際協力研究科
　商社・流通・ロジスティクス研究の国内トップ。貿易・サプライチェーン人材多数輩出。

・早稲田大学　商学部／創造理工学部経営システム工学科（※2025年度で募集終了予定）
　流通・ロジスティクス・サプライチェーンマネジメント、AI/IT活用分野も充実。※2026年度以降は学科再編に注意。

・慶應義塾大学　商学部／理工学部管理工学科
　商取引・国際ビジネス・ロジスティクス・情報システムに強い。

・大阪大学　工学部システム科学科／経済学部
　物流・生産システム、サプライチェーン最適化、IoT応用研究が可能。

・名古屋大学　経済学部／工学部経営システム工学科
　産業界（商社・流通）との連携、経営工学・物流研究に強み。

・東京大学　経済学部／工学部システム創成学科
　グローバル経営、サプライチェーン、AI・データ活用まで幅広く学べる。

・立命館大学　経営学部／情報理工学部
　流通・ロジスティクス、経営情報、IT・AIを活用したサプライチェーン管理が学べる。

・中央大学　商学部／国際経営学部
　グローバル取引、サプライチェーン、商取引法、企業経営に対応。

4-4. 電子商取引（E-commerce）

概要

インターネットを通じて商品・サービスを販売する形態。ECプラットフォーム運営や決済システムも含む。

現状と将来の見通し

世界：EC市場は成長著しく、スマホ利用増加で更に拡大。AI・ビッグデータ活用、ライブコマース、個別化マーケティングが加速。物流インフラの強化や決済サービス多様化も進む。

日本：スマホECの浸透率が高く、キャッシュレス決済の拡大、即日配送サービスの普及が進む。高齢者の利用増も追い風。法規制対応やサイバーセキュリティ強化が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Amazon.com（アマゾン／米国） … 約328兆円
・Alibaba Group（アリババ／中国） … 約41兆円
・Sea Limited（シーリミテッド／シンガポール） … 約14兆円
・JD.com（京東／中国） … 約7.5兆円
・eBay Inc.（イーベイ／米国） … 約5.2兆円

【日本】
・ヤフー（LY Corporation／旧Z ホールディングス） … 約3.8兆円
・楽天グループ … 約1.8兆円
・ZOZO … 約1.4兆円
・メルカリ … 約0.4兆円
・LINE … 非上場（LY Corporation傘下）

候補となる学部と研究分野

・情報学部／情報工学部／理工学部 – 情報システム学科／情報ネットワーク学科
Eコマース基盤技術、クラウドコンピューティング、Webアプリケーション開発、データベース、AI・ビッグデータ解析、サイバーセキュリティ。

・経営学部／商学部 – 経営情報学科／マーケティング学科
ECビジネス戦略、デジタルマーケティング、CRM（顧客管理）、サプライチェーン管理、決済システム、物流管理、グローバルEC市場分析。

・経済学部
デジタル経済、プラットフォーム経済、グローバル市場動向、ECのマクロ経済的影響、法規制・消費者保護。

・法学部 – 情報法・知的財産法分野
EC関連の法規制、個人情報保護、電子契約、著作権、プラットフォーム規制、サイバー犯罪対策。

・データサイエンス学部／AI・データサイエンス学科
ビッグデータ解析、個別化マーケティング（パーソナライゼーション）、推薦システム、需要予測、統計解析。

・システムデザイン工学部／工学部 – 経営工学科
物流システム設計、EC配送ネットワーク、業務効率化、在庫管理、自動化技術。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　情報理工学系研究科（コンピュータ科学専攻／数理情報学専攻／システム情報学専攻／電子情報学専攻／知能機械情報学専攻／創造情報学専攻）／工学部システム創成学科／経済学部／法学部
　EC基盤技術、ビッグデータ解析、経済・法規制研究まで幅広い分野に対応。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　情報理工学院
　情報ネットワーク、AI、ECシステム設計、データサイエンスなど最先端分野を網羅。

・一橋大学　商学部／経済学部／社会学部
　ECビジネスモデル、マーケティング戦略、グローバル市場分析、法制度。

・慶應義塾大学　理工学部情報工学科／商学部／経済学部／法学部
　ECシステム開発、AI応用、デジタルマーケティング、法規制など多分野連携に強い。

・早稲田大学　基幹理工学部情報理工学科／商学部／政治経済学部／法学部
　IT×ビジネス・経済・法律を横断的に学べる環境。

・大阪大学　情報科学研究科／工学部電子情報工学科／経済学部
　EC関連の情報技術、データサイエンス、マクロ経済的研究など。

・名古屋大学　情報学部／経済学部
　Web・AI・データサイエンスと、ECの社会的・経済的インパクトを総合的に研究。

・神戸大学　経営学部／経済学部／法学部
　グローバルEC、デジタルマーケティング、サプライチェーン・法制度に強み。

・千葉大学　データサイエンス学部／工学部情報工学科
　ECデータ解析、AI応用、物流システム設計など最新分野に対応。

・筑波大学　情報学群情報科学類／ビジネスサイエンス系
　ECシステム・マーケティング・データ解析まで幅広く学べる。

・横浜国立大学　経営学部／理工学部システムデザイン学科
　ECビジネス戦略、物流システム設計、情報ネットワークなどに強み。

5. サービス業（Service industry）

概要

医療、教育、観光、飲食、宿泊、介護、娯楽、ビジネス支援（コンサル・IT・広告）など「モノ」以外の付加価値を提供する全般的な産業。

現状と将来の見通し

世界：先進国を中心にGDPの6割超を占める最大産業。課題は賃金・生産性の低さ、人材確保、労働環境。デジタル化（DX）、AI・ロボットによる自動化、リモート対応、個別化サービス、高齢化社会対応が進展。

日本：GDPの7割を占める主力産業。人手不足・高齢化・低生産性・賃金の伸び悩みが深刻。デジタル化（オンライン診療・教育、AI予約・接客、キャッシュレス）、高齢者向け・インバウンド需要、働き方改革などがカギ。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約2,600兆円
日本：約380兆円

5-1. 医療（Healthcare）

概要

病院・診療所、医薬品製造、医療機器、介護サービス、バイオテクノロジーを含む人の健康維持・治療に関わる産業。

現状と将来の見通し

世界：高齢化に伴い医療・介護需要が増大。AI診断、遠隔医療、個別化医療、バイオ医薬品が成長ドライバー。医療費増大と持続可能性の両立が課題。

日本：超高齢社会により医療・介護サービスの拡充が不可欠。DX促進（電子カルテ、オンライン診療）、介護ロボット導入、地域包括ケア体制強化が進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Johnson & Johnson（ジョンソン・エンド・ジョンソン／米国） … 約56兆円
・UnitedHealth Group（ユナイテッドヘルス・グループ／米国） … 約41兆円
・Novartis（ノバルティス／スイス） … 約35兆円
・Roche（ロシュ／スイス） … 約32兆円
・Pfizer（ファイザー／米国） … 約20兆円

【日本】
・中外製薬 … 約12.9兆円
・武田薬品工業 … 約6.8兆円
・テルモ … 約3.8兆円
・オリンパス … 約2.2兆円
・エーザイ … 約1.15兆円

候補となる学部と研究分野

・医学部
医学、臨床医学、公衆衛生、予防医学、医療管理、AI診断・遠隔医療技術、個別化医療、再生医療。

・薬学部
医薬品開発、創薬科学、バイオ医薬品、臨床薬学、薬剤管理、医薬品マーケティング。

・看護学部／保健学部
看護学、医療福祉、地域包括ケア、介護科学、高齢者医療、健康科学。

・工学部 – 医用工学科／生体医工学科
医療機器開発、医療ロボット、バイオセンサー、画像診断装置、遠隔医療機器。

・理学部 – 生物学科／生命科学科
バイオテクノロジー、遺伝子工学、再生医療、細胞治療、個別化医療。

・情報学部／情報科学部
医療AI、ビッグデータ解析、医療情報システム、電子カルテ、医療DX。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　医学部医学科／薬学部薬学科・創薬科学科／工学部医用精密工学科／理学部生物学科
臨床・基礎医学から医療機器・創薬・バイオまで世界最高峰の研究環境。医療AIや再生医療も先端。

・京都大学　医学部医学科／薬学部薬科学科・創薬科学科／工学部工業化学科・物理工学科（バイオ系）／理学部生物科学科
免疫学・再生医療・創薬の世界的拠点。医療機器、バイオ医薬品、個別化医療にも強い。

・大阪大学　医学部医学科／薬学部薬学科／工学部応用自然科学科（生命先端工学領域）
脳科学、再生医療、医用工学におけるトップ校。医療AI・遠隔医療の研究も進む。

・慶應義塾大学　医学部医学科／薬学部薬学科／理工学部生命情報学科・生命医科学科
医療×IT（電子カルテ、医療AI）、創薬、バイオテクノロジー、医療ビジネスに強い。

・東京科学大学（旧東京工業大学・旧東京医科歯科大学）　医学部医学科／歯学部歯学科／保健衛生学部／工学院生命理工学系・医用工学系
臨床医学・医療機器開発・AI診断・歯科医療におけるリーダー校。医学部・歯学部・保健衛生・工学系が連携し先進医療を推進。

・東北大学　医学部医学科／薬学部薬学科／工学部バイオ工学科
高度救命・再生医療・バイオ医薬品研究が盛ん。医療情報・医療機器にも注力。

・名古屋大学　医学部医学科／工学部化学・生物工学科（医用工学分野）
臨床医学・バイオメディカル工学・バイオ医薬品で高い実績。

・北海道大学　医学部医学科／薬学部薬学科／工学部応用理工系学科（生体医工学領域）
基礎医学、医療機器、バイオサイエンス・再生医療に強み。

・九州大学　医学部医学科／薬学部創薬科学科／工学部生体工学科
創薬、医療ロボット、バイオ医療、地域包括医療にも注力。

・筑波大学　医学群医学類／理工学群応用理工学類（医工連携分野）／情報学群情報科学類
医学と工学・情報学の連携教育に強く、DX・遠隔医療・医療ビッグデータにも実績。

5-2. 教育（Education）

概要

学校教育、語学スクール、オンライン教育サービス、資格取得支援など知識・技能の提供産業。

現状と将来の見通し

世界：オンライン学習の普及とAI活用が急速に拡大。リカレント教育や生涯学習が重要視され、教育のデジタル化が加速。格差是正・アクセス向上が課題。

日本：少子化による市場縮小も、EdTech（教育技術）の導入と海外展開に期待。学習塾、オンライン教育、語学学校がデジタルシフトを推進。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Duolingo（デュオリンゴ／米国） … 約3.3兆円
・Pearson（ピアソン／英国） … 約1.4兆円
・New Oriental Education & Technology（新東方／中国） … 約1.1兆円
・Chegg（チェグ／米国） … 約0.02兆円
・K12 Inc.（ケイ12／米国） … 非上場

【日本】
・ベネッセホールディングス … 約0.25兆円
・学研ホールディングス … 約0.04兆円
・Z会ホールディングス … 非上場
・四谷大塚 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・教育学部 – 教育学科／教育心理学科
教育制度、教育政策、教育方法論、学習科学、教育心理学、教育測定・評価、特別支援教育。

・文学部 – 教育学専修／心理学専修
人間発達、学習理論、カリキュラム論、発達心理、認知心理、教育哲学、教育史。

・総合人間科学部／人間科学部 – 教育学領域／発達科学領域
発達と学習の理論、障害児教育、社会教育、家庭教育、リカレント教育。

・情報学部／情報科学部 – 教育工学コース
EdTech（教育技術）、eラーニング、AI教育、学習支援システム、データ解析、教育アプリ開発。

・経営学部／経済学部 – 教育経済・経営コース
教育産業の経営、教育ビジネス、教育格差、グローバル教育政策、教育マーケティング。

・国際関係学部 – 国際教育専攻
国際バカロレア（IB）、海外教育、国際教育政策、多文化共生教育。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　教育学部心身発達科学専修／教育心理学コース
　教育心理学・学習心理学・発達心理学を中心に、教育の理論・実践・政策立案人材を育成。

・京都大学　教育学部教育科学科
　教育哲学・発達科学・認知科学・比較教育など幅広い教育分野に対応。基礎・応用研究の両面で先進的。

・大阪大学　人間科学部（教育学系分野）
　教育学・教育工学・学習科学・心理学の融合研究。人の成長・学習・社会適応に強み。

・早稲田大学　教育学部教育学科教育学専攻
　教育学全般・教育心理学・教育政策など幅広い分野。私学教育、学校経営、EdTech、グローバル教育にも強い。

・慶應義塾大学　文学部人間科学科教育学専攻
　教育学、社会教育、国際教育、EdTech分野で先端研究。

・お茶の水女子大学　文教育学部人間社会科学科教育科学プログラム
　女性の教育・発達・心理分野に伝統と実績。教育科学プログラムを中心に教育学研究が可能。

・筑波大学　人間学群教育学類
　学校教育・生涯学習・特別支援・教育行政に幅広く対応。多様な進路・キャリア支援。

・名古屋大学　教育学部教育学科
　教育政策、学校改革、教育評価、国際比較教育に強み。教育学系・心理学系コースが存在。

・北海道大学　教育学部教育学科
　学校教育・生涯学習・地域連携・心理支援に重点。幅広い教育学分野の学び。

・上智大学　総合人間科学部教育学科
　国際教育、グローバル人材育成、異文化理解に特色。教育学の理論と実践を重視。

・関西学院大学　教育学部教育学科
　リカレント教育・ICT教育・教育産業連携に力。教員養成や生涯学習の分野でも活躍。

・立命館大学　総合心理学部（発達・教育心理領域）
　発達心理学・教育心理学・支援システム研究など。心理学部内の主要領域として位置付け。

5-3. 観光（Tourism）

概要

旅行代理店、ツアー企画・販売、観光施設、観光輸送、関連サービス産業。

現状と将来の見通し

世界：コロナ禍からの回復途上。持続可能な観光、デジタル予約・体験、個人旅行・体験型ツーリズムの成長。環境・地域貢献型観光が重要課題。

日本：インバウンド需要回復に期待。地域振興や観光DX（デジタル化）、環境配慮型観光が鍵。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Booking Holdings（ブッキング・ホールディングス／米国） … 約24兆円
・Airbnb（エアビーアンドビー／米国） … 約12兆円
・Marriott International（マリオット・インターナショナル／米国） … 約10兆円
・Trip.com Group（携程集団／中国） … 約5兆円
・Expedia Group（エクスペディア・グループ／米国） … 約3兆円

【日本】
・近畿日本ツーリスト … 約0.3兆円
・HIS（エイチ・アイ・エス） … 約0.3兆円
・JTB … 非上場
・日本旅行 … 非上場
・星野リゾート … 非上場

候補となる学部と研究分野

・観光学部／国際観光学部
観光政策、観光産業論、観光まちづくり、観光DX（デジタル化）、観光マーケティング、持続可能な観光、観光資源開発、インバウンド観光戦略。

・経済学部／商学部／経営学部
観光産業経済、サービス産業論、観光ビジネス、マーケティング、観光地経済分析、ホスピタリティ・マネジメント。

・地域創生学部／地域政策学部
地域振興、観光と地域づくり、地方創生、観光による地域活性化、観光資源マネジメント。

・社会学部／人文学部
文化観光論、観光社会学、異文化コミュニケーション、観光と多文化共生、観光と歴史・文化遺産。

・情報学部／情報科学部
観光DX、デジタルマーケティング、観光アプリ・システム開発、予約・決済システム、ビッグデータ解析。

具体的な大学の候補と学部

・北海道大学　観光学高等研究センター
　持続可能な観光、地域振興、観光政策の先端研究拠点。学内外連携も活発。

・東北大学　経済学部／大学院経済学研究科
　観光経済学、地域活性化、観光政策研究。観光分野は経済学部・大学院で実施。

・筑波大学　人文社会学群比較文化学類／国際総合学類
　文化観光、国際観光交流、地域資源活用など人文・国際両面から観光を学ぶ。

・千葉大学　国際教養学部／園芸学部観光資源学科
　観光まちづくり、観光DX、地域観光振興。2022年度に観光資源学科新設。

・立教大学　観光学部／異文化コミュニケーション学部
　観光産業、ホスピタリティ、異文化観光研究。国際観光とコミュニケーションを両軸で強化。

・和歌山大学　観光学部
　観光学専門学部として全国的に有名。観光政策、観光地経営、インバウンド観光、観光DXを網羅。

・大阪観光大学　観光学部
　観光産業の実務・経営に特化したカリキュラム。観光ビジネス、観光マネジメント重視。

・京都産業大学　現代社会学部観光学科
　観光産業論、観光社会学、観光マーケティングなど現代的観光研究に対応。

・琉球大学　観光産業科学部
　沖縄観光、地域資源開発、観光経済学。南西諸島をフィールドにした研究が特色。

・東京大学　経済学部／工学部都市工学科／新領域創成科学研究科
　観光産業経済、都市・地域計画、観光とサステナビリティの複合的研究が可能。

5-4. 飲食（Food & Beverage）

概要

レストラン、ファストフード、カフェ、食品加工・販売など外食産業。

現状と将来の見通し

世界：健康志向・サステナブル食材、デリバリー・テイクアウトの拡大、デジタル注文・決済普及。人手不足と効率化、食品ロス削減も重要課題。

日本：高齢化で需要構造変化。デリバリー、無人店舗、IT活用、食品安全性向上に注力。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Coca-Cola（コカ・コーラ／米国） … 約42兆円
・Nestlé（ネスレ／スイス） … 約39兆円
・McDonald’s（マクドナルド／米国） … 約32兆円
・PepsiCo（ペプシコ／米国） … 約29兆円
・Starbucks（スターバックス／米国） … 約15兆円

【日本】
・すかいらーくホールディングス … 約1.2兆円
・日本マクドナルドホールディングス … 約0.8兆円
・モスフードサービス … 約0.1兆円
・吉野家ホールディングス … 約0.1兆円
・コメダホールディングス … 約0.1兆円

候補となる学部と研究分野

・農学部 – 食品科学科／食品生命科学科
食品の加工・保存・品質管理、食品衛生・安全性、食品微生物、機能性食品、サステナブル食材、発酵・バイオ技術。

・農学部 – 農業経済学科
フードビジネス、食品流通・マーケティング、外食産業経営、フードサプライチェーン管理、食と社会、国際食品市場。

・経営学部／商学部／経済学部
外食・食品産業の経営戦略、ブランドマーケティング、デジタル注文・キャッシュレス決済、フードサービスのイノベーション、店舗運営・チェーン展開。

・栄養学部／生活科学部 – 栄養学科
栄養学、健康志向メニュー開発、食事設計、メニュー提案、食品の機能性・安全性、健康と食の科学。

・情報学部／工学部 – 情報工学科
デジタルオーダーシステム、飲食店DX（デジタルトランスフォーメーション）、AIによる需要予測、無人店舗システム、フードテック、IoT。

・工学部 – 機械工学科／ロボティクス学科
自動調理・配膳ロボット、厨房自動化、食品工場の省人化・省力化、スマートキッチン技術。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　農学部食品生命科学専修／農業・資源経済学専修
　食品科学・衛生、農業経済、サステナブルフードシステムの総合研究に強み。基礎から応用・国際政策まで幅広いカリキュラム。

・京都大学　農学部食品生物科学科／食料・環境経済学科
　発酵・微生物・機能性食品、食の安全、フードビジネス、農業経済など食と社会を融合した先進的研究が特徴。

・大阪大学　工学部生命先端工学科／基礎工学部システム科学科
　食品工場自動化、ロボティクス、AI活用、バイオテック分野で産学連携が進む。応用研究が充実。

・東京農業大学　応用生物科学部食品安全健康学科／栄養科学科、農学部食料・環境経済学科
　食品の安全性・機能性・ビジネス・健康科学まで体系的に学べる。実学重視で企業や自治体と連携。

・早稲田大学　商学部／人間科学部健康福祉科学科
　フードサービス経営、外食産業イノベーション、マーケティング、ヘルスケア食品の開発などを実践的に学ぶ。

・慶應義塾大学　商学部／環境情報学部
　デジタル飲食店、フードビジネス戦略、食のサステナビリティ、イノベーション・サービス研究で先進的。

・北海道大学　農学部食品生物科学科／食料・環境経済学科
　地域食材の高付加価値化、フードビジネス、食と健康の融合、農業経済・政策の研究体制が充実。

・神戸大学　農学部食料共生システム学科／経営学部
　フードサプライチェーン、食品安全・流通・サービス経営など実社会と連動した研究に強み。

・名古屋大学　農学部応用生命科学科／経済学部
　食品バイオ技術、健康メニュー開発、外食産業研究や産学連携も活発。

・女子栄養大学　栄養学部栄養学科
　栄養学・健康メニュー設計・食品機能・外食産業向けヘルスケア食品開発を実践的に学ぶ。

5-5. 宿泊（Accommodation）

概要

ホテル、旅館、ゲストハウス、サービスアパートメントなど宿泊施設の運営を中心とした産業。観光業と密接に連携し、旅行者の滞在を支えるサービスを提供。

現状と将来の見通し

世界：コロナ禍からの回復過程にあり、観光需要の回復とともに宿泊需要も回復基調。デジタル化・非接触サービス、サステナブル宿泊施設の増加が進む。シェアリングエコノミー（民泊）も市場拡大。

日本：インバウンド回復に期待が高まる一方、少子高齢化や人手不足が課題。地域密着型宿泊や高付加価値施設の開発、ICT活用による業務効率化が進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Marriott International（マリオット／米国） … 約10.6兆円
・Hilton Worldwide Holdings（ヒルトン／米国） … 約8.4兆円
・Accor（アコー／フランス） … 約1.8兆円
・Hyatt Hotels Corporation（ハイアット／米国） … 約1.7兆円
・InterContinental Hotels Group（インターコンチネンタル／英国） … 約2.5兆円

【日本】
・東急不動産ホールディングス（ホテル事業含む） … 約0.7兆円
・プリンスホテル（西武ホールディングス傘下、非上場） … 非上場
・ホテルニューオータニ … 非上場
・星野リゾート … 非上場
・ホテルオークラ … 非上場

候補となる学部と研究分野

・観光学部／観光学科
観光産業全般、宿泊業の経営・マーケティング、観光政策、地域活性化、ホスピタリティマネジメント。

・経営学部／商学部
ホテル・宿泊業経営、サービスマネジメント、サステナブル経営、国際ビジネス、ブランド戦略。

・国際関係学部／国際学部
インバウンド政策、グローバル観光戦略、多文化理解、国際サービスマネジメント。

・人間科学部／社会学部
消費者行動、ホスピタリティ心理学、サービス産業における人材開発・労務管理。

・情報学部／システムデザイン学部
ICT・DXによる業務効率化、ホテル予約システム、IoT活用、非接触サービス・スマートホテル。

・建築学部／環境デザイン学科
ホテル・旅館の空間デザイン、ユニバーサルデザイン、サステナブル建築。

具体的な大学の候補と学部

・和歌山大学　観光学部観光学科
　日本初の観光学部。観光経営・地域再生・観光文化を軸に、宿泊業やホスピタリティ分野の実践教育が充実。

・立教大学　観光学部観光学科
　ホテル経営、観光政策、国際観光戦略を体系的に学べる。実務家教員も在籍し、就職先も観光・サービス業界に幅広い。

・東洋大学　国際観光学部国際観光学科
　観光・経営・ICTを融合。インバウンドや多文化共生など、観光産業の多様な課題に対応。

・明治大学　国際日本学部
　観光・ホスピタリティ・インバウンド分野に関連した科目やゼミがあり、サービス産業・宿泊業経営の研究が進む。

・大阪観光大学　観光学部観光学科
　ホテル・旅館経営、ホスピタリティ実務、ICT活用に強み。観光産業に直結した専門教育を実施。

・桜美林大学　ビジネスマネジメント学群観光・ホスピタリティ・エンターテイメントビジネス領域
　宿泊・観光業のマネジメントを「領域（プログラム）」として学び、実務インターンシップも充実。

・北海道大学　観光学高等研究センター／文学部観光学講座
　観光産業と地域社会の連携・イノベーション、人材育成で全国的に実績。ただし観光学部・学科ではなく、研究センター・講座として設置。

・琉球大学　国際地域創造学部観光地域デザインプログラム
　観光産業科学部から改組。観光・宿泊・地域観光政策、国際観光に特化したカリキュラムを展開。

・筑波大学　社会・国際学群社会学類観光・宿泊サービス領域
　観光政策、地域振興、宿泊業マネジメントを「領域」として体系的に学べる。

・近畿大学　経営学部
　経営学・商学・会計学・キャリアマネジメント学科が設置され、サービス分野は学科横断的に学ぶ。

5-6. 介護（Nursing Care）

概要

高齢者・障害者向けの介護サービス、施設運営、訪問介護など、生活支援と医療連携を含む産業。

現状と将来の見通し

世界：高齢化社会の進展により急成長。人手不足が深刻でロボット介護、ICT活用、自動化・効率化技術導入が進む。公的支援制度の充実が不可欠。

日本：世界最高齢社会として需要増大。介護職員の確保難、処遇改善が課題。ICT・ロボット介護機器導入、地域包括ケアシステムの強化が進展。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・National HealthCare Corporation（エヌエイチシー／米国） … 約2.2兆円
・LTC Properties（エルティーシー・プロパティーズ／米国） … 約2.2兆円
・Brookdale Senior Living（ブルックデール／米国） … 約2.1兆円
・Korian（コリアアン／フランス） … 約1.9兆円
・Genesis HealthCare（ジェネシス／米国） … 非上場

【日本】
・ツクイ … 約0.6兆円
・ニチイ学館 … 約0.1兆円
・ユニマットリタイアメント・コミュニティ … 約0.04兆円
・セントケアホールディング … 約0.02兆円
・日本ケアサプライ … 非上場

候補となる学部と研究分野

・医学部／看護学部
高齢者医療、看護学、介護福祉、認知症ケア、在宅医療連携、老年医学、公衆衛生。

・福祉学部／社会福祉学科
介護福祉、福祉政策、ソーシャルワーク、ケアマネジメント、地域包括ケア、福祉心理学。

・リハビリテーション学部（理学療法・作業療法・言語聴覚療法）
高齢者の自立支援、身体機能回復訓練、生活リハビリ、認知症対応。

・工学部 – 機械工学科／ロボティクス学科／情報工学科
介護ロボット、支援機器開発、IoT・ICT技術、AIによる見守り・自動化技術、福祉工学。

・薬学部／栄養学部
高齢者の薬剤管理、食事・栄養ケア、生活習慣病予防。

・経営学部／政策科学部
介護ビジネス経営、施設運営管理、福祉行政、社会保障政策、サービスデザイン。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　医学部医学科／工学部機械情報工学科
老年医学、先端介護ロボット、在宅医療・地域包括ケアの実証研究。

・東北大学　医学部保健学科／工学部機械知能・航空工学科ロボティクスコース
先進的な高齢者支援、リハビリ・福祉ロボット研究、認知症研究で有名。

・大阪大学　医学部保健学科／工学部システム科学科
介護現場のICT導入、AI見守り、医工連携による生活支援機器開発。

・慶應義塾大学　看護医療学部／理工学部機械工学科
在宅介護支援、認知症ケア、介護ロボット、医療・介護ICT研究。

・千葉大学　看護学部／工学部総合工学科デザインコース
生活支援ロボット、ケア機器、福祉環境デザインに強み。

・日本福祉大学　社会福祉学部／健康科学部
介護福祉、ケアマネジメント、地域包括ケアモデルの実践・研究。

・国際医療福祉大学　保健医療学部／福祉学部
訪問介護、リハビリ、介護現場の総合支援教育が充実。

・九州大学　医学部保健学科／工学部機械工学科
高齢社会の医療・福祉連携、介護支援機器の開発研究。

・東京都立大学　人間健康科学研究科／システムデザイン学部
介護現場のICT化、医療福祉機器デザイン、地域包括ケア。

・広島大学　医系科学研究科／工学部第一類（機械・輸送・材料・エネルギー系）機械システムプログラム
リハビリテーション科学、福祉機器、地域介護の研究。

5-7. 娯楽（Entertainment）

概要

映画、音楽、ゲーム、スポーツ、テーマパーク、ライブイベントなどエンターテインメント関連産業。

現状と将来の見通し

世界：ストリーミング、eスポーツ、VR/AR、モバイルゲームの拡大が牽引。デジタル配信の成長が著しく、ファン参加型サービスが増加。著作権管理や多様な収益モデルが課題。

日本：アニメ・ゲーム産業が世界的に競争力強化。ライブ・イベントはコロナ影響から回復中。デジタルコンテンツ強化、海外展開に注力。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Tencent（テンセント／中国） … 約80兆円
・Netflix（ネットフリックス／米国） … 約75兆円
・Activision Blizzard（アクティビジョン・ブリザード／米国） … 約10兆円
・Sony Group（ソニーグループ／日本） … 約22兆円
・Disney（ディズニー／米国） … 約28兆円

【日本】
・ソニーグループ … 約22兆円
・任天堂 … 約13.9兆円
・バンダイナムコホールディングス … 約3.1兆円
・コナミホールディングス … 約1.9兆円
・カプコン … 約1.8兆円

候補となる学部と研究分野

・芸術学部／映像学部／音楽学部
映画・映像制作、音楽制作、サウンドデザイン、アニメーション、ゲームデザイン、プロデュース、映像編集、演出理論。

・情報学部／情報科学部／情報工学部
デジタルコンテンツ開発、ゲームプログラミング、CG・VR・AR技術、AI活用、eスポーツ工学、インタラクティブメディア、ネットワーク配信技術。

・工学部 – 電気電子工学科／メディア工学科
映像・音響機器、デジタル信号処理、デバイス開発、通信技術、メディアアート、ヒューマンインターフェース。

・経営学部／商学部／経済学部
エンタメ産業経営、コンテンツビジネス、マーケティング、IP（知的財産）戦略、国際ビジネス、ブランドマネジメント。

・文学部 – 芸術学科／文化学科
映画・音楽・演劇の歴史・批評、ポップカルチャー論、メディア文化論、現代アート論。

具体的な大学の候補と学部

・東京藝術大学　美術学部／音楽学部／映像研究科（大学院）
　日本を代表する芸術大学。映画・アニメ・音楽・舞台など、創作・制作現場で学べる。

・早稲田大学　文化構想学部／文学部（芸術表現・映像論系）
　メディア文化論やコンテンツ産業論、実践的な演劇・映像制作に強み。

・東京大学　情報理工学系研究科／文学部（文化資源学科）
　AI・VR・デジタルコンテンツ技術や、メディア史・文化研究など幅広く対応。

・京都大学　文学部／情報学研究科
　芸術学、文化論、AI・情報技術による新しいエンタメ研究も盛ん。

・大阪芸術大学　芸術学部
　映像、音楽、舞台芸術、ゲーム・CGなどエンタメ全般の実践的教育。

・立命館大学　映像学部／情報理工学部
　映画・アニメ・ゲーム開発、CG・VRなど実践と理論の融合。

・慶應義塾大学　環境情報学部／文学部
　デジタルコンテンツ開発、クリエイティブテック、メディアビジネスに対応。

・東京工科大学　メディア学部
　CG・映像・サウンド制作、メディアアート、ゲームプログラミングを学ぶ。

・名古屋市立大学　芸術工学部
　デザイン・メディア表現、音響映像技術、インタラクティブコンテンツ。

・神戸芸術工科大学　芸術工学部
　メディア表現、サウンドデザイン、デジタルゲーム、アニメーション。

5-8. コンサルティング（Consulting）

概要

経営戦略、IT、財務、人事などの専門的助言・支援サービスを提供する産業。

現状と将来の見通し

世界：DX推進、サステナビリティ対応、リスク管理の需要増加。AI活用・リモートコンサルが拡大。新興市場の成長が追い風。

日本：企業のデジタル変革支援が中心。大手3社の寡占状況。中堅・中小企業向けサービス拡大や人材確保が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・IBM（アイビーエム／米国） … 約34.5兆円
・Accenture（アクセンチュア／アイルランド） … 約29.3兆円
・Deloitte（デロイト／非上場） … 非上場
・PwC（プライスウォーターハウスクーパース／非上場） … 非上場
・McKinsey & Company（マッキンゼー／米国） … 非上場
・Boston Consulting Group（ボストン・コンサルティング・グループ／米国） … 非上場

【日本】
・日本IBM（コンサル含む） … 約34.5兆円
・NTTデータ … 約5.6兆円
・野村総合研究所 … 約3.25兆円
・アクセンチュア・ジャパン … 非上場
・三菱UFJリサーチ＆コンサルティング … 非上場

候補となる学部と研究分野

・経営学部／商学部
　経営戦略、経営管理、組織論、マーケティング、イノベーション経営、サステナビリティ経営、リスクマネジメント、ファイナンス、ビジネスアナリティクス。

・経済学部
　産業構造分析、企業経済学、労働経済、マクロ・ミクロ経済、国際経済、企業財務。

・総合政策学部／政策科学部
　公共政策、企業ガバナンス、社会イノベーション、SDGs・ESG、デジタル政策、人的資本経営。

・情報学部／情報理工学部／工学部（情報系・システム系）
　IT戦略、DX（デジタルトランスフォーメーション）、データサイエンス、AI活用、業務プロセス最適化、システムコンサルティング。

・法学部
　企業法務、M&A、コーポレートガバナンス、リスク・コンプライアンス管理。

・国際関係学部／グローバル・スタディーズ学部
　多国籍企業経営、グローバル人事・人材マネジメント、国際ビジネスコンサルティング。

・理学部／数学科
　統計分析、データ解析、オペレーションズリサーチ。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部／大学院経済学研究科経営学専攻／情報学環・学際情報学府
　経営戦略・デジタル経営・AI／データ活用分野まで幅広く対応。企業との共同研究も多数。

・一橋大学　商学部／経済学部／大学院経営管理研究科（MBA）
　戦略経営・ファイナンス・組織論・経営コンサルティング系科目が充実。

・慶應義塾大学　商学部／経済学部／総合政策学部／理工学部（管理工学科・情報工学科）
　コンサル・IT戦略・データサイエンス・ビジネスアナリティクスまで学べる。

・早稲田大学　商学部／政治経済学部／創造理工学部（経営システム工学科）／大学院経営管理研究科（WBS）
　経営戦略・DX・グローバルコンサルに強い。業界との連携プロジェクトも活発。

・京都大学　経済学部／経営管理大学院（MBA）／情報学研究科
　経営・経済・情報系の融合研究、理論と実践のバランスに優れる。

・大阪大学　経済学部／大学院経済学研究科経営学専攻／データビリティフロンティア機構
　データサイエンスと経営実践を両立。企業向けプロジェクトも豊富。

・神戸大学　経営学部／経済学部／大学院経営学研究科（MBA）
　経営戦略・財務・グローバル人材育成に強み。

・名古屋大学　経済学部／情報学部
　デジタル経営、データ駆動型意思決定、産学連携プロジェクトが充実。

・筑波大学　社会・国際学群国際総合学類／ビジネスサイエンス系大学院
　社会イノベーション、政策デザイン、実践的なコンサルティング教育。

・横浜国立大学　経営学部／大学院国際社会科学府
　ビジネスコンサル・マネジメント教育に定評、国際的にも評価。

5-9. IT（Information Technology）

概要

ソフトウェア開発、クラウドサービス、システムインテグレーション、ITインフラ構築・運用、AI・ビッグデータ分析など情報技術関連サービス産業。

現状と将来の見通し

世界：クラウド移行、AI・機械学習、5G/6Gインフラ整備、サイバーセキュリティ強化、IoT拡大が急成長の原動力。DX（デジタルトランスフォーメーション）需要が全産業で加速。

日本：DX推進でIT需要増加。人材不足・セキュリティ強化課題。官民連携のITインフラ強化とグローバル展開に注力。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Microsoft（マイクロソフト／米国） … 約470兆円
・Nvidia（エヌビディア／米国） … 約345兆円
・Apple（アップル／米国） … 約305兆円
・Amazon（アマゾン／米国） … 約227兆円
・Alphabet（アルファベット／米国） … 約211兆円
・SAP（エスエーピー／ドイツ） … 約36兆円

【日本】
・ソフトバンクグループ … 約10.6兆円
・富士通 … 約6兆円
・NTTデータ … 約5.6兆円
・NEC … 約5.1兆円
・楽天グループ … 約2.3兆円
・ヤンマー … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 情報工学科／情報科学科／コンピュータ科学科
ソフトウェア開発、アルゴリズム、AI・機械学習、ビッグデータ解析、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティ、IoTシステム設計。

・工学部 – 電気電子工学科
ネットワークインフラ、通信工学、半導体設計、ハードウェア制御、組込みシステム、5G/6G技術。

・理学部 – 数学科／物理学科
理論計算、アルゴリズム数理、暗号技術、データ解析の基礎理論。

・経営学部／商学部／経済学部
ITビジネス、デジタルマーケティング、ITマネジメント、データドリブン経営、プロジェクトマネジメント。

・システム創成学部／情報理工学部／ソフトウェア工学部
大規模システム設計、社会インフラIT化、AI・ロボティクス応用、IT社会設計。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部電子情報工学科／情報理工学系研究科
　AI・ビッグデータ・クラウド・量子コンピュータ研究など。

・東京工業大学　情報理工学院情報工学系／工学院電気電子系
　AI・IoT・セキュリティ・データサイエンスで強力な研究体制。

・京都大学　情報学研究科
　理論情報科学、AI応用、セキュリティ、クラウドコンピューティングに強み。

・大阪大学　基礎工学部情報科学科／工学部電子情報工学科
　AI・ロボット・IoT・サイバーセキュリティ分野に実績。

・慶應義塾大学　理工学部情報工学科／政策・メディア研究科
　AI・ネットワーク・IoT、企業連携による実践的プロジェクトも多数。

・早稲田大学　基幹理工学部情報理工学科／創造理工学部総合機械工学科
　ビッグデータ解析、AI・IoT、情報システム構築力が強み。

・名古屋大学　工学部電子情報システム工学科／情報学部
　自動車ITからAI、IoT、データサイエンス分野まで幅広い。

・筑波大学　情報学群情報科学類／理工学群
　AI、ビッグデータ、クラウド、基礎理論から応用分野まで対応。

・東北大学　情報知能システム総合学科
　通信インフラ、ネットワーク、AI、IoTの先端研究。

・九州大学　工学部電気情報工学科／システム情報科学府
　AI・IoT・システム設計、サイバーセキュリティ研究で有名。

5-10. 広告（Advertising）

概要

テレビ、新聞、雑誌、デジタル広告、屋外広告、PR、マーケティングリサーチなど広告宣伝に関わる産業。

現状と将来の見通し

世界：デジタル広告（SNS、動画配信、検索エンジン広告）のシェア拡大。AIを活用したターゲティング広告が普及。プライバシー規制への対応が重要課題。

日本：テレビ広告減少とデジタル化が進展。大手広告代理店のDX推進とデジタルシフトが中心。インフルエンサーマーケティングの拡大も特徴。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Publicis Groupe（パブリシス・グループ／フランス） … 約3.8兆円
・Omnicom Group（オムニコム・グループ／米国） … 約2.0兆円
・Interpublic Group（インターパブリック・グループ／米国） … 約1.2兆円
・Dentsu Group（電通グループ／日本） … 約0.8兆円
・WPP plc（ダブリュー・ピー・ピー／英国） … 約0.8兆円

【日本】
・電通グループ … 約0.8兆円
・サイバーエージェント … 約0.8兆円
・博報堂DYホールディングス … 約0.4兆円
・セプテーニ・ホールディングス … 約0.05兆円
・フリークアウト・ホールディングス … 約0.02兆円

候補となる学部と研究分野

・経営学部／商学部
広告・マーケティング論、ブランド戦略、消費者行動論、広告心理学、PR論、デジタルマーケティング、広告効果測定、マーケティングリサーチ、国際マーケティング。

・文学部／社会学部／人間科学部
メディア論、コミュニケーション論、社会心理学、文化人類学、情報社会論、マスコミ論、インフルエンサー研究、サブカルチャー論。

・情報学部／情報科学部
デジタル広告技術、データサイエンス、AIによる広告配信最適化、Webマーケティング、SNS解析、ユーザー行動分析。

・法学部
著作権法、広告表現規制、個人情報保護法、消費者保護法、プライバシー保護規制など広告関連法。

・国際関係学部／外国語学部
グローバルマーケティング、多言語PR戦略、異文化コミュニケーション。

具体的な大学の候補と学部

・慶應義塾大学　商学部／総合政策学部／環境情報学部
　デジタルマーケティング、ブランド戦略、広告心理学など幅広いマーケティング分野に強み。先進的なデジタル広告研究に取り組む。

・早稲田大学　商学部／文学部／社会科学部
　マーケティング、広告論、コミュニケーション論、マスメディア研究。広告業界とのつながりも強い。

・上智大学　経済学部／総合グローバル学部／文学部新聞学科
　グローバルな広告、PR、メディア・コミュニケーション研究に強みを持ち、国際広告分野にも注力。

・東京大学　経済学部／文学部社会学科／法学部
　消費者行動、広告戦略、メディア法、広告規制、社会心理学など学際的に学べる。

・一橋大学　商学部／社会学部
　マーケティング、消費者行動論、PR、広告心理、デジタル広告分析などに強み。

・同志社大学　商学部／社会学部
　広告・マーケティング・ブランド論、社会心理、メディア論、デジタル広告。実務との連携が充実。

・関西学院大学　経営戦略研究科／総合政策学部
　広告戦略、デジタルマーケティング、AIマーケティング活用、インフルエンサー研究など先進的な分野を研究。

・法政大学　経営学部／社会学部
　広告論、消費者行動論、マスコミ論、Webマーケティングなど多様な分野を網羅。

・中央大学　商学部／国際経営学部
　マーケティング、広告・PR論、グローバル広告、デジタル戦略。国際的視点での学びが特徴。

・立命館大学　経営学部／映像学部
　広告・ブランディング論、映像広告制作、デジタルマーケティング、メディア論。実践的な学びを提供。

6. 情報通信（Information and communication）

概要

インターネット、モバイル通信、データセンター、クラウド、AI、ソフトウェア、メディア・放送など情報の流通・処理を担う産業。

現状と将来の見通し

世界：5G普及、IoT（モノのインターネット）、AI・ビッグデータ・クラウドの急成長が牽引。サイバーセキュリティ、生成AI、エッジコンピューティングなど技術革新が激しい。

日本：世界大手に比べ遅れも指摘されるが、5G・クラウド・データ利活用推進、DX支援が拡大。人材不足、国内需要の頭打ち、プライバシー・セキュリティ確保が課題。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約220兆円
日本：約17兆円

6-1. 通信サービス（Telecommunications Services）

概要

携帯電話、固定電話、ブロードバンド、衛星通信などの通信インフラ提供を担う産業。5G、光ファイバー網整備やIoT普及の基盤。

現状と将来の見通し

世界：5G普及加速により高速・低遅延通信が拡大。通信インフラの高度化、サイバーセキュリティ強化、衛星通信や新興国のネット普及が成長要因。

日本：5G導入進展、光ファイバー網整備完了間近。人口減少による市場縮小懸念をDX（デジタルトランスフォーメーション）や新サービス（IoT・スマートシティ連携）で補完。料金競争激化や設備投資の最適化が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・AT&T（米国） … 約33兆円
・Verizon Communications（米国） … 約32兆円
・China Mobile（中国） … 約32兆円
・Deutsche Telekom（ドイツ） … 約24兆円
・Vodafone Group（英国） … 約3兆円

【日本】
・NTT（日本電信電話） … 約31兆円
・ソフトバンクグループ … 約10兆円（グループ全体）
・KDDI … 約10兆円
・楽天グループ … 約1.6兆円
・日本電気通信システム（未上場）

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 電気電子工学科
通信ネットワーク設計、無線通信技術（5G/6G）、光通信技術、衛星通信、信号処理、通信プロトコル、ネットワークセキュリティ、IoT基盤技術。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
ネットワークシステム、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティ、データ通信、分散処理、IoTシステム設計、スマートシティ関連技術。

・工学部 – システム工学科／電気情報工学科
通信インフラの統合管理、ネットワーク最適化、通信品質制御、通信設備の設計・運用。

・工学部 – 応用物理学科／光工学科
光ファイバー通信技術、光ネットワーク、フォトニクス、衛星搭載通信機器の研究。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部電気系（電気電子工学科／情報工学科）
5G通信、光ファイバー、衛星通信、IoT基盤技術などの最先端研究が充実。

・名古屋大学　工学部電気電子工学科／情報科学科
通信インフラやネットワーク技術、IoT応用の産学連携研究が盛ん。

・大阪大学　工学部電気電子情報工学科／情報科学科
通信ネットワーク、5G/6G、ネットワークセキュリティの教育・研究。

・京都大学　工学部電気電子工学科／情報学研究科
通信システム全般、光通信、IoT、スマートシティ連携技術に強み。

・早稲田大学　創造理工学部電気・情報生命工学科／先進理工学部情報理工学科
通信ネットワーク、IoT、情報通信技術の産業応用に注力。

・慶應義塾大学　理工学部電気情報工学科
次世代通信技術、5G/6G、ネットワーク構築とセキュリティ技術の研究。

・北海道大学　工学部電気電子情報工学科
広域通信ネットワーク、衛星通信、IoT基盤技術、サイバーセキュリティ。

・九州大学　工学部電気情報工学科／情報工学科
通信インフラ、高速無線通信、ネットワーク制御技術、IoTシステム。

・筑波大学　システム情報工学研究科／情報学群
通信ネットワーク、IoT応用、情報セキュリティの教育研究。

・東北大学　工学部電気情報物理工学科
光通信技術、5G・6Gネットワーク、衛星通信技術、IoT応用研究。

6-2. ハードウェア（Hardware）

概要

通信機器、コンピューター、スマートフォン、サーバー、ネットワーク機器の設計・製造。

現状と将来の見通し

世界：5G機器、半導体不足の影響もあり、製造・供給網の強靭化が課題。IoT・クラウド連携機器の拡大とエネルギー効率改善が焦点。

日本：国内製造の縮小傾向も高付加価値部品・素材開発に注力。5G基地局機器など国内外で需要増。海外依存脱却と技術革新が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Apple（米国） … 約447兆円
・Samsung Electronics（韓国） … 約386兆円
・Cisco Systems（米国） … 約30兆円
・Intel（米国） … 約13兆円
・Huawei（中国） …未上場

【日本】
・ソニーグループ … 約23兆円（グループ全体）
・日立製作所（グループ全体） … 約14兆円
・日本電気（NEC） … 約5兆円
・村田製作所 … 約4兆円
・京セラ … 約2兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 電気電子工学科
通信機器設計、半導体回路、集積回路、マイクロプロセッサ、デジタル・アナログ回路、電磁気学、5G・6G無線通信技術。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
コンピューターアーキテクチャ、組込みシステム、IoTデバイス、クラウド連携技術、AI・機械学習を活用したハード制御。

・工学部 – 機械工学科／精密工学科
精密機器設計、ロボット工学、サーバー筐体設計、熱設計・冷却技術、電子機器のメカ設計。

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
半導体材料、電子部品材料、高機能絶縁体、導電材料、電子デバイス用新素材。

・理学部 – 物理学科
半導体物理、固体物理、ナノテクノロジー、量子デバイス。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部電気電子工学科／電子情報工学科／物理工学科
　半導体・回路・情報通信・AI・IoTの融合領域で日本をリード。

・東京工業大学　工学院電気電子系／情報通信系／材料系
　世界的半導体研究拠点。通信・集積回路・IoTシステム開発に強い。

・大阪大学　工学部電気電子情報工学科／基礎工学部電子物理科学科
　電子デバイス・回路・通信技術・材料の最先端研究。

・京都大学　工学部電気電子工学科／情報学科／物理工学科
　情報通信・半導体・量子デバイスなど幅広く対応。

・東北大学　工学部電気情報物理工学科／材料科学総合学科
　世界的な半導体・材料科学研究、IoT・組込み技術にも強い。

・名古屋大学　工学部電気電子情報工学科／材料工学科
　自動車・通信・半導体産業との産学連携が盛ん。

・慶應義塾大学　理工学部電子工学科／情報工学科
　ICT、IoT、半導体デバイス、通信ネットワークを体系的に学べる。

・早稲田大学　先進理工学部電気・情報生命工学科／創造理工学部総合機械工学科
　ハードウェア設計・通信・ロボティクスなど応用分野も幅広い。

・九州大学　工学部電気情報工学科／総合理工学部
　半導体・通信・マイクロデバイス・AI融合研究、地域産業との連携。

・東京理科大学　工学部電気工学科／情報工学科
　ICT・ハードウェア設計・AI応用まで網羅。産業界との共同研究も盛ん。

6-3. インターネットサービス（Internet Services）

概要

検索エンジン、SNS、動画配信、電子商取引、オンライン広告などのウェブプラットフォーム事業。

現状と将来の見通し

世界：オンライン活動増加により巨大市場に成長。広告収入依存のリスク管理、プライバシー規制対応、AI活用強化が課題。

日本：プラットフォームの集中化が進みつつも、中小企業・スタートアップの競争も活発。地方展開・規制対応が重要。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Alphabet（Google、米国） … 約280兆円
・Meta Platforms（Facebook、米国） … 約220兆円
・Amazon（米国） … 約150兆円（EC＋クラウド含む）
・Tencent（中国） … 約90兆円
・Netflix（米国） … 約19兆円

【日本】
・LINE（Zホールディングス） … 約3.7兆円
・楽天グループ … 約1.7兆円
・サイバーエージェント … 約0.8兆円
・GMOインターネット … 約0.4兆円
・ミクシィ … 約0.2兆円

候補となる学部と研究分野

・情報学部／情報理工学部／工学部 – 情報科学科／情報工学科
ウェブシステム開発、検索エンジン、AI・機械学習、自然言語処理、ビッグデータ解析、セキュリティ、分散システム、UX（ユーザー体験）デザイン。

・経営学部／商学部／経済学部
電子商取引（EC）、デジタルマーケティング、プラットフォーム経営、広告ビジネス、国際ビジネス、ベンチャー経営。

・メディア学部／メディア情報学部／総合政策学部
SNS・動画配信のビジネスモデル、オンライン広告、メディア政策、情報社会論、デジタルコンテンツ制作。

・法学部／法政策学部
プライバシー保護法、IT関連法、知的財産権、インターネット規制、データガバナンス。

・社会学部
情報社会、ネット社会の倫理・影響、オンラインコミュニティ研究。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　大学院情報理工学系研究科
　情報理工学専攻（コンピュータ科学、人工知能、ネットワーク・セキュリティなど）を含み、検索エンジン、AI、セキュリティ、インターネット技術などの先端研究が可能。

・京都大学　工学研究科電気電子工学専攻／情報学研究科情報学専攻
　工学研究科ではAI、通信システム、組み込みシステムなどを研究。情報学研究科ではデータサイエンス、Web技術、EC、デジタル経済に関する幅広い分野を学べる。

・東京工業大学　情報理工学院
　情報工学系（ソフトウェア、ビッグデータ解析、クラウド技術）、ネットワーク・通信系、メディア情報系など複数の学科で、Webシステム設計やデータビジネス、AI関連の教育・研究を実施。

・早稲田大学　基幹理工学部情報理工学科
　情報科学の基礎から応用まで、Webプラットフォーム構築、広告ビジネスやデジタルマーケティング分野の研究・教育に強み。

・慶應義塾大学　環境情報学部／総合政策学部
　環境情報学部は情報技術・メディア・ネットワーク技術の実践的教育。総合政策学部はITビジネス、メディア政策、SNS・動画配信など社会政策と技術の融合領域を幅広く学べる。

・大阪大学　大学院情報科学研究科
　情報科学専攻（人工知能、機械学習、データマイニング、ネットワーク技術）において先端的な研究が盛ん。

・北海道大学　大学院情報科学研究院
　情報理工学領域で、IoT、AI、ビッグデータ解析、Webサービス設計など多岐にわたる研究を実施。

・筑波大学　情報学群情報科学類／社会・国際学類
　情報科学類ではコンピュータサイエンス、メディア情報処理、ネット倫理。社会・国際学類ではSNSビジネスやメディア社会の研究も行う。

・明治大学　総合数理学部情報科学科
　数理モデリングやAI、Web・SNSの解析、コンテンツ制作に関する教育を行い、情報社会論も学べる。

6-4. データセンター・クラウドインフラ（Data Centers & Cloud Infrastructure）

概要

データセンター運営、クラウドコンピューティング、ストレージサービス提供。

現状と将来の見通し

世界：クラウド利用拡大により急成長。省エネ・環境配慮、セキュリティ強化が重要課題。ハイブリッドクラウド・エッジコンピューティングの普及が加速。

日本：クラウド事業者の国内拠点増強、データローカリゼーション（国内データ保管）対応が進む。需要増加に応じたインフラ拡張が必要。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Microsoft Azure（米国・Microsoft子会社） … Microsoft全体約370兆円に含む
・Amazon Web Services（AWS、米国・Amazon子会社） … Amazon全体約300兆円に含む
・Google Cloud（米国・Alphabet子会社） … Alphabet全体約250兆円に含む
・Digital Realty（米国） … 約24兆円
・Equinix（米国） … 約12兆円

【日本】
・NTTコミュニケーションズ（NTTグループ） … NTT全体約14兆円に含む
・富士通 … 約7兆円（IT部門含む）
・NEC … 約5兆円
・IIJ（インターネットイニシアティブ） … 約0.5兆円
・さくらインターネット … 約0.2兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
クラウドコンピューティング、データセンター運用、ネットワーク設計・運用、分散システム、ストレージ技術、仮想化技術、セキュリティ工学、AIインフラ。

・工学部 – 電気電子工学科
省電力データセンター設計、通信インフラ、サーバー機器、電力・冷却技術、エネルギー管理システム、IoT基盤。

・工学部 – 通信工学科
大規模ネットワーク構築、光ファイバー通信、データ伝送最適化、エッジコンピューティング技術。

・工学部 – 計算機工学科
大規模データ処理、ハードウェア最適化、仮想化・コンテナ技術、GPU/FPGAによる処理高速化。

・理学部 – 数学科／物理学科／情報科学科
アルゴリズム開発、データ解析、最適化理論、量子計算（将来のクラウド基盤技術への応用）。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部情報理工学科／電気電子工学科
　クラウド、ネットワーク、AIインフラ、データセンターの省エネ設計など幅広い研究拠点。

・東京工業大学　情報理工学院情報科学科／工学院電気電子系／システム制御系
　クラウド基盤、セキュリティ、IoTネットワーク、次世代データセンター研究で先端。

・京都大学　工学部電気電子工学科／情報学研究科（関連分野）／理学部数学科
　大規模計算・分散システム・AIインフラ、クラウドセキュリティ等の先端分野。

・大阪大学　基礎工学部情報科学科／工学部電子情報工学科
　ネットワーク、計算機基盤、IoT、データセンター運用技術の研究拠点。

・慶應義塾大学　理工学部電気電子工学科／数理情報学科
　クラウド、AI基盤、ネットワークシステム設計、データストレージ技術に強み。

・早稲田大学　基幹理工学部情報科学科／創造理工学部総合機械工学科
　クラウドインフラ、データセンター管理、IoT・AI基盤システム研究。

・名古屋大学　工学部電気電子情報工学科／情報学部情報科学科
　ネットワーク、サーバ設計、分散システム、省エネデータセンター技術。

・九州大学　工学部電気情報工学科／システム情報科学府情報学専攻（大学院）
　クラウドシステム、ネットワーク技術、ハイブリッドクラウド、エッジコンピューティング。

・北海道大学　工学部電子情報工学科
　クラウドサービス基盤、ストレージ、AIネットワーク、サイバーセキュリティ研究。

・筑波大学　情報学群情報学類／理工学群工学システム学類
　大規模データ処理、分散クラウド、仮想化技術、ネットワーク設計に強み。

7. 金融・保険業（Finance / Insurance）

概要

銀行、証券、保険、資産運用（投資信託・年金）、決済サービスなど、お金の流通・管理・リスク移転を担う産業。近年はフィンテック（ITを活用した金融サービス）も急拡大。

現状と将来の見通し

世界：金融危機後の規制強化、デジタルバンキング（オンライン銀行）、キャッシュレス化、AIによる投資・融資判断、自動化が進展。ESG投資（環境・社会・ガバナンス重視の投資）、ブロックチェーン（分散型台帳技術）、サイバーセキュリティ対応が重要なテーマ。

日本：超低金利環境、人口減で伝統的な預貸業務は縮小傾向。フィンテック（モバイル決済、ロボアドバイザー、仮想通貨）や地方銀行の再編、グリーン金融（環境重視の融資）、マイナンバー連携強化が進む。高齢者向けサービスや事業承継支援も拡大中。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約230兆円
日本：約33兆円

7-1. 銀行（Banking）

概要

預金、貸出、為替、決済、投資銀行業務などを担う金融の中核。経済の資金循環を支える基盤産業。

現状と将来の見通し

世界：超低金利環境と規制強化が継続。デジタルバンキング・フィンテック台頭で顧客接点が変化し、コスト削減・効率化が急務。ESG対応、サイバーセキュリティ強化、AIによる信用評価・不正検知が重要課題。

日本：人口減少・超低金利の影響で収益圧迫。地方銀行再編進む。デジタル化・非対面サービスの推進、フィンテックとの連携強化が求められる。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・JPMorgan Chase（ジェーピーモルガン・チェース／米国） … 約105兆円
・Bank of America（バンク・オブ・アメリカ／米国） … 約48兆円
・Wells Fargo（ウェルズ・ファーゴ／米国） … 約35兆円
・ICBC（中国工商銀行／中国） … 約45兆円
・HSBC（エイチエスビーシー／英国） … 約30兆円

【日本】
・三菱UFJフィナンシャル・グループ … 約22兆円
・三井住友フィナンシャルグループ … 約14兆円
・みずほフィナンシャルグループ … 約10兆円
・りそなホールディングス … 約2.6兆円
・横浜銀行 … 約0.5兆円

候補となる学部と研究分野

・経済学部／経営学部／商学部
金融システム、マクロ・ミクロ経済学、銀行業務論、金融市場論、リスク管理、国際金融、経営戦略、ファイナンス、コーポレートガバナンス、ESG・サステナビリティ経営、フィンテック。

・法学部
金融関連法（銀行法・証券取引法・コンプライアンス）、商法、金融規制、契約法、国際金融法、マネーロンダリング対策法制。

・情報学部／情報科学部／データサイエンス学部
金融IT（FinTech）、デジタルバンキング、AIによる信用評価・不正検知、サイバーセキュリティ、ブロックチェーン、データ解析、アルゴリズム取引。

・理学部／統計学部／数理科学部
金融工学、リスク評価、統計解析、計量経済学、クオンツファイナンス、金融モデリング。

・国際関係学部／政策学部
国際金融、金融政策、グローバル経済、規制・監督政策、ESG対応・国際基準。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部（経済学科、経営学科、金融学科）
　国内トップの金融・経済研究拠点。経済学、経営学、金融学を融合し、銀行・金融行政やFinTechに関する先端教育・研究が充実。

・一橋大学　商学部／経済学部／法学部
　金融経済・商業・法制度を横断的に学べる環境。実務家教員や産学連携が強みで、商学部・経済学部は経営学も学べる。

・慶應義塾大学　経済学部／商学部／法学部／理工学部管理工学科／環境情報学部／総合政策学部
　伝統的な金融・経営・法学に加え、FinTechやデータサイエンス、AIなど先端分野にも強みを持つ。

・早稲田大学　政治経済学部／商学部／法学部／基幹理工学部（情報理工学科、数学科）
　幅広い学部で金融とIT、経営、法学を複合的に学べる体制が整っている。

・京都大学　経済学部（経済学科、経営学科）
　銀行・金融政策、金融工学を含む経済学・経営学の総合教育を実施。情報学研究科（大学院）ではAI・データ解析も学べる。

・大阪大学　経済学部
　金融経済、リスク管理、経済学・経営学の理論と実証分析に強み。基礎工学部システム科学科は別学部。

・神戸大学　経済学部
　伝統的に金融・証券・経営分野が強く、地域金融機関やメガバンクへの就職実績も豊富。

・名古屋大学　経済学部
　経済学・経営学を基盤に、経済情報や金融システムの理論と実務を学習。情報学部は別学部。

・横浜国立大学　経済学部（経済学科、経営学科）
　金融工学、経済・経営、情報・AIの複合的学習が可能。理工学部数物・電子情報系学科は別学部。

・筑波大学　社会・国際学群（国際総合学類）／理工学群情報学類
　グローバルな金融制度・デジタル金融・データサイエンスを学べる環境。学群・学類制を採用。

7-2. 証券（Securities）

概要

株式、債券、デリバティブ取引、資金調達支援や資産管理業務を行う。投資銀行業務も含む。

現状と将来の見通し

世界：低金利環境の中で証券業務多様化が進行。AI取引、電子取引プラットフォームの発展。ESG投資需要増加、規制強化、サイバーセキュリティへの対応が課題。

日本：国内市場縮小の一方、グローバル展開と個人投資家向けサービス拡充。デジタル化・オンライン証券の拡大が顕著。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Morgan Stanley（モルガン・スタンレー／米国） … 約28.5兆円
・Goldman Sachs（ゴールドマン・サックス／米国） … 約25.4兆円
・Charles Schwab（チャールズ・シュワブ／米国） … 約21.7兆円
・UBS（ユー・ビー・エス／スイス） … 約14.4兆円
・Credit Suisse（クレディ・スイス／スイス） … 約0.5兆円

【日本】
・野村ホールディングス … 約2.7兆円
・楽天グループ … 約1.8兆円
・大和証券グループ本社 … 約1.4兆円
・SBIホールディングス … 約1.4兆円
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券（非上場）

候補となる学部と研究分野

・経済学部
証券市場論、金融経済学、資産価格理論、金融政策、マクロ・ミクロ経済学、国際金融論、証券投資論。

・商学部／経営学部
金融論、コーポレートファイナンス、証券市場分析、投資銀行論、M&A、資金調達、企業財務、経営戦略、財務会計。

・法学部
金融商品取引法、証券取引法、金融規制、コンプライアンス、国際取引法、企業法務。

・情報学部／理工学部（情報工学科）
AI・アルゴリズム取引、データサイエンス、金融工学、フィンテック、電子取引プラットフォーム、サイバーセキュリティ。

・理学部（数学科／統計学科）
数理ファイナンス、金融数学、リスク管理、統計解析、確率論、デリバティブ評価。

・国際関係学部／国際ビジネス学部
グローバル金融市場、国際投資、海外証券業務、異文化マネジメント、ESG投資。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部／法学部／理学部（数学科）
日本の証券・金融研究の中心。トップ金融機関への就職実績が豊富で、金融工学や政策、規制研究も最先端。

・一橋大学　商学部／経済学部
証券・金融分野で伝統的に強みを持つ。実務・研究の双方に対応し、投資銀行・資産運用業界に多くの人材を輩出。

・京都大学　経済学部／法学部／理学部（数学科）
金融政策・国際金融・数理ファイナンスに強み。リサーチ力とアカデミック人材育成でも定評がある。

・早稲田大学　商学部／政治経済学部／法学部
証券会社や投資銀行など民間金融就職実績が豊富。金融データサイエンスやESG分野の研究も充実。

・慶應義塾大学　商学部／経済学部／法学部／理工学部（情報工学科）
金融・証券・フィンテック領域に強みを持つ。AI×金融の最先端研究や証券プラクティスも活発。

・大阪大学　経済学部／法学部／基礎工学部（システム科学科）
関西の金融・証券分野をリード。リスク管理や数理ファイナンスにも強みがある。

・神戸大学　経済学部／経営学部／法学部
日本を代表する商都で実学重視の教育を展開。金融論、国際金融、証券市場分析を学ぶ環境が整う。

・名古屋大学　経済学部／法学部／情報学部
東海地方の金融・証券人材供給拠点。デリバティブ、金融IT、法規制まで幅広く教育。

・筑波大学　社会・国際学群（国際総合学類）／理工学群（数学類・情報科学類）
グローバル金融・証券、データサイエンス分野の新潮流に対応した教育。

・東京理科大学　理学部（数学科）／経営学部
金融数学・金融工学の研究・実務に強く、クオンツやリスク管理専門職養成に注力。

7-3. 保険（Insurance）

概要

生命保険、損害保険、健康保険、年金保険などリスク移転・管理サービスを提供。

現状と将来の見通し

世界：高齢化や自然災害増加で保険需要増。テクノロジー活用（AI査定、ビッグデータ、IoT保険）が進展。規制対応強化。サステナビリティや気候変動リスクも重要テーマ。

日本：少子高齢化により医療保険や介護保険の重要性増。低金利で運用収益圧迫。デジタル化・遠隔保険サービスの強化、健康経営や予防医療への注力が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Berkshire Hathaway（バークシャー・ハサウェイ／米国） … 約142兆円
・Allianz（アリアンツ／ドイツ） … 約19兆円
・AXA（アクサ／フランス） … 約15兆円
・Ping An Insurance（ピンアン保険／中国） … 約13兆円
・AIA Group（AIAグループ／香港） … 約10兆円

【日本】
・東京海上ホールディングス … 約8兆円
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス … 約5兆円
・第一生命ホールディングス … 約4兆円
・日本生命保険（未上場）
・住友生命保険（未上場）

候補となる学部と研究分野

・経済学部／商学部／経営学部
保険経済・金融工学、リスクマネジメント、アクチュアリー、保険ビジネス、サステナビリティ経営、保険マーケティング、グローバルビジネス。

・法学部
保険法、消費者保護法、企業法、コンプライアンス、金融規制、保険契約法、個人情報保護法。

・理学部／数学部
統計学、確率論、アクチュアリー数学、数理ファイナンス、リスク分析。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
AI・ビッグデータ解析、保険テック（InsurTech）、データマイニング、IoT・遠隔モニタリング技術。

・医・看護・健康科学部
医療保険・介護保険制度、予防医療、健康経営、ヘルスケアマネジメント。

・環境学部／サステナビリティ学部
気候変動リスクと保険、災害リスク評価、ESG経営、再保険（自然災害・パンデミック対応）。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部／法学部／理学部数学科
　リスクマネジメント、数理ファイナンス、アクチュアリー、保険法、サステナビリティ経営など幅広い研究に対応。

・京都大学　経済学部／法学部／理学部数学教室
　金融・保険経済、アクチュアリー、保険制度設計、数理モデル、保険法を多角的に学べる。

・一橋大学　商学部／経済学部
　保険・リスクマネジメント、アクチュアリーコース、金融機関連携で保険ビジネス研究が盛ん。

・大阪大学　経済学部／法学部／基礎工学部数理科学系
　保険・年金制度、アクチュアリー、確率論・統計学、金融と法制度。

・慶應義塾大学　商学部／経済学部／法学部
　保険・金融イノベーション、保険法、統計・データサイエンスも強み。

・早稲田大学　商学部／法学部／基幹理工学部数学科
　保険数理、金融工学、保険ビジネス研究、法規制分野も幅広い。

・名古屋大学　経済学部／法学部／理学部数学科
　保険・リスク経済学、数理ファイナンス、保険制度設計に強い。

・東北大学　経済学部／理学部数学科
　リスクマネジメント、アクチュアリー、数理ファイナンスの研究が可能。

・中央大学　商学部／法学部
　保険ビジネス・保険法・リスク管理の実務教育と連携が進んでいる。

・九州大学　経済学部／法学部／理学部数学科
　保険・年金経済、アクチュアリー数理、リスク管理を理論と実践で学べる。

7-4. 資産運用（Asset Management）

概要

投資信託、年金基金、ヘッジファンド、プライベートエクイティなどの資産運用・管理を行う。

現状と将来の見通し

世界：低金利と市場変動リスクのなかで多様な運用戦略とESG投資が拡大。AI・ビッグデータ活用でリスク管理・パフォーマンス向上が加速。

日本：公的年金基金の積極運用強化と個人資産運用ニーズ増。金融庁による運用透明化と手数料低減圧力も影響。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・BlackRock（ブラックロック／米国） … 約15兆円
・State Street Global Advisors（ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ／親会社：ステート・ストリート・コーポレーション／米国） … 約4兆円
・Vanguard Group（ヴァンガード・グループ／米国・非上場） … 非公開
・Fidelity Investments（フィデリティ・インベストメンツ／米国・非上場） … 非公開
・Capital Group（キャピタル・グループ／米国・非上場） … 非公開

【日本】
・野村アセットマネジメント … 非公開
・大和証券投資信託委託 … 非公開
・三菱UFJ国際投信 … 非公開
・日興アセットマネジメント … 非公開
・東京海上アセットマネジメント … 非公開

候補となる学部と研究分野

・経済学部
　資産運用理論、金融市場分析、証券投資論、年金基金運用、国際金融、マクロ経済学、金融政策、ESG投資。

・商学部／経営学部
　ファイナンス、投資信託・保険商品の企画・評価、金融リスクマネジメント、企業財務、行動ファイナンス、アセットアロケーション。

・法学部
　金融商品取引法、コンプライアンス、信託法、金融規制、投資家保護法制。

・理学部／情報学部
　統計学、データサイエンス、AI・機械学習の金融応用、ビッグデータ分析、リスクモデル開発。

・公共政策学部
　年金制度・社会保障と資産運用、金融行政、国際金融規制政策。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部経済学科／経営学科
　世界トップレベルの金融・経済研究拠点。年金基金やESG投資、金融規制まで幅広く対応。

・東京大学　法学部法学科
　法学の基礎から応用まで幅広く学べる。

・東京大学　公共政策大学院
　公共政策に関する高度な専門知識と実践力を養成。

・一橋大学　商学部商学科／経営学科／会計学科
　資産運用・証券市場研究に強み。アセットマネジメントや投資理論の実践的教育が充実。

・一橋大学　経済学部経済学科／経営学科
　経済学の理論と実務、経営学を体系的に学べる。

・慶應義塾大学　商学部商学科／経営学科／会計学科
　大手金融機関と連携し、金融工学・リスクマネジメント・ESG投資も先進的。

・慶應義塾大学　経済学部経済学科／経営学科
　経済学と経営学の基礎から応用まで幅広く教育。

・早稲田大学　政治経済学部政治学科／経済学科／国際政治経済学科
　グローバル金融、投資ファンド研究、金融規制・ガバナンス分野に強い。

・早稲田大学　商学部商学科／経営学科／会計学科
　経済学と経営学の基礎を学びつつ、実務に直結した教育を提供。

・京都大学　経済学部経済経営学科
　年金基金・金融工学・リスク管理分野での先端研究が盛ん。

・大阪大学　経済学部経済・経営学科
　AI・ビッグデータを活用した金融実務・資産運用の融合教育。

・神戸大学　経済学部経済学科
　伝統的に証券・金融分野が強く、企業年金や資産運用の研究が活発。

・名古屋大学　経済学部経済学科／経営学科
　ビッグデータ・AIを活用した新時代の金融資産運用・リスク管理研究。

・筑波大学　社会工学類
　社会工学を基盤に、データサイエンスと金融・経済分析を融合した教育に定評。

・筑波大学　ビジネス科学研究科
　ビジネスに関する高度な専門知識と実践力を養成する大学院。

・横浜国立大学　経済学部経済学科／経営学科
　グローバルな金融人材育成、資産運用・企業財務分野に強み。

7-5. 決済サービス（Payment Services）

概要

クレジットカード、デビットカード、モバイル決済、電子マネー、送金サービスなど消費者・企業間の資金移動・決済を担う。

現状と将来の見通し

世界：キャッシュレス化とデジタルウォレット普及が急進。フィンテック企業が台頭し、国際送金や暗号資産連携が発展。規制対応・セキュリティ強化が課題。

日本：キャッシュレス比率は伸びているが先進国中では低め。スマホ決済の拡大とインバウンド需要対応が進む。銀行系、カード系、IT系の競争激化。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Visa（ビザ／米国） … 約70兆円
・Mastercard（マスターカード／米国） … 約56兆円
・Adyen（アディエン／オランダ） … 約8.4兆円
・PayPal（ペイパル／米国） … 約10兆円
・Block（ブロック／米国） … 約5.6兆円

【日本】
・楽天グループ … 約1.7兆円
・オリエントコーポレーション … 約1.5兆円
・JCB（非上場）
・三菱UFJニコス（非上場、親会社三菱UFJフィナンシャルグループ）
・PayPay（非上場、ソフトバンクグループ傘下）

候補となる学部と研究分野

・経済学部／商学部／経営学部
決済サービス産業のビジネスモデル、キャッシュレス経済、フィンテック戦略、国際決済、金融規制、マーケティング。

・情報学部／情報理工学部／理工学部情報学科
決済システム開発、暗号技術、デジタルウォレット、ブロックチェーン、サイバーセキュリティ、モバイルアプリ、ネットワーク通信。

・工学部電気電子工学科／通信工学科
非接触ICカード技術、NFC、モバイル通信、センサーネットワーク、IoT決済デバイス。

・法学部
金融関連法規、個人情報保護法、AML（マネーロンダリング対策）、消費者保護、電子決済規制。

・数学部／データサイエンス学部
金融データ解析、不正検知アルゴリズム、AI与信審査、リスク評価モデリング。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学経済学部／法学部／工学部（電子情報工学科・計数工学科）
　経済・金融政策、金融法規、フィンテック、サイバーセキュリティ等、決済インフラの研究に強み。

・慶應義塾大学商学部／法学部／理工学部情報工学科
　フィンテック（FinTech）・デジタル決済の社会実装・法的整備・アプリ開発まで一貫して学べる。

・早稲田大学商学部／政治経済学部／基幹理工学部情報理工学科
　デジタルウォレット、セキュリティ、金融イノベーション、暗号資産連携の先端研究。

・一橋大学商学部／経済学部／法学部
　金融サービス、国際ビジネス、規制対応など実務・理論双方で強み。

・大阪大学経済学部／基礎工学部（システム科学科）／情報科学研究科
　決済システムの数理解析、AI活用、不正検知・リスク評価。

・名古屋大学経済学部／情報学部／工学部（計算機科学科）
　決済ネットワーク・IoT決済・情報通信基盤の研究。

・京都大学経済学部／法学部／工学部（情報学科）
　キャッシュレス社会の経済・法規・技術の総合的研究。

・神戸大学経済学部／経営学部／システム情報学研究科
　決済ビジネス、金融データ分析、イノベーション研究。

・筑波大学理工学群情報学類／社会国際学群国際総合学類
　情報通信・国際金融システム・ブロックチェーン応用の教育が充実。

・九州大学経済学部／システム情報科学府
　国際決済、送金サービス、AI・暗号技術に関する実践的な研究。

8. 医療・ヘルスケア（Healthcare）

概要

病院・診療所、医薬品、医療機器、介護・福祉サービス、予防・健康増進、バイオテクノロジーなど人の健康維持と回復に関わる産業。

現状と将来の見通し

世界：高齢化、生活習慣病の増加、医療費膨張が世界的課題。AI診断、遠隔医療、デジタルヘルス、ゲノム医療などの技術革新が進行。製薬分野ではバイオ医薬・個別化医療が成長。

日本：世界有数の高齢化社会で、医療・介護需要は高水準。医療費抑制策や地域医療体制の強化、DX（電子カルテ、オンライン診療）、介護ロボット、健康寿命延伸のための予防医療などが重点施策。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約1,000兆円
日本：約53兆円

8-1. 医薬品（Pharmaceuticals）

概要

医薬品の研究・開発・製造・販売を担う産業。新薬開発、ジェネリック医薬品、バイオ医薬品が主軸。個別化医療や遺伝子治療の拡大が期待される。

現状と将来の見通し

世界：高齢化に伴う医療需要増加、新薬開発競争が激化。バイオ医薬、抗体医薬、遺伝子治療、AI活用による創薬が急成長。薬価圧力や規制強化が課題。

日本：高齢化社会の進展に伴い慢性疾患対応が重要。革新的医薬品の国内承認促進、ジェネリック普及推進、バイオ医薬品市場拡大が進行。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Johnson & Johnson（ジョンソン・エンド・ジョンソン／米国） … 約57兆円
・Roche（ロシュ／スイス） … 約32兆円
・Novartis（ノバルティス／スイス） … 約34兆円
・Merck & Co.（メルク／米国） … 約30兆円
・Pfizer（ファイザー／米国） … 約20兆円

【日本】
・武田薬品工業 … 約7.1兆円
・第一三共 … 約4.5兆円
・中外製薬 … 約4.5兆円
・アステラス製薬 … 約2.5兆円
・エーザイ … 約2.5兆円

候補となる学部と研究分野

・薬学部 – 薬学科／創薬科学科
新薬開発、薬物動態学、バイオ医薬品、ジェネリック医薬品、分子標的薬、遺伝子治療、個別化医療、薬理学、製剤学、臨床薬学。

・理学部 – 化学科／生物学科
有機化学・生化学・分子生物学による薬剤設計、細胞生物学、タンパク質工学、酵素研究、遺伝子編集技術。

・工学部 – 応用化学科／バイオ工学科／化学工学科
バイオ医薬品製造、ナノ医薬品、AI創薬、ドラッグデリバリーシステム、化学プロセス設計。

・医学部 – 医学科
医薬品臨床試験、個別化医療、トランスレーショナルリサーチ、疾患メカニズム解析、再生医療。

・生命科学部／先端生命科学部
ゲノム医療、細胞医療、分子診断、遺伝子治療、バイオインフォマティクス。

・情報学部／情報理工学部
医療AI、創薬データ解析、バイオインフォマティクス、デジタルヘルス技術。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学薬学部薬学科／理学部化学科／工学部応用化学科
　日本最高峰の創薬・バイオ医薬研究。産学連携・基礎〜応用・AI創薬にも強い。

・京都大学薬学部薬科学科／理学部化学科／医学部医学科
　免疫学・分子標的薬・個別化医療の先端研究拠点。

・大阪大学薬学部／工学部応用化学科／生命機能研究科
　バイオ医薬品・遺伝子治療・先端製剤技術で国内屈指。

・東京理科大学薬学部薬学科／理学部化学科
　ジェネリック医薬品・AI創薬・バイオ医薬に強み。

・北海道大学薬学部／理学部化学科／工学部応用化学科
　バイオ創薬・天然物化学・医薬品化学・産業連携に定評。

・東北大学薬学部／理学部化学科／医学部医学科
　疾患メカニズム、再生医療、ゲノム創薬の基盤研究に強い。

・名古屋大学薬学部／工学部化学・生物工学科
　新薬開発、AI創薬、バイオ医薬品開発で先端。

・慶應義塾大学薬学部／理工学部応用化学科
　個別化医療・データ駆動型創薬、医療AIに注力。

・早稲田大学先進理工学部応用化学科／生命医科学科
　ナノ医薬品、バイオインフォマティクス、分子創薬分野で実績。

・九州大学薬学部／工学部応用化学科
　バイオ医薬、医薬品製造、分子創薬、ゲノム医療に対応。

8-2. 医療機器（Medical Devices）

概要

診断機器、手術機器、人工臓器、体外診断薬、IT医療機器などを開発・製造。高齢化やデジタル化で需要が拡大。

現状と将来の見通し

世界：画像診断、ロボット手術、遠隔医療機器、ウェアラブルセンサーの成長が著しい。規制対応や高額機器の普及拡大が課題。

日本：医療機器の海外展開強化、IoTやAI搭載機器の開発が加速。高齢者医療や介護向け機器需要が増加。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Medtronic（メドトロニック／米国） … 約11兆円
・Abbott Laboratories（アボット／米国） … 約9兆円
・Siemens Healthineers（シーメンスヘルスケア／ドイツ） … 約8兆円
・Philips Healthcare（フィリップス／オランダ） … 約5兆円
・Boston Scientific（ボストンサイエンティフィック／米国） … 約4兆円

【世界】
・Abbott Laboratories（アボット／米国） … 約34.0兆円
・Boston Scientific（ボストンサイエンティフィック／米国） … 約22.1兆円
・Medtronic（メドトロニック／米国） … 約16.5兆円
・Siemens Healthineers（シーメンスヘルスケア／ドイツ） … 約7.6兆円
・Philips Healthcare（フィリップス／オランダ） … 約3.2兆円

【日本】
・日立製作所（医療機器含む） … 約18.4兆円
・富士フイルムホールディングス（医療分野含む） … 約3.8兆円
・テルモ … 約3.9兆円
・オリンパス … 約2.2兆円
・シスメックス … 約1.5兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科／精密工学科
医療用機器設計、医用ロボット、手術支援機器、人工臓器、精密加工、バイオメカニクス（生体力学）。

・工学部 – 電気電子工学科／電子情報工学科
医療用画像機器（MRI・CTなど）、医療用センサー、計測・制御技術、ウェアラブルデバイス、遠隔医療技術、IoT機器開発。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科／人工知能専攻
医療AI、画像診断支援システム、遠隔診断、ヘルスケアITシステム、医療データ解析。

・理学部 – 物理学科／化学科／生物学科
材料科学（医療機器用新素材・バイオマテリアル）、生体適合材料、診断薬開発、ナノテクノロジー応用。

・医学部 – 医学科／医療技術学科
臨床医学、医用工学、臨床検査技術、医療機器管理学。

・薬学部 – 薬学科／臨床検査学科
体外診断薬、バイオセンサー、臨床検査技術、医薬品開発。

・看護学部・保健学部
医療現場での機器利用・運用、遠隔モニタリング、ヘルスケア情報管理。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　大学院工学系研究科情報理工学系研究科
　AI応用や情報処理技術に強みがあり、医療情報システムの研究も盛ん。

・東北大学　工学部機械知能・航空工学科
　生体医工学、画像診断装置、医療用ロボットの研究が盛ん。
・東北大学　大学院医工学研究科
　医療と工学の融合領域で先進的な医療機器の開発を推進。

・大阪大学　工学部機械工学科／電子情報工学科
　手術支援ロボット、診断機器、医用材料、AI医療応用に強い。
・大阪大学　医学部医学科
　臨床応用を見据えた医療技術研究に注力。

・京都大学　工学部機械工学科／電気電子工学科
　医療用デバイス、バイオマテリアル、画像処理、臨床応用。
・京都大学　医学部人間健康科学科
　健康科学分野における基礎・応用研究が充実。

・東京科学大学（旧東京工業大学・旧東京医科歯科大学）
　工学院機械系／電気電子系／情報系
　手術ロボット、ウェアラブル医療機器、IoT・AI応用研究に強み。
　生体材料工学研究所／医学部保健衛生学科
　医療機器開発・材料研究、臨床現場の課題解決型研究を推進。

・名古屋大学　工学部機械・航空宇宙工学科／情報・電気電子工学科
　医療ロボティクス、診断技術、AI診断の産学連携も充実。

・九州大学　工学部機械工学科／電気情報工学科
　医用センサー、ロボティクス、医療現場連携の開発。
・九州大学　医学部医療技術科学専攻
　医療技術開発と臨床連携を強化。

・慶應義塾大学　理工学部機械工学科／電気情報工学科
　診断機器・医療AI、遠隔医療、産学・医工連携に強み。
・慶應義塾大学　医学部医療情報学科
　医療情報システムとAI応用の研究をリード。

・早稲田大学　創造理工学部総合機械工学科／先進理工学部応用化学科
　医療用材料・精密機器・デジタルヘルスなど幅広い分野で研究。

8-3. 医療サービス・病院（Healthcare Providers & Services）

概要

病院、クリニック、介護施設、診療所など医療・介護サービスの提供。遠隔診療やデジタル化も拡大中。

現状と将来の見通し

世界：高齢化により在宅医療・介護需要増。遠隔医療、AI診断、デジタル記録システムの導入が拡大。資金調達・人材確保が課題。

日本：高齢社会に伴い医療・介護サービス拡充が急務。地域包括ケアシステム、介護ロボット、ICT活用の促進が進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・UnitedHealth Group（ユナイテッドヘルスグループ／米国） … 約36兆円
・HCA Healthcare（HCAヘルスケア／米国） … 約13兆円
・McKesson Corporation（マッケッソン／米国） … 約12兆円
・Cigna Corporation（シグナ／米国） … 約11兆円
・CVS Health（CVSヘルス／米国） … 約11兆円

【日本】
・テルモ … 約2.7兆円
・セコム（医療・介護セキュリティサービス含む） … 約1.5兆円
・日本調剤（調剤薬局運営） … 約0.9兆円
・ベネッセホールディングス（介護・保育事業含む） … 約0.6兆円
・ツムラ（漢方製薬・医療関連） … 約0.3兆円

候補となる学部と研究分野

・医学部 – 医学科／看護学科
医師、看護師、臨床医療、医療サービス全般、病院運営、地域医療、医療安全管理。

・医療科学部／保健学部 – 臨床検査学科／放射線技術学科／リハビリテーション学科
臨床検査、画像診断、理学療法・作業療法、リハビリ技術、在宅医療サービス。

・薬学部
薬剤師、調剤薬局運営、医薬品管理、医療サービス連携、在宅薬剤管理。

・福祉学部／社会福祉学科
介護福祉、社会福祉士、地域包括ケア、福祉サービス経営、介護施設運営。

・工学部／情報学部 – 医療情報学科／システム工学科
電子カルテ、医療ICT、医療AI、遠隔医療システム、医療データ解析。

・看護学部
臨床看護、在宅看護、医療現場での実践ケア、高齢者・認知症ケア、チーム医療。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　医学部医学科／保健学科
　最先端の医療・医学研究、病院経営や医療政策研究も充実。

・京都大学　医学部医学科／保健学科
　高度な医療技術・医療サービス、AI医療や地域包括ケアの先進的研究。

・大阪大学　医学部医学科／保健学科
　臨床・基礎医学だけでなく、看護・医療情報の融合研究に強み。

・慶應義塾大学　医学部医学科／看護学科
　臨床医療、遠隔医療・デジタルヘルス、先進的な医療経営の教育。

・東京科学大学（旧東京医科歯科大学）　医学部医学科／保健学科
　高度医療・地域医療、医療ICT、介護ロボット分野の教育研究。

・千葉大学　医学部医学科／看護学科／薬学部薬学科
　臨床・在宅医療、看護、薬学、医療連携、ICT活用に強み。

・名古屋大学　医学部医学科／保健学科
　臨床・基礎医学とともに、地域医療や高齢化対応医療に注力。

・東北大学　医学部医学科／保健学科
　医療サービス工学、医療AI、地域包括ケア、医療安全研究。

・順天堂大学　医学部医学科／看護学科
　高度急性期医療、地域医療連携、医療安全・マネジメント教育。

・国際医療福祉大学　医学部医学科／保健医療学部
　医療・看護・福祉の総合教育、医療経営や国際医療にも強み。

8-4. バイオテクノロジー（Biotechnology）

概要

遺伝子編集、細胞治療、再生医療、バイオ医薬品開発など先端医療技術を担う分野。創薬の新手法として注目。

現状と将来の見通し

世界：遺伝子治療の商用化進展、CRISPR技術応用、個別化医療・免疫療法が成長ドライバー。倫理規制・高コストが課題。

日本：再生医療法の整備、先進的医療実用化の推進、産学連携強化が進む。海外企業との提携も活発化。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Amgen（アムジェン／米国） … 約22兆円
・Gilead Sciences（ギリアドサイエンシズ／米国） … 約19兆円
・Regeneron Pharmaceuticals（リジェネロン／米国） … 約7.4兆円
・Biogen（バイオジェン／米国） … 約2.7兆円
・Moderna（モデルナ／米国） … 約1.5兆円

【日本】
・シスメックス（バイオ診断関連含む） … 約1.5兆円
・ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング … 約23億円
・アンジェス（遺伝子治療） … 約23億円
・セルシード（再生医療） … 約19億円
・第一三共バイオファーマ（子会社） … 非上場

候補となる学部と研究分野

・理学部 – 生物学科／生命科学科
　分子生物学、細胞生物学、遺伝子工学、バイオインフォマティクス、幹細胞研究、CRISPRなど遺伝子編集技術。

・薬学部 – 薬学科／創薬科学科
　創薬科学、バイオ医薬品開発、分子標的薬、抗体医薬、治験・臨床開発。

・工学部 – 応用化学科／生命工学科／生物工学科
　バイオプロセス工学、再生医療材料、バイオリアクター設計、合成生物学。

・医学部 – 医学科／再生医療学科
　再生医療、細胞治療、遺伝子治療、先端治療技術、臨床応用。

・農学部 – 応用生命科学科／生物資源科学科
　植物バイオテクノロジー、遺伝子組換え作物、バイオマス利用、動物細胞工学。

・理工学部／先端生命科学部
　バイオインフォマティクス、人工知能（AI）による創薬、データ解析。

・情報学部 – バイオインフォマティクス分野
　ゲノム解析、AI創薬支援、データサイエンスと生命科学の融合。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　理学部生物学科／工学部応用化学専攻／医学部医学科／薬学部薬科学科
　遺伝子編集、再生医療、創薬、分子生物学で日本トップレベルの研究拠点。

・京都大学　理学部生物科学科／医学部医学科／薬学部薬科学科
　iPS細胞研究や再生医療で世界的評価。産学連携も活発。

・大阪大学　生命機能研究科／薬学部創薬科学専攻／医学部医学科
　バイオ医薬・遺伝子治療・細胞工学分野に強み。先端医療推進。

・東北大学　農学部応用生命化学科／理学部生物学科／医学部医学科
　再生医療・植物バイオ・分子細胞研究に特色。

・慶應義塾大学　理工学部生命情報学専攻／医学部医学科／薬学部薬学科
　バイオインフォマティクス、AI創薬、再生医療に対応。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　生命理工学院生命工学系／情報理工学院情報工学系
　バイオテクノロジーと情報科学の融合研究。創薬や再生医療向け工学も。

・名古屋大学　理学部生命理学専攻／医学部医学科／工学部化学生命工学科
　分子細胞、再生医療、バイオ医薬の幅広い研究。

・北海道大学　先端生命科学研究院／薬学部薬科学科／農学部応用生命化学科
　分子バイオ、ゲノム編集、細胞治療技術など多彩な分野。

・九州大学　農学部生物資源環境科学科／理学部生物学科／医学部医学科
　バイオリソース、遺伝子工学、再生医療等で西日本随一。

・筑波大学　生命環境学群生物学類／医学群医学類／理工学群応用理工学類
　ゲノム編集、分子バイオロジー、再生医療工学を学べる。

8-5. ヘルスケアIT・デジタルヘルス（Healthcare IT / Digital Health）

概要

電子カルテ、遠隔診療、AI診断支援、医療データ解析、健康管理アプリなどのITサービス。医療効率化と個人健康管理の推進。

現状と将来の見通し

世界：デジタル技術活用が急増。プライバシー・セキュリティ対応、規制整備が課題。クラウド・AIの進展で市場拡大。

日本：政府のデジタル改革推進、マイナンバー連携、遠隔診療普及により成長。中小医療機関のIT導入支援も進む。。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Philips Healthcare（フィリップス／オランダ） … 約2.9兆円
・Cerner（オラクル傘下／米国） … 約3.8兆円
・Teladoc Health（テラドック／米国） … 約0.17兆円
・Veradigm（旧Allscripts／米国） … 約0.065兆円
・Epic Systems（エピック・システムズ／非上場・米国） … 非公表

【日本】
・ソフトバンクグループ … 約17.2兆円
・日立製作所 … 約15.85兆円
・NEC … 約5.1兆円
・富士通 … 約4.1兆円
・エムスリー … 約1.48兆円

候補となる学部と研究分野

・医学部／医療保健学部 – 医学情報学科／医療情報学専攻
　電子カルテ、遠隔診療、医療データ解析、医療情報セキュリティ、AI診断支援、病院ITインフラ。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
　医療AI、画像診断アルゴリズム、IoTデバイス開発、クラウド・ネットワークセキュリティ、ヘルスケアアプリ開発。

・理工学部 – システム工学科／数理情報学科
　ビッグデータ解析、デジタルヘルスプラットフォーム設計、医療統計解析、データサイエンス。

・薬学部／生命科学部 – バイオインフォマティクス専攻
　医療データとバイオデータの統合解析、ゲノム解析AI活用、個別化医療支援。

・保健学部 – 看護学科／理学療法学科
　患者情報管理システム、遠隔モニタリング、健康管理アプリ活用。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　医学部医学科／工学部電気電子工学科／機械情報工学科
　医療情報学、AI医療、ヘルスケアデータ解析など最先端の学際融合研究を推進。

・京都大学　医学部医学科／情報学研究科情報学専攻
　医療AI、デジタル診療、情報セキュリティ分野に強みを持ち、幅広い応用研究を展開。

・大阪大学　医学部医学科／工学部電子情報工学科／情報科学研究科情報科学専攻
　電子カルテ、遠隔診療、医療用AI開発、産学連携に積極的。

・東北大学　医学部医学科／工学部電気通信工学科／情報科学研究科
　医療AI、画像診断、医療ビッグデータ解析の研究に注力。

・東京科学大学（旧東京医科歯科大学）　医療保健学部医療情報学専攻
　病院経営、医療IT、遠隔医療、データ解析に特化した教育・研究。

・慶應義塾大学　医学部医学科／医学部医療政策学専攻／理工学部情報工学科
　デジタルヘルス、医療アプリ開発、AI診断サポートなど多角的な研究を実施。

・名古屋大学　医学部医学科／工学部情報・通信工学科
　医療用IoT、AI診断支援、次世代医療ITシステム開発に取り組む。

・北海道大学　医学部医学科／情報科学研究院
　ビッグデータ医療、画像診断AI、健康管理アプリの研究を推進。

・千葉大学　医学部医学科／工学部電気電子工学科
　医療データ解析、医用画像処理、クラウド医療システム開発に強み。

・東京理科大学　工学部情報工学科
　ヘルスケアアプリ、医療システム開発、AI診断支援を中心に実践的研究を展開。

9. エネルギー産業（Energy）

概要

発電（火力・原子力・再生可能エネルギー）、送配電、石油・ガス・電力供給、燃料供給、エネルギーインフラを含む基幹産業。

現状と将来の見通し

世界：脱炭素化（カーボンニュートラル）、再エネ普及、電動車両拡大、水素エネルギー、蓄電池技術の開発が急務。地政学リスク（資源国の政治動向）、エネルギーコスト高騰、スマートグリッド（電力の需給最適化）なども重要な課題。

日本：震災以降、原発依存度低下と再エネ・省エネ推進が加速。電力自由化・電気自動車・分散型エネルギー（自家消費・蓄電）が普及する一方、電力安定供給や燃料価格変動、送電網強化が課題。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約230兆円
日本：約13兆円

9-1. 石油・ガス（Oil & Gas）

概要

原油・天然ガスの探査・採掘・精製・販売を行う産業。エネルギーの基盤であり、化学製品原料としても重要。近年は脱炭素圧力と価格変動の影響が大きい。

現状と将来の見通し

世界：化石燃料から再生可能エネルギーへの移行圧力が強まるが、依然として世界エネルギーの中心。資源国の地政学リスクや価格変動、投資減少が課題。CO2排出削減に向けた技術開発（CCS、ブルー水素）も進む。
日本：輸入依存度が高く、安定供給確保が課題。脱炭素社会実現に向け、LNG（液化天然ガス）活用や水素導入、再エネ併用が進む。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Saudi Aramco（サウジアラムコ／サウジアラビア） … 約234兆円
・ExxonMobil（エクソンモービル／米国） … 約66兆円
・Chevron（シェブロン／米国） … 約35兆円
・Shell（シェル／オランダ・英国） … 約27兆円
・TotalEnergies（トタルエナジーズ／フランス） … 約19兆円

【日本】
・ENEOSホールディングス … 約1.9兆円
・出光興産 … 約1.1兆円
・コスモエネルギーホールディングス … 約0.5兆円
・INPEX（国際石油開発帝石／非上場）

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 応用化学科／化学工学科
石油・ガスの精製プロセス、分離技術、触媒反応、化学プラント設計、環境対応型プロセス（脱硫・CO₂回収等）。

・工学部 – 資源工学科／地球資源工学科
石油・ガス資源の探査（地質・物理探査）、掘削技術、貯留層評価、エネルギー地質学、資源開発と環境保全。

・工学部 – 機械工学科
流体力学、熱力学、パイプライン設計、エネルギープラント設備、LNG・水素プラントの設計・管理。

・工学部 – 環境工学科／エネルギー工学科
CO₂削減技術（CCS／CCUS）、クリーン燃料、再生可能エネルギーとの複合システム、脱炭素社会の技術開発。

・工学部 – 電気電子工学科
プラント自動制御、石油・ガス輸送の監視システム、スマートグリッド、LNG基地の電気設備管理。

・理学部 – 地球惑星科学科／地球物理学科
石油・ガスの地質学的探査、地層解析、地球環境変動と資源利用。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部応用化学科／資源開発工学科／化学システム工学科／地球惑星環境学科
　日本有数の石油・ガス資源・精製・環境技術の教育・研究拠点。資源循環やCCSなどの先端研究にも強い。

・京都大学　工学部地球工学科／化学工学科／エネルギー理工学専攻
　エネルギー地質・資源探査、エネルギー変換技術、環境対応型プロセス分野に強み。

・北海道大学　工学部応用化学科／環境社会工学科
　寒冷地エネルギー研究、資源探査、LNG、CCSなど複合研究拠点。

・北海道大学　理学部地球惑星科学科
　地球環境・惑星科学の基礎と応用研究を推進。

・東北大学　工学部応用化学・化学工学科／地球科学科
　石油・ガス精製技術、地下資源開発、地球環境工学を融合した教育。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院応用化学系／環境・社会理工学院環境・社会理工学系
　プロセス設計・制御、エネルギー変換技術、サステナブル資源活用の最先端研究。

・名古屋大学　工学部化学・生物工学科／地球環境科学科
　化学工学、地球資源工学、環境調和型エネルギー利用に強い。

・大阪大学　工学部応用化学科／地球総合工学科
　精製・触媒開発、資源開発、CO₂削減技術の複合研究。

・九州大学　工学部応用化学科／地球環境工学科
　エネルギー資源探査、石油精製、次世代エネルギー（LNG・水素）分野も展開。

・早稲田大学　創造理工学部環境資源工学科／先進理工学部応用化学科
　資源開発、プラント工学、環境対応型プロセス研究などで実績。

・横浜国立大学　理工学部化学・生命系学科／都市科学部環境リスク共生学科
　化学工学・環境対策、LNG・石油ガスプラント管理人材を養成。

9-2. 電力・再生可能エネルギー（Electric Power & Renewables）

概要

火力・原子力・水力・風力・太陽光などの発電、送配電事業。再生可能エネルギーの普及と脱炭素化対応が急務。

現状と将来の見通し

世界：脱炭素政策により再生可能エネルギーの比率が急増。スマートグリッド、蓄電池技術、分散型エネルギーシステムの導入が進展。原子力は賛否両論だが一部地域で再評価されている。

日本：福島事故後の原発停止で火力依存が増加。再エネ導入が加速する一方、送電網や蓄電の課題も。2030年、2050年に向けてゼロカーボン化計画が推進されている。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・NextEra Energy（ネクステラ・エナジー／米国） … 約148.6兆円
・Iberdrola（イベルドローラ／スペイン） … 約15.6兆円
・Duke Energy（デューク・エナジー／米国） … 約12.4兆円
・Enel（エネル／イタリア） … 約11.8兆円
・National Grid（ナショナル・グリッド／英国） … 約9.3兆円

【日本】
・東京電力ホールディングス … 約6.4兆円
・関西電力 … 約1.7兆円
・中部電力 … 約1.3兆円
・東北電力 … 約0.6兆円
・北海道電力 … 約0.3兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 電気電子工学科
　発電（火力・原子力・水力・風力・太陽光）、送配電システム、パワーエレクトロニクス、蓄電池、スマートグリッド、再生可能エネルギー技術。

・工学部 – 機械工学科
　発電機・タービン設計、熱力学、エネルギープラント、再生可能エネルギー装置の設計・運用、環境配慮型システム。

・工学部 – 原子力工学科
　原子力発電、安全工学、放射線管理、次世代原子炉、廃棄物処理技術。

・工学部 – 応用化学科／材料工学科
　高性能電池、太陽電池材料、蓄電デバイス、エネルギー変換材料、耐熱・耐久材料。

・工学部 – 環境工学科
　再生可能エネルギー導入評価、カーボンニュートラル、環境影響評価、脱炭素化技術。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
　電力需給制御、スマートグリッドのITシステム、IoTエネルギーマネジメント、AIによるエネルギー最適化。

・理学部 – 物理学科
　エネルギー物理、エネルギー変換原理、再生可能エネルギーの基礎研究。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部電気電子工学科／原子力国際専攻／機械工学科
　日本の電力・再エネ研究の中心。最先端の発電・蓄電技術、原子力・環境システムも強い。

・京都大学　工学部電気電子工学科／原子核工学専攻／エネルギー科学研究科
　発電・再エネ・原子力・環境対策技術を網羅。多様な分野の最先端研究。

・東北大学　工学部電気情報物理工学科／材料科学高等研究所
　高効率発電、スマートグリッド、電池・蓄電池材料の研究で有名。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院電気電子系／機械系／環境・社会理工学院
　電力工学、蓄電池・再エネ、エネルギーマネジメントの先端研究。

・大阪大学　工学部電気電子情報工学科／機械工学科／環境工学科
　関西電力との連携強い。再エネ・エネルギーシステムの複合研究。

・名古屋大学　工学部電気電子情報工学科／エネルギー理工学専攻
　中部電力との産学連携、次世代発電・蓄電研究が充実。

・北海道大学　工学部応用理工系学科／環境社会工学専攻
　寒冷地エネルギー、再エネ導入・スマートグリッド分野で強み。

・九州大学　工学部電気情報工学科／機械工学科／エネルギー科学部門
　再生可能エネルギー、分散型エネルギーシステム、地域連携が盛ん。

・早稲田大学　創造理工学部環境資源工学科／先進理工学部応用化学科
　再エネ、電池材料、脱炭素化、分散型電力制御の先端研究。

・慶應義塾大学　理工学部電気情報工学科／システムデザイン工学科
　スマートグリッド、再エネビジネス、IoTエネルギーマネジメントに強い。

9-3. エネルギー設備・サービス（Energy Equipment & Services）

概要

発電設備、石油・ガス掘削機器、送配電設備の製造・保守・サービスを提供。エネルギーインフラの技術的支援を担う。

現状と将来の見通し

世界：再生可能エネルギー設備の増加に伴い関連サービスの需要拡大。老朽化設備の更新、省エネ技術の導入が重要。IoTやAI活用でメンテナンス効率化が進む。

日本：原発メンテナンスや送配電網整備に注力。再エネ関連の技術開発が盛ん。人手不足と高齢化が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・General Electric（ゼネラル・エレクトリック／米国） … 約9兆円（全社）※エネルギー事業は一部
・Schlumberger（シュルンベルジェ／米国） … 約5兆円
・Siemens Energy（シーメンス・エナジー／ドイツ） … 約3兆円
・Halliburton（ハリバートン／米国） … 約2兆円
・Baker Hughes（ベイカー・ヒューズ／米国） … 約1.5兆円

【日本】
・三菱重工業 … 約4兆円（全社）※発電機器など含む
・日本電産 … 約5兆円（モーター等電機製品）
・日立製作所 … 約3兆円（全社）※エネルギー関連含む
・コマツ … 約3兆円（建設機械主体、一部エネルギー関連設備あり）
・東芝エネルギーシステムズ（東芝グループ・非上場）

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科
発電設備・タービン・ポンプ・熱エネルギー変換装置、設備の設計・メンテナンス、流体力学、エネルギー変換工学、ロボティクス。

・工学部 – 電気電子工学科
発電・送配電設備、電力システム、モーター、制御技術、再生可能エネルギー発電システム（太陽光・風力）、パワーエレクトロニクス、IoT・センサーネットワーク。

・工学部 – 応用化学科／材料工学科
耐熱材料、絶縁材料、燃料・潤滑油、再生可能エネルギー用新素材、腐食防止・劣化診断技術、蓄電池・水素貯蔵技術。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
IoT・AI活用の設備保守システム、エネルギーインフラ管理、制御システム、スマートグリッド、セキュリティ技術。

・環境・エネルギー学部／学科
再生可能エネルギー技術、エネルギー政策、省エネ技術、エネルギーシステム設計、LCA（ライフサイクルアセスメント）、カーボンニュートラル推進技術。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部機械工学科／電気電子工学科／システム創成学科
　発電・送配電・再生可能エネルギー・インフラの横断的研究。国の中枢エネルギー研究プロジェクトが集積。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院機械系／電気電子系／環境・社会理工学院エネルギーコース
　産業界との共同研究が盛ん。スマートグリッド・再生可能エネルギー・制御技術・AI活用保守まで幅広い。

・京都大学　工学部機械工学科／電気電子工学科／材料工学科
　エネルギー変換機器、送電システム、原子力・再生可能エネルギー分野まで多様な研究。設備保守・老朽化対策研究に強み。

・大阪大学　工学部機械工学科／電気電子情報工学科
　発電機器・エネルギーシステム・次世代電力ネットワーク、材料開発など産業応用にも強い。

・名古屋大学　工学部機械・航空宇宙工学科／電気電子情報工学科
　中部電力などインフラ企業との連携強い。再生可能エネルギー機器・大規模インフラ・AI保守の研究。

・東北大学　工学部機械知能・航空工学科／電気情報物理工学科
　高効率発電システム・送電網・スマートグリッド・材料劣化診断。産官学連携も活発。

・北海道大学　工学部機械知能工学科／電気電子工学科
　極地・寒冷地のインフラ技術、再生可能エネルギー設備の高耐久技術、地域連携型エネルギー研究。

・九州大学　工学部機械工学科／電気情報工学科／エネルギー科学科
　原子力・再生可能エネルギー・水素エネルギー・AIメンテナンス技術、産学官連携による実用化研究。

・早稲田大学　創造理工学部総合機械工学科／先進理工学部応用化学科
　再生可能エネルギー発電・エネルギー機器・制御システム・材料技術をカバー。現場対応型の実践教育。

・芝浦工業大学　工学部機械工学科／電気工学科／システム理工学部環境システム学科
　実学志向で設備保守・制御・IoT応用を重点。多くのエネルギーインフラ企業と産学連携。

・中央大学　理工学部精密機械工学科／電気電子情報通信工学科
　発電設備・省エネ機器・IoT保守、企業出身教授による実践教育が強み。

9-4. 水素・次世代エネルギー（Hydrogen & Next-Gen Energy）

概要

水素製造・貯蔵・供給インフラおよび燃料電池、アンモニア燃料など、脱炭素の未来技術に特化。

現状と将来の見通し

世界：技術開発と実証プロジェクトが増加。コスト削減が課題。欧州・アジアで大規模政策支援。航空・重工業分野での活用拡大が期待される。

日本：官民一体で水素社会構築に取り組み。燃料電池車（FCV）や水素発電の実用化が進む。インフラ整備、国際連携強化が急務。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Air Liquide（エア・リキード／フランス） … 約15.3兆円
・Bloom Energy（ブルーム・エナジー／米国） … 約0.7兆円
・Plug Power（プラグパワー／米国） … 約0.015兆円
・Ballard Power Systems（バラード・パワー・システムズ／カナダ） … 約0.0064兆円
・NEL ASA（ネル／ノルウェー） … 約0.0067兆円

【日本】
・トヨタ自動車（水素自動車含む） … 約33.4兆円
・三菱重工業 … 約3.8兆円
・ENEOSホールディングス（水素事業参入） … 約1.9兆円
・川崎重工業（水素関連事業含む） … 約1.8兆円
・東芝エネルギーシステムズ（グループ内）非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科／システム創成工学科
水素エネルギーシステム、燃料電池、熱機関、流体工学、次世代発電装置、エネルギー変換技術。

・工学部 – 化学工学科／応用化学科
水素製造プロセス（電気分解・メタネーション等）、触媒、アンモニア合成、再生可能エネルギー化学、カーボンリサイクル。

・工学部 – 電気電子工学科
燃料電池制御、発電システム、電力変換、エネルギーマネジメント、次世代送配電技術。

・工学部 – 材料工学科／応用物質科学科
燃料電池材料（水素吸蔵合金、膜材料等）、高効率触媒、耐熱・耐腐食材料。

・工学部 – 環境工学科
再生可能エネルギー、カーボンニュートラル、持続可能社会設計、エネルギー政策。

・工学部 – 航空宇宙工学科／海洋工学科
水素・アンモニアを活用した航空・船舶推進技術、大型インフラ設計。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部　機械工学科／化学システム工学科／電気電子工学科
　日本の水素・次世代エネルギー研究を牽引。燃料電池・水素社会に関する複合的研究拠点。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　環境・社会理工学院　エネルギーコース／工学院　機械系・電気電子系・応用化学系
　水素製造・燃料電池・アンモニア燃料などの先端研究。産学連携も活発。

・京都大学　工学部　機械工学科／材料化学科／エネルギー科学研究科
　水素利用技術・燃料電池・次世代材料研究など多分野で強み。

・大阪大学　工学部　応用自然科学科／機械工学科／応用化学科
　水素エネルギー変換、燃料電池材料、再生可能エネルギーと融合研究。

・名古屋大学　工学部　機械・航空宇宙工学科／化学・生物工学科
　燃料電池車の中心地。水素・アンモニア活用技術の先進研究。

・九州大学　工学部　機械工学科／エネルギー科学科／化学工学科
　水素製造・燃料電池・次世代発電技術に強み。水素タウン実証等も展開。

・北海道大学　工学部　応用化学科／機械知能工学科
　寒冷地のエネルギーシステム、水素インフラ、再生可能エネルギーとの統合研究。

・東北大学　工学部　化学・バイオ工学科／機械知能・航空工学科
　水素貯蔵・供給技術、次世代燃料、航空・重工業向け研究。

・早稲田大学　創造理工学部　総合機械工学科／先進理工学部　応用化学科
　燃料電池自動車や水素社会実証プロジェクト、先端材料開発に強い。

・慶應義塾大学　理工学部　応用化学科／機械工学科
　水素社会・カーボンニュートラル社会の先端教育・産学連携。

10. 不動産業（Real Estate）

概要

住宅・ビル・商業施設・工場などの開発、売買、賃貸、管理、仲介。REIT（不動産投資信託）など金融商品も拡大。

現状と将来の見通し

世界：都市化・人口増により、住宅・オフィス需要は長期的に成長。ESG（環境・社会・ガバナンス）配慮型開発、スマートビル（IoT管理）、リモートワーク普及によるオフィス需要変化が課題。

日本：人口減少と地方の空き家・空室問題、都市部再開発・高機能ビル、インバウンド需要で二極化。脱炭素対応・耐震化、リノベーション、IT活用による管理効率化（PropTech）が進行。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約350兆円
日本：約38兆円

10-1. 住宅・住宅開発（Residential Real Estate Development）

概要

一戸建て、マンション、集合住宅の開発・販売・賃貸を行う分野。都市部・郊外での住宅ニーズに対応し、人口動態や生活様式の変化に影響される。

現状と将来の見通し

世界：都市化の進展と住宅需要増加が持続。一方で土地不足、環境規制の強化、省エネ住宅の需要増加が課題。スマートホーム技術やサステナブル住宅の拡充が加速。

日本：人口減少・高齢化により住宅需要は緩やかに減少傾向。中古住宅流通の活性化、省エネ・耐震リフォーム、空き家問題の解決が焦点。地方では空き家活用・移住促進策も重要。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Poly Developments and Holdings（ポリデベロップメンツ／中国） … 約13.1兆円
・D.R. Horton（ディーアール・ホートン／米国） … 約5.0兆円
・Lennar Corporation（レナー／米国） … 約3.9兆円
・Barratt Developments（バラット／英国） … 約1.1兆円
・Country Garden Holdings（カントリーガーデン／中国） … 約0.2兆円

【日本】
・大和ハウス工業 … 約3.0兆円
・住友不動産 … 約2.6兆円
・積水ハウス … 約2.0兆円
・野村不動産ホールディングス … 約0.8兆円
・東急不動産ホールディングス … 約0.8兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 建築学科／建築都市工学科
住宅設計、都市計画、住環境工学、住宅性能評価、省エネ住宅、耐震構造、再生可能エネルギー住宅、空き家活用。

・工学部 – 土木工学科
宅地造成、都市インフラ設計、持続可能なまちづくり、防災計画、都市再生。

・工学部 – 環境工学科／環境デザイン学科
エコ住宅、環境配慮型開発、地域資源活用、スマートシティ技術、グリーンインフラ。

・経済学部／経営学部／商学部
不動産経済、住宅市場分析、まちづくり政策、不動産ファイナンス、都市経営。

・法学部
都市計画法、不動産法、土地利用規制、権利調整。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部建築学科／都市工学コース
　住宅・都市計画・まちづくり研究の中心。耐震、省エネ住宅のトップクラス。

・京都大学　工学部建築学科／都市社会工学専攻
　住宅開発、都市再生、環境配慮型住宅や空き家対策の研究に強い。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　環境・社会理工学院建築学系／融合理工学専攻
　スマートハウス、AI・IoT活用住宅、省エネ設計、都市住宅研究。

・早稲田大学　創造理工学部建築学科／社会環境工学科
　住宅開発・都市開発・空き家活用・耐震研究など実学志向。

・慶應義塾大学　理工学部システムデザイン工学科
　持続可能な住環境設計、都市システム、住宅とIT融合。

・大阪大学　工学部環境・エネルギー工学科
　省エネ住宅、環境配慮型都市計画、地域活性住宅。

・名古屋大学　工学部社会環境工学科
　都市再開発、集合住宅開発、空き家・耐震リフォーム研究。

・北海道大学　工学部環境社会工学科
　寒冷地住宅、空き家活用、地域住宅開発。

・九州大学　工学部建築学科
　住環境・まちづくり・再生エネルギー住宅、地方の住宅課題研究。

・千葉大学　工学部建築学科
　住宅リフォーム、都市住宅、空き家対策、住宅政策に強み。

10-2. 商業用不動産（Commercial Real Estate）

概要

オフィスビル、商業施設、物流施設などの開発・賃貸・管理を行う分野。テナントの多様化や働き方の変化に影響される。

現状と将来の見通し

世界：リモートワーク普及でオフィス需要は変動。商業施設はEC競合に直面。物流施設需要が急増。スマートビル技術やESG対応が重要に。

日本：オフィス空室率上昇と再開発推進が並行。地方都市の商業施設は苦戦。EC物流施設の開発拡大とビルの脱炭素化が課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Prologis（プロロジス／米国） … 約10.3兆円
・Simon Property Group（サイモン・プロパティ／米国） … 約8.3兆円
・Unibail-Rodamco-Westfield（ユニベール・ロダムコ／フランス） … 約1.7兆円
・Boston Properties（ボストン・プロパティーズ／米国） … 約1.6兆円
・Mitsubishi Estate（三菱地所／日本・グローバル事業含む） … 約3.4兆円

【日本】
・三井不動産 … 約3.8兆円
・三菱地所 … 約3.4兆円
・住友不動産 … 約2.6兆円
・東京建物 … 約0.5兆円
・日本土地建物 … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 建築学科／都市工学科
　オフィス・商業施設・物流施設などの設計、都市計画、再開発、空間デザイン、スマートビル技術、サステナブル建築（環境配慮建築）。

・工学部 – 土木工学科
　都市インフラの設計・維持管理、土地利用計画、再開発プロジェクト、交通・物流ネットワーク計画、災害対策。

・経営学部／商学部／経済学部
　不動産ファイナンス、プロパティマネジメント、不動産投資分析、都市開発の経済分析、サプライチェーン・物流経営、REIT・資産運用。

・法学部
　不動産法、都市計画法、環境法、契約法など商業不動産に関する法律分野。

・情報学部／理工学部情報工学科
　スマートビルのIoT活用、建物管理システム、AIによるテナント分析・最適化、ESG（環境・社会・ガバナンス）データ活用。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部建築学科／都市工学科／社会基盤学科
　大規模再開発、都市計画、商業用不動産の設計・管理、スマートシティ研究。

・早稲田大学　創造理工学部建築学科／社会環境工学科
　都市型開発・再開発、オフィス・商業施設設計、都市インフラ管理。

・慶應義塾大学　理工学部システムデザイン工学科／管理工学科
　都市計画、不動産ファイナンス、プロジェクトマネジメント、スマートビル技術。

・明治大学　理工学部建築学科
　都市再開発、環境配慮型不動産、ビルマネジメントとデータ解析。

・名古屋大学　工学部都市環境工学科／建築学科
　都市インフラ整備、物流施設設計、都市型開発。

・京都大学　工学部建築学科／都市社会工学科
　都市デザイン、都市再生、ESG不動産、サステナビリティ。

・大阪大学　工学部地域環境工学科／建築工学科
　都市・地域開発、施設管理、土木と建築の融合分野。

・神戸大学　経済学部／経営学部／工学部建築学科
　不動産経済、都市経営、オフィス・商業施設研究、REIT分析。

・北海道大学　工学部環境社会工学科／建築都市空間デザイン学科
　都市インフラ、環境配慮建築、商業用不動産の管理。

10-3. 不動産投資信託（REIT）

概要

不動産を投資対象とした上場投資信託。投資家から資金を集め、商業施設や住宅などの不動産運用を行う。

現状と将来の見通し

世界：低金利環境で安定収益源として人気。ESG配慮型REITの増加、物流・データセンターREITの伸長が顕著。

日本：市場規模拡大中。新型コロナ禍でオフィス・商業REITに影響も回復傾向。物流・住宅REITの成長が期待される。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Welltower Inc.（ウェルトワー／米国） … 約14.1兆円
・Prologis（プロロジス／米国） … 約14.3兆円
・American Tower Corporation（アメリカン・タワー・コーポレーション／米国） … 約14.0兆円
・Equinix（エクイニクス／米国） … 約12.4兆円
・Digital Realty Trust（デジタル・リアルティ・トラスト／米国） … 約8.1兆円

【日本】
・日本ビルファンド投資法人 … 約3.1兆円
・ジャパンリアルエステイト投資法人 … 約2.2兆円
・日本リート投資法人 … 約1.9兆円
・野村不動産マスターファンド投資法人 … 約1.8兆円
・東京リート投資法人 … 約1.7兆円

候補となる学部と研究分野

・経済学部／商学部／経営学部
REIT市場の仕組み、金融商品論、不動産ファイナンス、証券投資論、アセットマネジメント、不動産経済、不動産マーケティング。

・法学部
不動産関連法（借地借家法、区分所有法、ファンド法制）、金融商品取引法、信託法、ESG・コンプライアンス。

・工学部 – 建築学科／都市工学科
商業施設・住宅・オフィスの設計、都市再開発、不動産開発計画、不動産鑑定、都市政策・インフラ計画。

・理学部／情報学部（データサイエンス系）
不動産ビッグデータ解析、不動産AI評価モデル、都市空間データ分析、スマートシティ・デジタルREIT。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　経済学部／法学部／工学部建築学科／都市工学科
　日本トップの不動産経済・都市政策・法学研究。不動産ファイナンスや都市再生、ビッグデータ研究も盛ん。

・早稲田大学　商学部／社会科学部／理工学部建築学科／創造理工学部環境資源工学科
　REIT市場・金融工学・建築設計の研究、実務家教員も多い。

・慶應義塾大学　商学部／法学部／理工学部システムデザイン工学科
　不動産金融・ファンド、都市開発や建築、不動産DX研究も進む。

・一橋大学　商学部／経済学部／法学部
　金融・証券・不動産ファイナンスの高度な専門教育。不動産業界との連携強い。

・明治大学　商学部／政治経済学部／理工学部建築学科
　実践的な不動産・ファンド・都市開発研究。宅建士など資格教育にも強み。

・京都大学　経済学部／法学部／工学部建築学科
　不動産市場・資産運用・都市政策の先端研究。不動産法の研究実績も豊富。

・大阪大学　経済学部／工学部環境・エネルギー工学科／建築工学科
　都市インフラ・建築・REIT投資、サステナブル都市開発。

・神戸大学　経済学部／経営学部／法学部／工学部建築学科
　不動産金融・都市政策・経営学・法学を融合。不動産投資の専門科目も充実。

・日本大学　経済学部／法学部／生産工学部建築工学科
　REIT・ファンド・不動産ビジネスに直結するカリキュラム。

・立命館大学　経営学部／法学部／理工学部建築都市デザイン学科
　不動産投資・開発、都市政策、ESG不動産・データサイエンス。

11. 輸送・物流（Transportation/Logistics）

概要

陸運（鉄道・トラック）、海運、航空、倉庫、宅配、サプライチェーン全体を支える産業。近年はEC物流や国際輸送の重要性が増大。

現状と将来の見通し

世界：EC普及による小口多頻度配送増加、人手不足、燃料高騰、サプライチェーン分断（地政学リスク）、グリーン物流（低炭素化）、自動運転・ドローン・IoT（貨物追跡・最適化）など技術革新が進む。

日本：物流2024年問題（労働時間規制）、人手不足、長距離輸送の効率化、再配達削減、モーダルシフト（鉄道・船舶活用）や自動運転・AI物流管理が鍵。カーボンニュートラル推進も加速。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約270兆円
日本：約22兆円

11-1. 陸運（Rail & Truck Transportation）

概要

鉄道貨物・旅客輸送、トラックによる陸上物流サービスを担う産業。都市間物流や宅配サービスも含む。

現状と将来の見通し

世界：労働力不足と環境規制強化が課題。脱炭素化に向けた電動化・燃料電池車の導入、運行効率化のためAI・IoT活用、自動運転技術の実用化が進展中。パンデミック後の物流需要変動に対応しサプライチェーンの強靱化も重要。

日本：労働時間規制強化に伴う物流人手不足が深刻。モーダルシフト推進（鉄道活用）、EVトラック導入、AI物流管理システム、自動運転技術開発が重点。EC物流の増加による小口配送の効率化も課題。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Deutsche Post DHL Group（ドイツポストDHL／ドイツ） … 約7.4兆円
・Union Pacific（ユニオンパシフィック／米国） … 約1.9兆円
・Canadian National Railway（カナディアン・ナショナル／カナダ） … 約1.0兆円
・CSX Corporation（CSX／米国） … 約0.9兆円
・Norfolk Southern Corporation（ノーフォーク・サザン／米国） … 約0.8兆円

【日本】
・JR東日本 … 約6.0兆円
・日本郵船 … 約3.2兆円
・日本通運 … 約1.2兆円
・ヤマトホールディングス … 約0.6兆円
・西濃運輸（非上場）

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科
鉄道・トラックの車両設計、機械構造、エンジン・モーター、燃料電池車、物流機器（コンベヤ・搬送ロボット）、自動運転制御。

・工学部 – 電気電子工学科
車両用モーター・パワーエレクトロニクス、鉄道システム電化、センシング技術、通信インフラ、バッテリー技術、AI・IoT連携。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
物流AI、ルート最適化アルゴリズム、ビッグデータ解析、自動運転ソフトウェア、IoT物流管理、画像認識（自動仕分け・監視）。

・工学部 – 土木工学科／社会基盤工学科
鉄道インフラ、道路設計、都市交通システム、物流拠点設計、交通計画・最適化、サプライチェーンネットワーク。

・工学部 – 航空宇宙工学科
モビリティの新分野、次世代輸送システム設計。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部機械工学科／電気電子情報工学科／土木工学科
　鉄道工学・交通インフラ・次世代物流・AI制御の最先端研究拠点。

・名古屋大学　工学部機械・航空宇宙工学科／電気電子情報工学科
　トラック・自動運転・物流システム、AI物流研究、産学連携が充実。

・京都大学　工学部機械工学科／電気工学科／土木工学科
　交通・物流・都市インフラの複合研究。自動運転・AI管理の先進事例多数。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院機械系／電気電子系／情報系
　AI物流、IoTシステム、鉄道車両制御の研究実績。

・大阪大学　工学部機械工学科／電気電子工学科／環境工学科
　脱炭素物流、EVトラック開発、物流効率化研究など。

・早稲田大学　創造理工学部総合機械工学科／先進理工学部応用化学科
　自動運転トラック、スマート物流技術、IoT活用研究。

・慶應義塾大学　理工学部機械工学科／電気工学科
　情報・制御・自動運転物流、次世代輸送システム研究。

・北海道大学　工学部機械工学科／土木工学科
　寒冷地輸送、スマート物流、都市間輸送研究。

・九州大学　工学部機械工学科／電気情報工学科／大学院地球社会統合科学府
　鉄道・トラック輸送、地域物流政策、AI管理システム。

・千葉大学　工学部総合工学科（機械・電気電子・情報分野）
　物流自動化、トラックEV化、IoT物流管理を体系的に学べる。

11-2. 海運（Maritime Transportation）

概要

国際・国内の海上貨物輸送を担う産業。コンテナ船、タンカー、バルク貨物船など多様な船舶を運用。

現状と将来の見通し

世界：世界貿易量の増減に強く影響される。燃料規制（IMO2020硫黄規制）、脱炭素化対応（LNG燃料・アンモニア推進）、船舶の自動化やデジタル化が進展。地政学リスクによる供給網不安定化も懸念。
日本：国内外の海運企業は世界的競争激化。環境規制への対応や船隊の大型化・省エネ化、デジタル化による運航効率向上が課題。海上物流の安全確保も重要。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・COSCO SHIPPING Holdings（中遠海運／中国） … 約3.3兆円
・Hapag-Lloyd（ハパック・ロイド／ドイツ） … 約3.2兆円
・A.P. Moller-Maersk（APモラー・マースク／デンマーク） … 約3.1兆円
・Mediterranean Shipping Company（MSC／スイス・非上場）
・Ocean Network Express（ONE／日本・非上場）

【日本】
・日本郵船 … 約1.2兆円
・商船三井 … 約1.1兆円
・川崎汽船 … 約0.6兆円

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 船舶海洋工学科／海洋システム工学科
　船舶設計・建造、推進システム、海洋構造物、船体の流体力学、燃料・エンジン、脱炭素燃料技術、自動運航システム。

・工学部 – 機械工学科
　船舶のエンジン・推進機構、流体力学、構造解析、省エネルギー技術、メンテナンス工学。

・工学部 – 電気電子工学科
　船舶の自動化・制御、航行センサー、電動推進、通信システム、海上IoT、AI活用技術。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
　船舶運航の最適化システム、ロジスティクス管理、航路自動化アルゴリズム、サイバーセキュリティ。

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
　船体用新素材（耐食性・軽量化）、塗装・防汚技術、LNG・アンモニア燃料材料。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部システム創成学科／機械系
　海洋構造物や船舶設計、環境規制に対応した先端研究。

・大阪大学　工学部地球総合工学科／機械系
　自動運航、海洋資源開発、構造解析など幅広い研究。

・九州大学　工学部機械工学科
　省エネ船設計、LNG燃料技術、海上安全システム。

・東京海洋大学　海洋工学部海洋電子機械工学科／海洋資源環境学科
　海運技術、船舶設計、航行安全、港湾物流に特化。

・神戸大学　海洋政策科学部海洋政策科学科他
　国際物流、船舶運航管理、海事ビジネス。

・北海道大学　工学部機械情報系コース
　船体素材開発、極地航路、省エネ推進技術。

・東北大学　工学部機械系／航空宇宙工学専攻
　流体力学、構造解析、省エネ推進の先端研究。

・名古屋大学　工学部機械工学科／航空宇宙工学科
　大型構造物設計、海洋構造物、物流システム。

・慶應義塾大学　理工学部機械工学科／電気電子工学科
　自動運航、ロボティクス、AI物流、IoT船舶管理。

・早稲田大学　創造理工学部機械科学科／航空学科
　省エネルギー船設計、海上輸送の最適化、材料開発。

11-3. 航空運輸（Air Transportation）

概要

国内・国際の旅客輸送および貨物輸送を担う産業。航空会社、空港運営などを含む。

現状と将来の見通し

世界：パンデミックからの回復過程。環境規制強化に伴う燃料効率向上と代替燃料開発が課題。無人機技術やデジタル化による運航効率化も進む。航空貨物はEC成長で需要増加。

日本：国際線回復に遅れも、国内線は安定。LCC（格安航空会社）の台頭や空港再編が進む。CO2削減に向けた持続可能航空燃料（SAF）導入が検討中。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Delta Air Lines（デルタ航空／米国） … 約4.6兆円
・United Airlines Holdings（ユナイテッド航空／米国） … 約3.8兆円
・Lufthansa Group（ルフトハンザ／ドイツ） … 約1.3兆円
・American Airlines Group（アメリカン航空／米国） … 約1.1兆円
・Air France-KLM（エールフランスKLM／フランス・オランダ） … 約0.4兆円

【日本】
・ANAホールディングス … 約1.35兆円
・日本航空（JAL） … 約1.31兆円
・スカイマーク（非上場）
・ピーチ・アビエーション（非上場）
・ジェットスター・ジャパン（非上場）

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 航空宇宙工学科
航空機設計、飛行力学、航空機構造、推進システム、空力工学、航空材料、無人機・ドローン技術、航空エンジン、燃料・環境技術、航空システム工学。

・工学部 – 機械工学科
流体力学、熱力学、構造力学、機械設計、エンジン技術、燃料効率化、航空機部品製造、カーボンニュートラル技術。

・工学部 – 電気電子工学科
航空機搭載電子機器、制御工学、通信システム、レーダー・ナビゲーション、電動化推進、空港設備。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
航空管制システム、AIによる運航最適化、航空ビッグデータ解析、航空安全、航空IoT、無人航空機の自律制御。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部航空宇宙工学科／機械工学科
　航空宇宙システムや推進の2コースを設置。航空機・宇宙機の先端研究、燃料効率化、航空政策研究も充実。

・名古屋大学　工学部航空宇宙工学科／機械・航空宇宙工学科
　航空機・自動車産業の集積地。JAXA、三菱重工と産学連携が強い。

・東北大学　工学部機械知能・航空工学科
　機械システムやファインメカニクス、航空宇宙分野の8コースを設置。流体力学・航空構造・空力設計、航空燃料・材料研究で国内有数。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　環境・社会理工学院融合理工学系／工学院機械系
　2024年10月に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し設立。航空宇宙、環境エネルギー、無人機、AI航空制御など横断的に学べる。

・大阪大学　工学部航空宇宙工学科／機械工学科
　航空材料・推進システム・次世代燃料、空港技術の研究に強み。

・九州大学　工学部航空宇宙工学科／機械航空工学科
　航空機設計、流体・構造解析、無人機、空港環境研究にも強み。

・北海道大学　工学部機械知能工学科／航空宇宙工学研究ユニット
　寒冷地航空技術、空力・材料、航空ビジネス分野も連携。

・早稲田大学　創造理工学部総合機械工学科
　航空機・部品設計、空力・エネルギー、航空業界との実践連携が盛ん。

・慶應義塾大学　理工学部機械工学科／管理工学科
　空力制御、航空システム工学、AI運航管理、航空ビジネスにも対応。

・中央大学　理工学部航空宇宙工学科
　航空・宇宙機器設計、航空輸送、環境技術まで広くカバー。

12. 公共・行政（Public Administration / Defense）

概要

中央・地方政府、官公庁、各種行政機関、国防（自衛隊・軍・治安機関）など、法令執行、社会インフラの整備、治安維持、防災、社会保障・福祉サービスの提供を担う部門。公共サービス（教育・警察・消防）も含む。

現状と将来の見通し

世界：多様化・高度化する社会課題（安全保障、災害・パンデミック対応、AI・サイバーリスク、格差是正など）に対応し、デジタル行政（電子政府・オンライン手続き）、スマートシティ、防災・減災技術、AI活用による効率化が拡大。国防費増加（地政学リスク）、気候変動・移民政策など課題も増大。

日本：少子高齢化・財政赤字・人手不足が課題。自治体のデジタル化（マイナンバー、AI窓口）、行政手続きのオンライン化、災害対策強化、公共インフラ老朽化対応が推進中。防衛分野では、サイバー防衛・先端技術導入（無人機・AI）や日米協力体制強化が重要なテーマ。

市場規模（付加価値ベース、2022年）

世界：約370兆円
日本：約49兆円

12-1. 中央政府（Central Government）

概要

国の行政サービス全般を担い、法律の制定・執行、外交、防衛、財政管理、社会保障などを実施する国家の中枢機関。

現状と将来の見通し

財政赤字や高齢化に伴う社会保障費の増加が大きな課題。行政のデジタル化（電子政府）、AIやブロックチェーンによる効率化、サイバーセキュリティ対策強化が進展。パンデミック対応や国際連携の重要性も増している。

代表的な省庁・機関

・総務省（行政管理、地方自治支援）
・財務省（国家財政・税制管理）
・外務省（外交政策）
・防衛省（国防、自衛隊運営）
・厚生労働省（社会保障、医療福祉政策）

候補となる学部と研究分野

・法学部／政治学部
　行政法、憲法、政策学、行政組織論、地方自治論、公共政策、外交政策、安全保障政策、国際法、財政学、社会保障政策、政策評価・分析、公共経営。

・経済学部／経営学部／商学部
　財政学、公共経済学、行政経済学、社会保障経済、政府会計、税制、マクロ経済政策、国際経済、公共マネジメント、政府の財政運営、国際開発論。

・国際関係学部／国際教養学部
　国際関係論、外交政策、安全保障、国際協力、グローバルガバナンス、開発援助、国際組織論。

・情報学部／情報理工学部
　行政情報システム、デジタルガバメント、サイバーセキュリティ、AI・ブロックチェーン活用、行政データ分析、公共ICT政策。

・社会学部／人間科学部
　社会保障制度、社会政策、人口動態、高齢化社会研究、福祉政策、社会調査、社会統計。

・公共政策学部／政策科学部／総合政策学部
　行政学、公共政策分析、リーダーシップ論、行政経営、公共マネジメント、エビデンスに基づく政策形成（EBPM）。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　法学部／公共政策大学院／経済学部／工学部システム創成学科
　日本の行政官僚多数輩出。政策形成、法令、財政、国際関係、行政情報化など多分野で日本最高レベルの教育・研究。

・京都大学　法学部／公共政策教育部／経済学部
　行政学・公共政策・財政・国際関係を体系的に学べる。官僚・政策立案者多数輩出。

・一橋大学　法学部／経済学部／社会学部
　財政・経済・政策科学に強み。中央省庁、金融・公共系就職率が高い。

・早稲田大学　政治経済学部／法学部／国際教養学部／公共経営大学院
　公共政策、行政、国際関係、社会保障政策など幅広く学べる。官公庁や国際機関への進路実績多数。

・慶應義塾大学　法学部／総合政策学部／経済学部
　政策立案や国際政策、行政イノベーションに強み。卒業生の官庁進路も多い。

・大阪大学　法学部／人間科学部／経済学部
　行政法、政策評価、社会福祉、公共マネジメント、国際協力など多様な研究分野。

・北海道大学　法学部／公共政策学教育部
　行政学・地方自治論、社会政策、公共政策分析に強い。

・神戸大学　法学部／経済学部／国際協力研究科
　行政、財政、国際協力・外交政策などの研究に実績。

・筑波大学　社会・国際学群国際総合学類／人文・文化学群
　国際行政、外交、政策科学、社会システム科学を広く学べる。

・国際基督教大学（ICU）教養学部アーツ・サイエンス学科
　国際関係、政策科学、社会科学領域の総合教育。国際機関・外務省への就職多数。

12-2. 地方自治体（Local Government）

概要

都道府県や市町村を中心に地域行政を担い、住民サービス、防災、環境整備、地域経済振興を推進。

現状と将来の見通し

人口減少と高齢化による財政難が深刻。自治体DXやスマートシティ化、地域密着型サービスの高度化、防災強化が課題。ICT活用による住民利便性向上も進展中。

代表的な自治体

・東京都庁
・大阪市役所
・横浜市役所
・名古屋市役所
・福岡市役所

候補となる学部と研究分野

・法学部 – 公共政策学科／行政学科
行政制度、自治体運営、地方分権、公共政策、行政改革、住民参加、地方財政。

・経済学部／経営学部 – 地域経済学／公共経営
地域経済分析、自治体財政、地域活性化、地方創生、産業政策、公共サービスの経営。

・工学部 – 都市工学科／土木工学科
都市計画、防災、環境整備、交通インフラ、スマートシティ、ICT活用による行政サービス。

・情報学部／理工学部 – 情報科学科／社会情報学科
自治体DX、行政システム、地域IoT、防災ICT、データサイエンスを活用した行政。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　法学部／工学部／経済学部
日本最高峰の公共政策・都市計画・地域経済研究拠点。総合的な行政・都市問題の分析力を養成。

・早稲田大学　政治経済学部／法学部
公共経営・地域政策に強く、多様な行政分野の人材輩出。自治体や官庁との連携も活発。

・慶應義塾大学　総合政策学部／法学部政治学科
地方自治・公共政策の実証研究とICT融合に特色。スマートシティや行政DX研究にも対応。

・大阪大学　人間科学部／工学部
地域福祉、都市防災、まちづくり、ICT地域活用に強み。自治体との共同研究も豊富。

・北海道大学　法学部／工学部土木工学科
地域創生、自治体政策、防災工学、寒冷地の都市政策に特化。道内自治体との連携研究多数。

・名古屋大学　法学部／工学部
中部地方自治体と密接な連携。都市インフラ、自治体DX、地域イノベーション研究。

・東北大学　経済学部／工学部
東北地方自治体・防災・復興政策に強み。地域経済や災害対応も重視。

・九州大学　法学部／工学部
地方分権、都市計画、公共インフラ、防災・ICT連携など多角的研究。

・千葉大学　法政経学部／工学部
都市行政、自治体経営、環境政策、スマートシティに焦点を当てた教育。

・明治大学　政治経済学部／情報コミュニケーション学部
自治体運営、行政情報化、住民参加型政策、ICT防災に関する教育と実践。

12-3. 国防（Defense）

概要

国の安全保障を担い、防衛装備品開発、軍事作戦、情報戦、サイバー防衛を実施。

現状と将来の見通し

地政学的緊張の高まりにより防衛費増加が世界的に進行。無人兵器、AI戦闘システム、サイバー防衛の高度化が課題。日本も防衛力強化・日米同盟深化を推進。

代表的な企業（金額は企業の時価総額）

【世界】
・Raytheon Technologies（レイセオン・テクノロジーズ／米国） … 約25.9兆円
・Lockheed Martin（ロッキード・マーチン／米国） … 約15.8兆円
・BAE Systems（BAEシステムズ／英国） … 約11.4兆円
・Northrop Grumman（ノースロップ・グラマン／米国） … 約9.8兆円
・Thales Group（タレス／フランス） … 約8.8兆円

【日本】
・三菱重工業 … 約7.97兆円
・IHI（旧石川島播磨重工業） … 約2.29兆円
・川崎重工業 … 約1.75兆円
・神戸製鋼所 … 約1.4兆円（推定）
・防衛装備庁（政府機関） … 非上場

候補となる学部と研究分野

・工学部 – 機械工学科／航空宇宙工学科
　防衛装備品（戦車、艦艇、航空機、無人機など）の設計・開発、流体力学、構造力学、制御工学、ロボティクス。

・工学部 – 電気電子工学科／電子情報工学科
　レーダー、通信機器、ミサイル制御、センサー、電子戦（ECM/ECCM）、AI搭載システム、パワーエレクトロニクス。

・工学部 – 情報工学科／情報科学科
　サイバー防衛、AI・ビッグデータ解析、暗号技術、組込みソフトウェア、防衛ネットワーク、情報セキュリティ。

・工学部 – 材料工学科／応用化学科
　装甲材料、新素材（複合材、耐熱合金）、爆薬・推進剤、特殊塗料、電池技術。

・理学部 – 物理学科／数理科学科
　兵器の運動・弾道解析、レーダー・音響理論、AIアルゴリズムの理論開発。

具体的な大学の候補と学部

・東京大学　工学部機械工学科／航空宇宙工学科／電子情報工学科
　戦闘機・ミサイル開発からAI防衛システム、サイバー防衛まで最先端の防衛技術研究に対応。防衛装備庁や自衛隊との連携もあり。

・防衛大学校　理工学専攻（機械・電気・情報・応用物理など）
　自衛隊幹部候補の養成だけでなく、防衛工学・安全保障研究に特化。卒業後は防衛装備庁・メーカーなどへ進む道も。

・東北大学　工学部機械知能・航空工学科／電気情報物理工学科
　無人航空機・先進兵器・サイバー防衛技術など幅広くカバー。産官学連携が活発。

・名古屋大学　工学部機械・航空宇宙工学科／電子情報システム工学科
　航空機・衛星開発、センサー・AI制御研究が強い。三菱重工・川崎重工との共同研究も多い。

・東京科学大学（旧東京工業大学）　工学院機械系／情報通信系
　ロボット兵器、AI、制御、無人機、材料開発分野で先端的な研究が進行。

・京都大学　工学部航空宇宙工学科／情報学研究科
　無人兵器、サイバーセキュリティ、AI・情報防衛研究が盛ん。

・大阪大学　工学部機械工学科／電気電子情報工学科
　ミサイル・ロボティクス・サイバー防衛分野で産学連携が盛ん。

・早稲田大学　基幹理工学部機械科学・航空学科／情報理工学科
　防衛装備品の制御・AI研究や材料工学も幅広く学べる。

・慶應義塾大学　理工学部電気情報工学科／総合政策学部
　情報・AI・セキュリティ分野で多様な先端技術研究。安全保障政策も学際的に扱う。

・九州大学　工学部機械航空工学科／電気情報工学科
　航空・ロボット・セキュリティ技術、材料開発など防衛分野全般をカバー。

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2025年6月10日