将来の仕事はここから選べ！（社会課題解決編）

2025年6月9日/in雑記

　最近は塾生から進路相談だけでなく「将来なにをしたらいいですか」的な、将来の職業に関する相談を受けることが多々あります。実際問題、高専を始めとした実業系高校に進学した場合でも、大学進学で特定の学部を選んだ場合でも、学生時代の進路選択がその後の将来の職業選択をかなりの程度決定します。そのため、学生時代には勉強することもそうですが、将来的に自分が就きたい職業についての情報収集に多くの時間をかけるべきだと思います。

　今回のブログは、「地球規模で人類が抱えている社会課題」を紹介し、その解決に取り組む大学や研究、企業や団体を紹介します。進路選択や将来の職業選びの参考になればと思い作成しました。さらに深掘りしてほしい塾生はとくみつ先生に相談してください。最近では「水産に興味が出てきました」「情報学部ってこれからどうですか」などの相談をくれた塾生がいます。

【注意点】

　社会課題解決に重点を置いているため、特に企業においては必ずしも本業ではなく、CSR（企業の社会的責任）活動、行政や国際機関・自治体・企業と連携したプロジェクトとして取り上げている場合があることを注意してください。
（例：地球温暖化・気候変動の抑制の課題において、情報機器の会社であるリコーを取り上げているなど）

　産業分野別の研究分野や就職先などは、別のブログで取り上げます。

1. 地球温暖化・気候変動の抑制

　地球温暖化と気候変動は、現代社会が直面する最重要課題の一つです。化石燃料の大量消費による温室効果ガス（CO₂やメタンなど）の増加により、地球の平均気温は産業革命前より約1.2℃上昇しています。これにより、極端な気象現象（豪雨・熱波・干ばつ・大型台風等）の頻発、海面上昇、農業・生態系・水資源への深刻な影響が拡大しています。

　持続可能な発展のためには、カーボンニュートラル（CO₂排出量を実質ゼロにすること）の早期実現、再生可能エネルギーの主力化、省エネルギー技術の普及、グリーンインフラ（環境配慮型の都市・社会基盤）の構築など、総合的なアプローチが不可欠です。近年では、人工衛星による気候監視、AIを用いた気候シミュレーション、国際間の温室効果ガス取引や適応策の政策化が進み、学術と産業が一体となったグローバルな対応が求められています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・理学部（地球システム工学・気象学・環境政策）
東京大学は地球環境学、気象学、環境政策の分野で国内外から高い評価を受けており、先進的な気候モデル開発や衛星観測データを活用した気候変動解析、温室効果ガス削減政策の立案など、国際共同研究も多数実施。気象庁やJAXAなどとも連携し、最先端の気候変動研究や実社会への政策提言を積極的に行っています。

2- 京都大学地球環境学堂・工学部（地球環境工学）
京都大学は持続可能な地球環境の構築を目指し、地球科学・気候変動・資源循環など幅広いテーマで教育・研究を展開。気候工学（ジオエンジニアリング）、アジア太平洋地域の気候リスク評価、政策立案支援などで先進的な取り組みを推進。国際気候政策会議への学術貢献も豊富です。

3- 北海道大学地球環境科学研究院・工学部（環境エネルギー工学）
寒冷地気候の特性を活かした気象・気候システム研究、グリーン水素技術、再生可能エネルギーの地域実装に強み。アジア寒冷圏での環境課題解決に関する国際研究も先導。

4- 東北大学環境科学研究科・工学部（エコロジー工学）
災害科学と連携した気候変動リスク評価、都市インフラの強靭化、再エネ・スマートグリッドの実証研究が特色。地域連携による脱炭素都市モデル構築でも国内をリード。

5- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院
エネルギー・資源の持続可能利用と都市インフラ最適化を融合した教育。再エネ・蓄電・省エネ分野で世界的な研究実績。カーボンリサイクルや大規模都市モデル構築に強み。

6- 名古屋大学環境学研究科・工学部
大気・水循環の数値解析、都市気候・農業気象、気象災害の予測・防災といった総合的な研究体制。中部圏の行政・産業との共同研究も充実。

7- 大阪大学工学部・基礎工学部（環境工学）
再生可能エネルギー技術の開発、都市の熱環境解析、省エネ社会実現に向けた工学的アプローチ。企業との連携プロジェクトも多彩。

8- 九州大学総合理工学府・工学部
環境エネルギー、気候適応インフラ、温暖化対策政策などの複合領域。アジアの気候変動適応策・再エネ導入の研究が進展。

9- 筑波大学生命環境学群・理工学群
環境動態解析、気象・地球科学分野のAI・IoT活用、温室効果ガス観測拠点の運営など、多様な研究活動。国際交流も盛ん。

10- 千葉大学理学部・園芸学部
都市緑化、気候変動に適応した農業、都市生態系のモニタリング、環境政策への応用研究。都市圏での脱炭素社会構築を実践。

11- 横浜国立大学都市科学部
都市環境設計、グリーンインフラ、気候リスク評価。再エネ導入や都市レジリエンス強化の分野で実践的教育。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社リコー（日本）
時価総額：約8,000億円（2025年6月）
情報機器・環境ソリューション企業。カーボンニュートラル経営、再エネ・省エネ技術、製品ライフサイクルでのCO₂削減、循環型ビジネスモデルの確立で世界をリード。グローバルに環境経営を展開。

2- 株式会社日立製作所（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
エネルギー、IT、インフラ大手。スマートグリッド開発、再生可能エネルギー導入、大規模インフラの脱炭素化に強み。社会インフラ全般で持続可能な社会を牽引。

3- 株式会社三菱重工業（日本）
時価総額：約1.8兆円（2025年6月）
発電設備、環境装置、次世代エネルギー分野の大手。CO₂回収技術やグリーン水素製造等、カーボンニュートラルの最先端技術を展開。

4- ENEOSホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約2.6兆円（2025年6月）
石油・ガス大手から再生可能エネルギーへの転換を進め、太陽光発電・バイオ燃料等の導入、エネルギー循環社会の実現を推進。

5- 株式会社パナソニックホールディングス（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
家庭・産業向け省エネ機器、再生可能エネルギーの家庭導入、電池技術の先端開発で知られる。持続可能社会への多様な製品を展開。

6- 東芝エネルギーシステムズ株式会社（日本）
時価総額：非上場
再生可能エネルギー、電力流通、スマートグリッドの技術開発。電力系統の安定化やデジタル電力管理の実装に注力。

7- 国立研究開発法人産業技術総合研究所（AIST）（日本）
日本最大級の公的研究機関。温室効果ガス観測・低炭素技術開発・社会実装に関する国際共同プロジェクトが多数。

海外

1- NextEra Energy　ネクステラ・エナジー（米国）
時価総額：約21兆円（2025年6月）
アメリカ最大の再生可能エネルギー企業。風力・太陽光発電の導入、電力グリッドのスマート化で世界最先端の技術と規模を誇る。

2- Siemens AG　ジーメンス・アーゲー（ドイツ）
時価総額：約17兆円（2025年6月）
エネルギー、インフラ、スマートシティ分野のグローバルリーダー。電力最適化、産業用IoT、再エネ制御技術などで国際的な研究・事業を展開。

3- ENGIE　エンジー（フランス）
時価総額：約6兆円（2025年6月）
欧州最大級のエネルギー・インフラ企業。再生可能エネルギー、脱炭素都市の開発、国際的なグリーン事業展開で高い評価を持つ。

2. エネルギーの持続可能な転換

　近代社会を支えるエネルギーの安定供給は、文明の基盤である一方で、従来の石炭・石油・天然ガスなど化石燃料への依存が、地球温暖化や大気汚染、資源枯渇といった深刻な問題を引き起こしてきました。持続可能な社会を実現するためには、再生可能エネルギー（太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスなど）への転換を加速し、エネルギーミックスの最適化、エネルギーの地産地消、スマートグリッド（ITで最適化された次世代電力網）などの高度な技術の導入が不可欠です。また、水素エネルギー・蓄電池技術・省エネルギー設備・カーボンリサイクルなど新しいエネルギーインフラの確立も急務となっています。再エネの不安定さを補うため、分散型発電や需給調整AI、グリッド運用のデジタル化も進展しており、今後はイノベーションと制度改革の両輪で“脱炭素”社会の実現を目指すことが人類の喫緊の課題です。

　産業界・行政・市民が連携し、地域特性を活かした最適なエネルギーシステムの設計や、国際的な技術・人材交流がより一層重要になっています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・理学部（電気電子工学、システム創成、地球環境工学）
再生可能エネルギーや電力システム、カーボンニュートラル技術、蓄電・水素エネルギー分野で世界トップレベルの研究実績。JAXAや産総研、電力会社等と連携し、国家レベルのエネルギー政策提言も数多く実施。エネルギー資源学や電力ネットワーク解析にも強み。

2- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院、工学院
エネルギー材料、スマートグリッド、分散電源、水素社会実現のための最先端研究。ゼロエミッション都市設計・エネルギー需給モデルの構築、産官学連携の拠点。

3- 京都大学工学部・エネルギー科学研究科
太陽光・風力・水素利用、エネルギー変換工学、スマートシティでの電力最適化。再生可能エネルギーの実証実験や国際共同研究を多数展開。東南アジアとのエネルギー交流拠点。

4- 東北大学工学部・環境科学研究科
震災復興エネルギー、再生可能エネルギー集積、スマートグリッド、分散型エネルギーシステムの研究。再エネ拠点地域での社会実装が特色。

5- 名古屋大学工学部・エネルギー理工学専攻
水素社会実現、燃料電池、自動車と連携した次世代エネルギー研究。中部圏の産業界と強く結びつく。

6- 北海道大学工学部・地球環境科学研究院
寒冷地特有の再エネ導入（風力・バイオマス等）、エネルギーインフラ設計、気候適応型エネルギー開発。
地域社会と連携し脱炭素モデルを構築。

7- 大阪大学工学部・基礎工学部
エネルギー変換・蓄電技術、電気自動車・スマートハウス研究、省エネ社会に向けた実用研究。

8- 九州大学工学部・総合理工学府
地熱発電、バイオマス、再生可能エネルギーとエネルギー政策。アジア圏のエネルギー供給網設計を主導。

9- 筑波大学理工学群・システム情報工学研究科
IoTによるスマートグリッド、再エネ統合制御、分散型電源ネットワーク。多様な社会課題と結びつけた学際的教育。

10- 横浜国立大学都市科学部・工学研究院
都市スケールでのエネルギー最適化、グリーンインフラ設計、スマートコミュニティ構築。実践型フィールド研究が強み。

11- 千葉大学工学部・園芸学部
再生可能エネルギーと農業・都市の融合、バイオエネルギー開発、環境調和型技術教育。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社日立製作所（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
エネルギー、インフラ、ITを統合したスマートグリッド技術、再生可能エネルギー導入、大型発電システム開発で国内外を牽引。エネルギーシステム統合でグローバルに活躍。

2- 三菱重工業株式会社（日本）
時価総額：約1.8兆円（2025年6月）
発電設備、水素社会実現、CO₂回収・利用技術で世界トップクラス。原子力・火力・再エネと幅広く展開。

3- ENEOSホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約2.6兆円（2025年6月）
日本最大のエネルギー企業。再エネ発電、バイオ燃料、蓄電池、分散電源の普及を推進。
エネルギー転換で産業界全体をリード。

4- 株式会社パナソニックホールディングス（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
エネルギー機器・電池・省エネ住宅、家庭用再生可能エネルギーシステムの開発で国内外に展開。

5- 東芝エネルギーシステムズ株式会社（日本）
時価総額：非上場　
発電・送電・分散型エネルギー・スマートグリッドのリーディングカンパニー。再エネとデジタル電力管理で先進技術を実装。

6- NTTデータ株式会社（日本）
時価総額：約5.6兆円（2025年6月）
ITを駆使したエネルギー需給管理、スマートグリッドの最適化、デジタル社会インフラの開発を推進。

7- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）（日本）
日本最大級のエネルギー・環境分野公的研究開発機関。再生可能エネルギー・省エネルギー・次世代インフラの産学連携を推進。

海外

1- NextEra Energy　ネクステラ・エナジー（米国）
時価総額：約21兆円（2025年6月）
世界最大級の再生可能エネルギー専業企業。風力・太陽光の導入・電力スマートグリッドでグローバルリーダー。

2- Siemens AG　ジーメンス　アーゲー（ドイツ）
時価総額：約17兆円（2025年6月）
世界的なエネルギー・インフラ・スマートグリッドのリーダー企業。IoT・再生可能エネルギー統合制御分野で強い影響力。

3- Iberdrola　イベルドローラ（スペイン）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
欧州最大の再生可能エネルギー電力会社。風力・太陽光・水力の導入、スマートグリッド構築で国際的な評価。

3. 生物多様性の保全

　生物多様性とは、地球上に存在するあらゆる生物種（動植物・微生物）、それらが形成する生態系、多様な遺伝的資源の総体を指します。生物多様性の喪失は、食糧や水資源の減少、医薬品や新素材開発の機会減、気候変動の加速、生態系サービス（浄水・土壌保全・炭素固定など）の崩壊など、人類の生存基盤そのものを脅かします。

　現在、森林伐採や都市開発、農地拡大、外来種・感染症の拡大、気候変動、違法な野生動物取引等によって、野生生物の絶滅速度はかつてないペースで進んでいます。地球規模での生物多様性の保全には、保護区設置、生息地再生、持続可能な農林水産業、遺伝資源の保存、外来種管理、国際協力、そして市民参加型の自然再生プロジェクトが不可欠です。最近ではAIやDNA解析技術を用いた生物多様性モニタリング、企業による自然資本評価や環境経営も進展。人類が持続的に恩恵を享受できる社会の実現には、科学・政策・経済の統合的アプローチが求められています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学農学部・理学部（生物多様性科学・生態系管理）
世界屈指の野外生態系研究拠点を持ち、DNAバーコーディング、リモートセンシングを用いた森林・海洋・都市の生物多様性評価、絶滅危惧種の保護・復元事業、国際NGOとの共同研究など、学際的かつ実践的な教育・研究を推進。

2- 京都大学理学部・農学部（生物科学・生態学）
長年にわたる熱帯林・アジア熱帯域研究、先進的なフィールド観測技術、生態系修復・気候変動と生物多様性の関連研究が特色。国内外の保護区での生態系マネジメント実習が可能。

3- 北海道大学農学部・環境科学院
寒冷地・亜寒帯の森林・湿原・海洋生態系に関する調査研究、野生生物管理学、絶滅危惧種の生態・保全、地域社会と連携した自然再生プロジェクトが強み。

4- 東北大学生命科学研究科・農学部
里山・湿地・山岳生態系の保全、生物多様性と農業・林業・都市開発の両立に向けた先進研究。農業生態系の生物多様性評価手法も充実。

5- 名古屋大学生命農学研究科・理学部
アジア・アフリカの熱帯・温帯地域を対象とした生態系保全、遺伝資源保存、分子生態学やゲノム多様性研究も発展。国際共同研究が盛ん。

6- 九州大学農学部・理学部（森林生態学）
熱帯雨林やマングローブ、沿岸生態系の保全、外来種管理、持続可能な森林管理に関する学際教育・研究。現地実習も豊富。

7- 筑波大学生命環境学群・理工学群
都市と自然が共存する新しい生態系管理、都市生物多様性・環境DNA調査、行政・市民との連携型プロジェクトが強み。

8- 千葉大学園芸学部・理学部
都市部のグリーンインフラ設計、植生復元、造園と生態学の融合研究。生物多様性を活かした都市再生をリード。

9- 静岡大学農学部・理学部
里山・農地・森林の多様な生態系調査、環境教育・地域再生活動と一体化した学び。生態学フィールドワークが充実。

10- 横浜国立大学都市科学部
都市の生態系ネットワーク設計、グリーンインフラ、生物多様性を重視したまちづくりと政策提案。先端技術を駆使した都市モニタリングも。

11- 琉球大学理学部・農学部
南西諸島・サンゴ礁生態系の保全、絶滅危惧種調査、熱帯・亜熱帯地域の生態系管理で国内随一。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社日立製作所（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
IT・インフラ・環境分野で生態系保全、リモートセンシング、自然資本管理サービスを展開。環境ソリューション開発も強化。

2- 住友林業株式会社（日本）
時価総額：約7,000億円（2025年6月）
国産材供給最大手。森林経営、再生林造成、生態系サービス評価などでSDGs推進。国内外の森林保全・カーボンオフセット事業も実施。

3- 三井物産株式会社（日本）
時価総額：約8兆円（2025年6月）
グローバルな資源・環境ビジネス。海外での生物多様性保全型農業や森林保全、自然資本評価の事業開発も。

4- 国立環境研究所（NIES）（日本）
国内最大級の環境・生態系研究拠点。気候・生態系・自然共生の公的研究開発、国家政策への科学的支援。

5- パナソニックホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
環境経営・自然資本経営を推進。生物多様性保全型の工場・オフィス設計など独自の取り組み多数。

6- アサヒグループホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約2.3兆円（2025年6月）
ビール・飲料大手。自然共生型の原材料調達・水源保全・生物多様性配慮経営を実践。

7- 東京海上ホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約4.2兆円（2025年6月）
保険・金融を通じて自然災害リスク評価や生態系サービス評価など、ESG投資の先進企業。

海外

1- Unilever PLC　ユニリーバ　ピーエルシー　（英国）
時価総額：約24兆円（2025年6月）
グローバル消費財最大手。持続可能なサプライチェーン、生物多様性配慮の農業・製品開発で業界をリード。

2- The Nature Conservancy　ザ・ネイチャー・コンサーバンシー（米国）
時価総額：該当なし（世界最大級の自然保護NGO）
世界中で生態系保全・自然再生プロジェクト、企業・政府と連携し実証事業を多数展開。

3- BASF　ビーエーエスエフ（ドイツ）
時価総額：約8.7兆円（2025年6月）
世界最大の化学メーカー。環境配慮型農薬・バイオ多様性保全型事業を推進。生物多様性配慮型製品で国際的に評価。

4. 水資源管理と安全な水の確保

　水は生命や社会、産業の基盤であり、世界人口増加・都市化・気候変動などによって水不足や水質悪化のリスクが急速に高まっています。国連によると、2030年までに世界人口の約半数が水ストレス地域で暮らす可能性があるとされています。水資源管理の課題は、①持続可能な取水と地下水の枯渇防止、②安全な飲料水と衛生施設の普及、③工業・農業用水の効率利用、④河川・湖沼・海洋の水質保全、⑤洪水・干ばつ等の水災害対策、など多岐にわたります。

　近年は、IoTやリモートセンシングによる水管理、膜ろ過・浄水技術、雨水・再生水利用、地域循環型の流域マネジメントも進展。SDGsの達成に不可欠な分野として、官民連携や国際協力も拡大しつつあります。日本国内では高度な上水・下水インフラや災害対応ノウハウが蓄積されており、これを海外へ展開するビジネスや技術開発も拡大しています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・農学生命科学研究科（都市工学・水環境工学）
上下水道・河川管理・流域環境計画の総合研究。大都市の持続的水供給、AIによるインフラ管理、アジア諸国との国際共同研究も先進的に展開。水災害リスク評価や下水道再生技術も強み。

2- 京都大学工学部・地球環境学堂（水資源工学・環境水文学）
ダム・河川・流域全体の水循環解析、洪水・干ばつ予測システム、東南アジア諸国との水リスク共同研究、分散型水処理技術の社会実装。

3- 北海道大学工学部・農学部（水工学・寒冷地水資源管理）
寒冷地特有の雪氷・河川管理、水環境解析、農村・都市部の持続可能な水利用、国際寒冷圏プロジェクトも推進。

4- 東北大学工学部・環境科学研究科
震災・水害後の水資源復興、水道インフラ耐震化、水質浄化技術、災害対応の都市水環境再生。

5- 名古屋大学工学部・環境学研究科
河川水理、下水道設計、水質制御、アジア都市の水インフラ・公衆衛生向上支援。ICTを活用した広域流域管理。

6- 九州大学工学部・総合理工学府（水工学・水環境）
流域管理、地下水モニタリング、気候変動対応型水管理、飲料水・灌漑水の高度浄化。ASEAN諸国と多数の共同研究。

7- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院
都市型水資源マネジメント、水インフラ最適化、省エネ型水処理技術。大規模都市モデル・国際標準化プロジェクトも多数。

8- 千葉大学工学部・園芸学部
都市と農村の水利用連携、都市型雨水利用、緑地と水循環、都市のレジリエンス強化。

9- 筑波大学生命環境学群・理工学群
水質浄化・水循環モデリング、AIによる環境水モニタリング、河川環境の復元・保全。

10- 横浜国立大学都市科学部
都市水循環、グリーンインフラ、雨水・再生水利用、都市型水害リスク評価。

11- 静岡大学工学部・農学部
地下水・表流水の統合管理、流域コミュニティとの協働研究、農業用水・災害時の水供給システム。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- メタウォーター株式会社（日本）
時価総額：約4,900億円（2025年6月）
国内最大級の上下水処理プラント専業メーカー。自治体・産業向け浄水・下水設備、膜ろ過技術のパイオニア。IoTを活用した水インフラ管理も先進。

2- 株式会社クボタ（日本）
時価総額：約1.85兆円（2025年6月）
農業機械・上下水道システム大手。国内外で浄水・排水設備、下水道管路・農業用水システム提供。世界中のインフラ整備をリード。

3- オルガノ株式会社（日本）
時価総額：約2,000億円（2025年6月）
産業用・公共用の純水・排水処理設備の最大手。半導体・医薬品工場向け超純水製造技術や、持続可能な水再生ソリューションに強み。

4- 日立製作所（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
上下水道ICT化・スマート水インフラ、流域管理システム、災害対応型の浄水・排水ソリューション開発。海外都市との連携も強化。

5- 東芝インフラシステムズ株式会社（日本）
時価総額：時価総額：非上場
水インフラ設備の自動制御、スマートメーター、広域水管理ICT、災害復旧型上下水道技術。

6- NJS株式会社（日本）
時価総額：約1,000億円（2025年6月）
水環境・上下水道の総合コンサルティング、都市・産業施設向け水管理計画。グローバルな技術コンサルを展開。

7- 国立研究開発法人土木研究所（日本）
日本最大級のインフラ・水資源系公的研究機関。流域管理・災害リスク評価・水質浄化など政策連携研究が多数。

海外

1- Veolia Environment S.A.（ヴェオリア・アンヴィロヌマンエス・アー）（フランス）
時価総額：約6兆円（2025年6月）
世界最大級の水処理・廃棄物管理会社。上下水道の設計・運営、再生水技術、国際的な水道事業を幅広く展開。

2- Xylem Inc.（ザイレム・インク）（米国）
時価総額：約4兆円（2025年6月）
産業・都市向けポンプ、流体管理、上下水道IoT機器の世界的リーダー。高度水再生技術とグローバル展開で評価。

3- Suez S.A.（スエズエス・アー）（フランス）
時価総額：約4兆円（2025年6月）
上下水道インフラ運営、工業用水リサイクル、都市型水循環マネジメントで世界をリード。100カ国以上に事業展開。

5. 食糧問題と持続可能な農業

　世界人口の増加、気候変動、農地の減少、食料価格の高騰、貧困や紛争などにより、食糧不足や飢餓は今も深刻な課題です。国連の報告では、約8億人が慢性的な飢餓に苦しみ、さらに地球温暖化や極端気象によって農業生産は今後一層不安定化すると予測されています。持続可能な農業の実現には、①化学肥料や農薬への過度な依存からの脱却、②土壌・水資源の保全、③省資源型・多様性重視の栽培体系、④スマート農業（IoT・AI活用）、⑤遺伝資源や在来種の保護・活用など、科学技術と伝統的知見の融合が求められます。最近では精密農業や垂直農法、培養肉や昆虫食など新たなフードテックも注目されています。

　また、日本の農業も高齢化・担い手不足・耕作放棄地拡大という課題を抱えていますが、ICTを活用した生産管理、6次産業化（生産・加工・販売の一体化）、海外市場への展開など、多様な取り組みが始まっています。食糧問題は社会・経済・環境を横断する総合的な課題であり、国際協力・地域資源活用・消費者教育のすべてが重要となります。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学農学部・大学院農学生命科学研究科
植物科学・動物科学・食料生産・農業経済・農業政策まで幅広い領域を網羅。最先端のバイオテクノロジーや精密農業、気候変動適応型農業の研究も豊富。国連・国際機関と連携したプロジェクト多数。

2- 京都大学農学部・大学院農学研究科
伝統的な有機農業から分子農学、食料・資源経済、持続可能な農業技術まで一貫した教育体制。農業気象や土壌環境、地域創生プロジェクトも活発。

3- 北海道大学農学部・大学院農学院
寒冷地農業、畜産・酪農、作物育種、スマート農業技術など国内最大規模。食と農の総合研究、地域連携型の農業イノベーションが強み。

4- 東北大学農学部・大学院農学研究科
植物育種、環境保全型農業、バイオマス利用、東北地方の農業再生モデル構築。農業工学・食品科学も一体的に学べる。

5- 名古屋大学生命農学研究科・農学部
バイオテクノロジー、資源循環型農業、スマートアグリ技術、農業環境科学、アジア・アフリカの食糧問題研究も展開。

6- 九州大学農学部・大学院農学研究院
亜熱帯・温帯農業、気候適応型作物開発、グローバル食料安全保障、アジア・アフリカ農村振興、ICT農業の導入拠点。

7- 筑波大学生命環境学群・生物資源学類
都市農業、植物工場、持続型農業、農業経済・政策研究、行政・企業連携型プロジェクトが豊富。

8- 静岡大学農学部・大学院農学研究科
園芸・特産作物、茶業、バイオマス、食品加工技術、農山村振興と一体化した農業実践。

9- 千葉大学園芸学部
都市農業、植物工場、スマート園芸、都市型フードシステム、農業の6次産業化で先進的な取り組み。

10- 東京農業大学農学部
応用生物科学、食品科学、国際農業開発、農業経営、農村政策など、現場主義・実学重視。全国に実習農場も保有。

11- 岡山大学農学部・大学院環境生命科学研究科
瀬戸内地域の農業・水資源研究、乾燥地農業、次世代栽培技術、国際共同研究も活発。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- カゴメ株式会社（日本）
時価総額：約3,600億円（2025年6月）
トマトを中心とする食品・飲料メーカー。自社農場・契約農家との連携、スマート農業実証、食育推進など持続可能な食のリーダー。

2- サントリーホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
飲料・食品の大手。原材料の持続可能な調達、農業コミュニティ支援、環境配慮型サプライチェーンの構築に注力。

3- 住友化学株式会社（日本）
時価総額：約1.3兆円（2025年6月）
農薬・肥料・バイオ農薬開発。スマート農業資材、世界規模の作物保護事業でグローバルに展開。

4- クボタ株式会社（日本）
時価総額：約4兆円（2025年6月）
農業機械最大手。スマート農業機械、ICTによる省力化、省エネ灌漑システムを国内外で提供。

5- 雪印メグミルク株式会社（日本）
時価総額：約2,000億円（2025年6月）
乳製品大手。北海道・東北の酪農連携、循環型農業推進、環境経営に注力。

6- 日清製粉グループ本社株式会社（日本）
時価総額：約5,000億円（2025年6月）
製粉・食品大手。世界的な小麦調達、食品ロス削減、サステナブルサプライチェーン強化。

7- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構（NARO）（日本）
国内最大の農業・食料研究機関。作物育種、食料安全保障、農業ICTなど公的研究と産業支援を推進。

海外

1- Bayer AG（バイエルアーゲー）（ドイツ）
時価総額：約8.5兆円（2025年6月）
農薬・バイオテクノロジーの世界最大手。グローバルなスマート農業、種子事業、気候変動適応型農業技術に注力。

2- Archer Daniels Midland Company（アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドカンパニー）（米国）
時価総額：約6兆円（2025年6月）
世界最大級の穀物取扱・食品加工会社。サステナブルサプライチェーン、栄養・バイオ燃料事業も強い。

3- Cargill, Incorporated（カーギルインコーポレイテッド）（米国）
時価総額：非公開（世界最大級の非上場企業、推定約18兆円相当）
世界最大規模の農産物取引・食品原料企業。持続可能な農業、食品トレーサビリティ、国際農業支援を主導。

6. 資源循環と廃棄物問題（プラスチック等）

　現代社会は大量生産・大量消費型の経済を基盤としてきましたが、その結果として発生する廃棄物、特にプラスチックごみや電子廃棄物の処理は深刻な環境問題となっています。世界で年間4億トン以上のプラスチックが生産され、その多くがリサイクルされずに埋立や海洋流出しています。マイクロプラスチックによる海洋汚染や、発展途上国への廃棄物輸出、電子機器に含まれる有害物質による健康被害も拡大。資源循環型社会（サーキュラーエコノミー：廃棄物を資源として再利用・再生産する経済モデル）への転換は、気候変動や生物多様性と並び人類全体の緊急課題です。

　その実現には、リデュース（削減）・リユース（再使用）・リサイクル（再生利用）の「3R」推進、分別技術やAI選別、バイオプラスチック・生分解性素材開発、廃棄物発電や資源リサイクル産業の強化、さらには消費者教育や制度改革も不可欠です。企業・自治体・市民が一体となり、グローバルな協調の下で「循環型社会」を築くことが、人類の持続的な発展に直結しています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・新領域創成科学研究科（環境システム、資源循環工学）
都市ごみ処理、プラスチック資源化、廃棄物発電技術、LCA（ライフサイクルアセスメント）分析、国際的な資源循環政策研究など幅広いテーマで先進的な教育・研究。官民・国際機関との共同プロジェクトも豊富。

2- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院
廃棄物処理工学、バイオマスエネルギー、ゼロエミッション都市設計、資源循環インフラのスマート化など最先端の実験研究が強み。産官学連携プロジェクトも多数。

3- 京都大学工学部・地球環境学堂
資源循環型社会工学、持続可能な都市資源管理、廃棄物資源化技術、廃プラ・電子ごみリサイクルなど、フィールドとラボの融合型教育が特色。

4- 北海道大学工学部・環境科学院
寒冷地型廃棄物処理技術、都市鉱山、バイオマス発電、プラスチック分解微生物研究、自治体連携の資源循環実証。

5- 東北大学工学部・環境科学研究科
リサイクル材開発、スマート廃棄物管理、災害廃棄物の資源化、再生建材・都市インフラの長寿命化研究が盛ん。

6- 名古屋大学工学部・環境学研究科
化学リサイクル技術、プラスチックリサイクル、資源循環政策、資源回収システム設計を学際的に展開。

7- 大阪大学工学部・基礎工学部
高効率リサイクル技術、AI廃棄物選別システム、都市鉱山開発、廃棄物の価値化技術で実用化も強み。

8- 九州大学工学部・総合理工学府
資源循環型都市モデル、再生素材開発、廃棄物発電・バイオエネルギーなど、社会実装・国際展開も活発。

9- 千葉大学工学部
都市型リサイクル、家庭・事業所ごみの資源化、生分解性プラスチック開発、社会実装型の教育プロジェクト。

10- 筑波大学生命環境学群・理工学群
資源循環政策、AIごみ分別システム、環境教育・消費者行動変容研究も強化。

11- 横浜国立大学都市科学部
都市廃棄物管理、グリーンインフラ設計、リサイクルと都市設計の統合研究が進む。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社リコー（日本）
時価総額：約8,000億円（2025年6月）
オフィス機器大手。製品ライフサイクル全体でカーボンニュートラル、循環型ビジネスモデル、再資源化・リサイクルの国際展開で業界を牽引。

2- 日本環境設計株式会社（日本）
時価総額：約300億円（2025年6月）
繊維・衣料から化学資源へ再生する独自技術で世界注目。企業・自治体と連携し、衣料リサイクルの全国・国際規模実装。

3- DOWAホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約6,000億円（2025年6月）
金属リサイクル・都市鉱山開発・廃棄物処理の国内最大手。レアメタル・電子ごみの資源循環も世界規模で展開。

4- JFEエンジニアリング株式会社（日本）
時価総額：約7,000億円（JFEグループ全体、2025年6月）
廃棄物発電・プラスチック再資源化・ごみ焼却炉建設、スマートシティ型インフラの構築・運用で国内外展開。

5- パナソニックホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
循環型製品設計、家電リサイクル事業、グローバルでの資源効率経営。サーキュラーエコノミー推進企業。

6- イオン株式会社（日本）
時価総額：約2.7兆円（2025年6月）
流通大手。店舗・物流拠点での廃棄物リサイクル・資源循環型経営、消費者教育・環境配慮型商品普及を推進。

7- 国立研究開発法人産業技術総合研究所（AIST）（日本）
資源循環・リサイクル・廃棄物処理技術の公的研究。産業界との共同開発・社会実装に注力。

海外

1- Veolia Environment S.A.（ヴェオリア・アンヴィロヌマンエス・アー）（フランス）
時価総額：約6兆円（2025年6月）
世界最大級の環境・廃棄物処理会社。都市ごみリサイクル、廃棄物発電、グローバルな資源循環ビジネスを展開。

2- Waste Management, Inc.（ウェイスト・マネジメントインク）（米国）
時価総額：約11兆円（2025年6月）
北米最大の廃棄物管理・リサイクル会社。ごみ回収・埋立・バイオガス発電、資源循環技術のリーダー。

3- TOMRA Systems ASA（トムラ・システムズエーエスエー）（ノルウェー）
時価総額：約2兆円（2025年6月）
自動リサイクル・選別機世界最大手。ペットボトル回収・資源選別AIなどグローバルな技術展開。

7. 公衆衛生と感染症対策

　現代社会はグローバル化や都市化、気候変動、人口高齢化の進行により、新興感染症や生活習慣病、精神疾患など多様な健康リスクに直面しています。新型コロナウイルス（COVID-19）パンデミックは、感染症対策や保健医療体制、リスクコミュニケーションの重要性を世界中に再認識させました。感染症対策には、ワクチン開発・供給体制の強化、監視・検査体制の高度化、グローバルな情報共有や迅速な政策決定、公衆衛生人材の育成が不可欠です。また、上下水道・住環境整備、食の安全、ヘルスリテラシー教育も健康維持に直結します。

　近年はゲノム解析やビッグデータ、AIを活用した疾病予測・感染拡大シミュレーション、遠隔医療やデジタルヘルスも急速に進化。地域や国境を越えた協調と、市民の行動変容を促す仕組みづくりが、感染症制御と健康寿命の延伸には不可欠です。科学・医療・社会制度の三位一体で公衆衛生基盤を強化し、人類の危機を乗り越えていくことが今後ますます重要になります。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学医学部・大学院医学系研究科（公共健康医学専攻）
疫学・感染症学・国際保健・公衆衛生政策の分野で国内外トップレベル。感染症疫学や政策提言、国際連携プロジェクト多数。保健医療分野の人材輩出も多い。

2- 京都大学医学部・公衆衛生大学院
感染症対策、予防医学、衛生工学、グローバルヘルス分野で先端的研究。厚労省やWHOなど国際機関との連携強化。現場型実習が充実。

3- 大阪大学医学部・大学院医学系研究科（公衆衛生学）
感染症の数理モデル、都市疫学、医療情報学、AIによる疾病予測研究が特色。医療・行政・ITの学際融合拠点。

4- 北海道大学医学部・大学院保健科学研究院
寒冷地型公衆衛生、感染症流行・対策、保健医療システム、地域ヘルスケア実践が強み。

5- 東北大学医学部・大学院医学系研究科
災害時の公衆衛生、感染症リスクマネジメント、メンタルヘルス支援、統合疫学研究も展開。

6- 名古屋大学医学部・大学院医学系研究科
感染症学、予防医療、グローバルヘルス、食の安全、医療統計学など多分野型の教育・研究体制。

7- 九州大学医学部・大学院医学系学府
地域公衆衛生、感染症対策、ワクチン開発、保健政策、国際疫学連携研究に強み。

8- 国際医療福祉大学医学部・大学院
公衆衛生学、感染症制御、地域医療実習、医療通訳養成など多文化・多言語で学ぶ環境。

9- 筑波大学医学群・国際公共健康科学学位プログラム
グローバルな感染症対策、健康政策、疫学、データサイエンスの学際融合。

10- 慶應義塾大学医学部・公衆衛生学教室
都市型公衆衛生、感染症対策、健康危機管理、医療政策提言、企業連携型プロジェクトが充実。

11- 長崎大学熱帯医学研究所・医学部
熱帯感染症・新興感染症対策、国際保健医療、アジア・アフリカと連携した現地型研究。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 塩野義製薬株式会社（日本）
時価総額：約2.1兆円（2025年6月）
感染症治療薬・ワクチン開発で国内最大級。パンデミック対応、グローバルな医薬品供給体制の構築に注力。

2- 武田薬品工業株式会社（日本）
時価総額：約7.2兆円（2025年6月）
世界的な総合医薬品メーカー。感染症ワクチン・新薬開発、国際共同臨床試験でトップクラス。

3- 第一三共株式会社（日本）
時価総額：約5.8兆円（2025年6月）
感染症治療薬・ワクチン、がん治療薬でも高評価。新型コロナワクチン開発、官民連携で注目。

4- 株式会社島津製作所（日本）
時価総額：約1兆円（2025年6月）
検査機器・医療機器大手。感染症検査・診断システム、公共衛生向けソリューションを世界展開。

5- 株式会社シスメックス（日本）
時価総額：約2.8兆円（2025年6月）
検体検査機器世界大手。ウイルス検査、血液分析、病院・検疫所への導入実績多数。

6- 国立研究開発法人国立感染症研究所（日本）
国内の感染症研究・政策提言・監視体制構築に中核的役割。厚労省等と連携し、国家レベルの対応を担う。

7- 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所（日本）
公衆衛生・感染症・生活習慣病対策など公的研究開発。ヘルスデータ利活用・政策連携も推進。

海外

1- Pfizer Inc.（ファイザーインク）（米国）
時価総額：約40兆円（2025年6月）
世界最大の製薬会社。感染症治療薬・ワクチン開発でトップ、COVID-19ワクチンで国際的にリード。

2- GlaxoSmithKline plc（グラクソ・スミスクラインピーエルシー）（英国）
時価総額：約12兆円（2025年6月）
ワクチン・感染症・慢性疾患治療薬で世界有数。途上国支援や感染症根絶事業も推進。

3- World Health Organization（ワールド・ヘルス・オーガニゼーション：WHO）（国際連合機関）
時価総額：該当なし（国連機関）
感染症監視・政策提言、国際連携、ワクチン普及支援、健康危機対応の国際的中心組織。

8. 高齢化・人口減少社会への対応

　日本をはじめ先進諸国では高齢化と人口減少が急速に進み、社会保障費の増大、労働力不足、地域コミュニティの衰退、医療・介護サービスの逼迫など多くの社会課題が深刻化しています。高齢者が安心して暮らせる社会を維持しつつ、若年層や現役世代が活躍できる環境づくり、生産性向上、地域の持続性確保など総合的な対策が求められています。

　この分野では、①介護・医療分野のICT化・ロボット導入、②多世代共生住宅・都市デザイン、③高齢者の就労・社会参加促進、④移民や外国人労働者の受け入れ政策、⑤年金や社会保障制度の改革、⑥出生率向上施策、⑦地域包括ケアなど多面的なアプローチが重要です。最近ではスマートシティ、デジタルヘルス、AIケアロボット、自動運転、オンライン診療などテクノロジーと制度改革が一体化したモデル構築も進展しています。

　日本の経験とノウハウは今後、高齢化が進むアジア諸国や欧米にも大きなインパクトを持つと期待されます。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学医学部・工学部・教育学部（健康長寿・福祉工学）
健康長寿・社会福祉・介護ロボット・多世代共生社会の統合研究。医学・工学・社会科学の融合で、産官学連携モデルや政策提言も豊富。

2- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院・情報理工学院
介護・医療ロボティクス、スマートシティデザイン、社会インフラ最適化、都市の高齢者対応政策の先進研究。

3- 京都大学医学部・公共政策大学院
高齢社会政策、医療福祉政策、健康寿命延伸、多世代交流のコミュニティ設計、デジタルヘルスケアでトップクラス。

4- 大阪大学医学部・工学部・人間科学部
高齢者医療・リハビリテーション、認知症支援、ヒューマンインタフェース技術、都市と福祉の融合分野が強み。

5- 東北大学医学部・工学部
高齢者向け住宅・都市デザイン、先端医療・介護機器、被災地復興と人口減少社会への先進的アプローチ。

6- 名古屋大学医学部・経済学部
高齢化社会の経済分析、医療政策、社会保障制度、地域医療連携、介護労働市場分析も展開。

7- 九州大学医学部・工学部・芸術工学研究院
高齢者のQOL向上、生活支援技術、リハビリ工学、居住環境の最適化、福祉用具開発・実証。

8- 筑波大学人間学群・医学群
医療福祉・健康科学・都市計画を横断した学際教育。健康増進、地域包括ケアのフィールド実習。

9- 千葉大学医学部・看護学部・工学部
高齢者ケア、在宅医療、ロボティクス、コミュニティデザイン、認知症・生活支援技術。

10- 横浜国立大学都市科学部・教育学部
都市の高齢化対応、住まい・交通・医療インフラ、ユニバーサルデザイン教育、まちづくり政策。

11- 神戸大学医学部・経済学部・国際協力研究科
健康経済、福祉政策、国際的な高齢化対策、グローバルな人口政策分析が強み。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- パナソニックホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
介護・医療ロボット、スマートハウス、シニア向け製品・サービスの開発で業界をリード。IoT・AI活用の高齢者見守りシステムも展開。

2- 株式会社ベネッセホールディングス（日本）
時価総額：約6,000億円（2025年6月）
介護・福祉・高齢者住宅、学習・生活サポート事業など多角展開。シニアの生涯学習・就労支援にも注力。

3- SOMPOホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約1.6兆円（2025年6月）
介護・福祉サービス最大手。高齢者施設、在宅ケア、介護IT、保険・医療連携ビジネスで日本を牽引。

4- 株式会社リクルートホールディングス（日本）
時価総額：約11兆円（2025年6月）
高齢者雇用支援、人材マッチング、福祉・介護分野のデジタルプラットフォーム展開。

5- 株式会社エイジス（日本）
時価総額：約400億円（2025年6月）
流通・サービス業の高齢者雇用、多世代対応の店舗運営・サービス企画が強み。

6- 株式会社ニチイ学館（日本）
時価総額：約1,300億円（2025年6月）
介護・医療・保育サービスの大手。介護職の人材育成・現場イノベーション推進。

7- 国立研究開発法人産業技術総合研究所（AIST）（日本）
高齢化・人口減少対応の社会システム・福祉ロボット開発、産学官連携型の公的研究・政策支援。

海外

1- Philips N.V.（フィリップスエヌ・ヴイ）（オランダ）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
ヘルスケア・医療機器大手。高齢者向けデジタルヘルス、在宅医療、遠隔診断・AI介護技術をグローバル展開。

2- Siemens Healthineers AG（シーメンスヘルシニアーズアーゲー）（ドイツ）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
医療・介護ICT、遠隔診療、介護ロボット、病院インフラ最適化の分野で世界をリード。

3- Brookdale Senior Living Inc.（ブルックデールシニアリビングインク）（米国）
時価総額：約3,000億円（2025年6月）
米国最大級の高齢者向け住宅・介護サービス企業。多様なケアモデル・健康増進サービスで高齢社会に対応。

9. 貧困削減と格差是正

　世界には今なお7億人以上が極度の貧困状態で暮らしており、国内外での所得格差、教育・医療・インフラへのアクセス格差は深刻です。グローバル化や技術進歩による恩恵の一方で、デジタル格差やジェンダー格差、新興国・先進国間の社会的分断も拡大しています。貧困削減と格差是正には、①教育機会の均等化、②雇用創出と生活保障、③持続可能な経済成長、④社会インクルージョン政策、⑤課税・社会保障制度改革、⑥ジェンダー平等推進、⑦デジタル包摂（ICTによる情報格差解消）など多面的な取り組みが必要です。

　近年はSDGs（持続可能な開発目標）を軸に、官民連携・国際協力による包括的な支援策が拡大し、社会起業やインパクト投資も活発化。AIやビッグデータを活用した貧困予測・政策立案、ベーシックインカムなどの新たな社会保障モデルにも注目が集まっています。誰もが持続可能な発展の果実を享受できる包摂的な社会の実現が、全人類の課題です。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学経済学部・公共政策大学院・教育学部
マクロ・ミクロ経済学、労働経済、開発経済、福祉政策、教育経済学、社会包摂政策など総合的に学べる。世界銀行・国連・政府系機関との連携も多数。

2- 京都大学経済学部・公共政策大学院
開発経済、社会保障論、格差分析、アジア・アフリカ現地フィールド調査型研究、国際協力プロジェクトも展開。

3- 早稲田大学政治経済学部・社会科学部
グローバル経済、福祉国家論、ジェンダー平等、多文化共生、NPO・NGO論、国際関係学の融合型教育。

4- 慶應義塾大学経済学部・総合政策学部
労働・雇用政策、教育社会学、デジタル社会包摂、インクルーシブ経済政策、実践的な社会貢献教育が特色。

5- 大阪大学経済学部・人間科学部
社会政策、経済格差、心理学的アプローチによる社会問題研究、多様な視点での格差是正論が展開。

6- 一橋大学社会学部・経済学部
社会階層論、都市・農村格差、雇用政策、福祉国家、データサイエンスを活用した格差分析が強み。

7- 名古屋大学経済学部・法学部
開発経済学、法政策、社会保障、国際協力・NGO実践教育、現地プロジェクト型学習。

8- 東北大学経済学部・教育学部
地域格差・都市農村間格差、教育機会均等、インクルージョン教育、政策実証研究。

9- 九州大学経済学部・人間環境学府
雇用創出、社会保障、地域経済分析、貧困対策と多文化社会の融合。

10- 筑波大学社会・国際学群
国際開発、ジェンダー平等、教育開発、格差是正型社会モデルの提案・検証。

11- 上智大学総合グローバル学部
国際協力、難民・移民政策、包摂的社会構築、多国間フィールドスタディ。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 日本電信電話株式会社（NTT）（日本）
時価総額：約18兆円（2025年6月）
ICTインフラ最大手。デジタル格差解消・地域包括ITサービス、自治体・教育機関へのDX支援も強化。

2- 株式会社リクルートホールディングス（日本）
時価総額：約11兆円（2025年6月）
雇用創出・人材マッチングプラットフォーム、非正規雇用支援、働き方改革、若者・高齢者の就労支援。

3- 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ（日本）
時価総額：約13兆円（2025年6月）
金融包摂・中小企業融資・女性起業家支援、地方創生ファイナンス、マイクロファイナンス等の推進。

4- パーソルホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約7,000億円（2025年6月）
人材派遣・雇用創出、障害者雇用支援、多様な働き方推進サービスを展開。

5- 株式会社ベネッセホールディングス（日本）
時価総額：約6,000億円（2025年6月）
教育格差是正、学び直し支援、奨学金・生涯学習サービスの提供、地方・海外連携も。

6- 株式会社パソナグループ（日本）
時価総額：約2,000億円（2025年6月）
地方創生、女性・高齢者就労、就農支援、社会包摂型人材サービスを強化。

7- 国際協力機構（JICA）（日本）
途上国の貧困削減・開発援助、教育・医療・インフラ整備支援、官民連携によるSDGs推進を担う。

海外

1- The World Bank（ザ・ワールド・バンク／世界銀行）（国際機関）
時価総額：該当なし（国際開発金融機関）
貧困削減、持続的成長、教育・インフラ整備融資、世界最大の開発金融と政策提言組織。

2- Oxfam International（オックスファムインターナショナル）（国際NGO）
時価総額：該当なし（国際NGO）
貧困・格差是正、緊急人道支援、女性・少数者権利保護、世界90カ国で活動。

3- Bill & Melinda Gates Foundation（ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ・ファウンデーション）（米国）
時価総額：約7兆円（2025年6月・基金資産）
世界最大の慈善財団。グローバルヘルス、教育、貧困削減、イノベーション推進事業で圧倒的存在感。

10. 教育格差・質の向上

　教育は持続可能な社会・経済発展の基盤であり、すべての人に等しく良質な教育を提供することは人類共通の目標です。しかし現実には、家庭の経済状況、地域格差、性別、障害、国際移動、デジタル環境の違いなどにより教育機会の格差が存在し、学力やキャリア、所得格差の固定化・再生産につながっています。

　世界規模では初等・中等教育の未就学児童、ジェンダー格差、難民・移民の教育、ICT環境未整備といった課題も深刻です。日本でもコロナ禍による学びの遅れ、地域間のICT・英語教育格差、少人数教育の実現などが注目されています。今後は、①オンライン・遠隔教育とリアルの融合、②アクティブラーニング・STEAM教育、③教員の専門性向上と多様性、④障害・多文化へのインクルージョン教育、⑤奨学金・補助制度拡充、⑥AI・EdTech（エドテック）活用などによる教育の個別最適化が重要です。

　すべての人が「学び直し」や「生涯学習」にアクセスできる社会の構築が、人類の創造力・レジリエンスを高めます。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学教育学部・大学院教育学研究科
教育政策、教育格差、国際教育開発、教育行政、障害・多文化共生教育、EdTech導入の政策研究などで国内外をリード。世界銀行やユネスコと共同プロジェクトも多数。

2- 京都大学教育学部・大学院教育学研究科
教育社会学、教育制度改革、地域教育政策、STEAM教育、教員養成、国際教育協力の拠点。

3- 早稲田大学教育学部・国際教養学部
グローバル教育、教育イノベーション、eラーニング、多文化教育、社会包摂型カリキュラム。EdTech分野の産学連携も先進。

4- 慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部
ICT教育、EdTech開発、アクティブラーニング推進、STEAM・英語教育、教育ビジネス分野も幅広い。

5- 一橋大学社会学部・経済学部
教育経済学、教育格差、労働市場との接続、教育政策評価、社会包摂論が充実。

6- 大阪大学人間科学部・大学院人間科学研究科
教育心理学、教育工学、認知科学、障害児教育、学校改善論、AI活用の教育分析。

7- 名古屋大学教育学部・大学院教育発達科学研究科
教育政策、心理・発達科学、教育機会均等、国際教育協力、現場型プロジェクト学習が特徴。

8- 東北大学教育学部・大学院教育学研究科
地域教育格差の実証研究、被災地の教育再建、多文化・共生教育、ICT教育。

9- 筑波大学人間学群・教育学類
障害・多様性教育、AI・ICT教育、発達支援、学習環境デザイン、現場実践型の学びが充実。

10- 上智大学総合人間科学部教育学科
国際教育開発、難民教育、異文化間教育、英語・ICT教育、フィールドスタディ型学習。

11- 千葉大学教育学部
地域教育の再生、学校と社会の連携、特別支援教育、学校改善プロジェクトが豊富。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社ベネッセホールディングス（日本）
時価総額：約6,000億円（2025年6月）
教育サービス最大手。通信教育、EdTech開発、奨学金事業、グローバル展開、学校改革支援で国内外に影響力。

2- リクルートマーケティングパートナーズ株式会社（日本）
（リクルートホールディングスグループ／時価総額：約11兆円）
進学・キャリア支援、教育ICT、オンライン学習プラットフォーム、教育データ分析分野で業界を牽引。

3- 株式会社LITALICO（日本）
時価総額：約2,000億円（2025年6月）
発達障害児・多様性教育支援、特別支援教育プラットフォーム、教育現場コンサルティングで成長。

4- 株式会社Z会ホールディングス（日本）
時価総額：約1,000億円（2025年6月）
大学受験・通信教育・AI学習システム、EdTechでのイノベーション、英語・ICT教材開発が強み。

5- 株式会社ナガセ（東進ハイスクール）（日本）
時価総額：約1,500億円（2025年6月）
映像授業・AI学習支援システム、オンライン教育、教育研究開発分野で業界をリード。

6- ソフトバンクグループ株式会社（日本）
時価総額：約18兆円（2025年6月）
AI教育、EdTech投資、ICT教育インフラ整備、世界的な教育事業も推進。

7- 国際協力機構（JICA）（日本）
教育開発、海外教育支援、ユニバーサル教育普及事業で世界的な実績を持つ公的機関。

海外

1- Pearson plc（ピアソンピーエルシー）（英国）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
世界最大の教育・教材・試験サービス会社。EdTech分野、オンライン教育、教育評価、学習データ活用に強み。

2- Coursera, Inc.（コーセラインク）（米国）
時価総額：約4,000億円（2025年6月）
世界最大級のオンライン学習プラットフォーム。世界中の大学と連携し、誰もが学べる環境を提供。

3- Khan Academy, Inc.（カーンアカデミーインク）（米国）
時価総額：非公開（NPO）
無料オンライン教育最大手。数学・科学・読解の個別最適化学習、教育格差解消を使命とする世界的NPO。

11. サイバーセキュリティとAIリスク管理

　インターネットとIT技術の進展により、サイバー空間は現代社会のインフラとなりましたが、サイバー攻撃や個人情報漏洩、重要インフラへのハッキング被害、AIを悪用したサイバー犯罪・偽情報拡散など新たな脅威も急増しています。経済活動、社会システム、国家安全保障、個人生活すべてがサイバーセキュリティに依存しており、セキュリティ対策の遅れは社会全体の混乱や損失に直結します。AIリスク管理では、AIによる判断・自律的行動がもたらす倫理・責任問題、不正利用、データバイアス、ディープフェイク、セキュリティ脆弱性、法規制対応など多層的な課題が生じています。

　この分野では、①サイバー攻撃の予防・検知・対応技術、②セキュアなネットワーク構築、③AI倫理・ガバナンス、④情報インフラ防護、⑤教育と人材育成、⑥国際協力によるグローバル標準策定などが必須です。AIとセキュリティの融合（AI for Security, Security for AI）が求められる時代、持続的な研究・制度・社会的対話が不可欠となっています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学情報理工学系研究科・工学部
サイバーセキュリティ、暗号理論、AIセキュリティ、社会基盤情報学。政府や産業界と連携したセキュリティ政策提言・研究も多数。

2- 東京科学大学（旧・東京工業大学）情報理工学院・工学院
情報セキュリティ、ネットワーク防護、IoTセキュリティ、AIリスク評価、制御系セキュリティ、産官学連携プロジェクトが豊富。

3- 大阪大学基礎工学部・情報科学研究科
AI応用セキュリティ、機械学習の脆弱性、プライバシー保護、サイバーフィジカルセキュリティの最先端研究。

4- 京都大学情報学研究科・工学部
サイバー空間の安全性、情報倫理、AIガバナンス、データ駆動社会の法政策とセキュリティ。

5- 名古屋大学情報学部・工学部
ネットワーク防護、AI攻撃検知、制御系サイバーセキュリティ、情報ガバナンス研究。

6- 筑波大学情報学群・システム情報工学研究科
情報セキュリティ工学、プライバシー保護、サイバー攻撃対策教育、IoT・スマートシティセキュリティ。

7- 東北大学工学部・情報科学研究科
重要インフラセキュリティ、災害時情報保護、AIとサイバー防衛の融合研究。

8- 九州大学システム情報科学府・工学部
セキュリティ基礎、AIリスク管理、法制度、国際連携型セキュリティ教育。

9- 慶應義塾大学理工学部・政策・メディア研究科
サイバー空間政策、AI活用のリスク評価、データガバナンス、ICT法政策研究。

10- 神戸大学工学部・情報知能工学科
サイバー防御・暗号、AIセキュリティ、倫理・ガバナンス教育に強み。

11- 情報セキュリティ大学院大学（横浜市）
日本唯一の情報セキュリティ専門大学院。実践的なサイバーセキュリティ教育・研究の拠点。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社NTTデータ（日本）
時価総額：約4.5兆円（2025年6月）
システムインテグレーション最大手。企業・行政・金融・医療のセキュリティコンサル、AIセキュリティ運用、グローバル対応が強み。

2- トレンドマイクロ株式会社（日本）
時価総額：約1兆円（2025年6月）
ウイルス対策・サイバー防御ソフト世界大手。クラウド、IoT、AIセキュリティも展開。

3- NEC（日本電気株式会社）（日本）
時価総額：約1.3兆円（2025年6月）
社会インフラ・政府システムのサイバーセキュリティ、AI搭載監視システムのリーディングカンパニー。

4- 株式会社サイバーエージェント（日本）
時価総額：約1.5兆円（2025年6月）
ネット広告・AI活用サービスのリーダー。AI研究組織・セキュリティ人材育成で注目。

5- 富士通株式会社（日本）
時価総額：約4兆円（2025年6月）
企業・行政向けAI・サイバーセキュリティソリューション、グローバルなコンサル・運用サービス。

6- 株式会社ラック（日本）
時価総額：約300億円（2025年6月）
サイバー攻撃監視・対応、企業向け脆弱性診断・教育事業で定評。

7- 国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）（日本）
サイバーセキュリティ・AIリスク評価の公的研究。国家プロジェクトや国際標準策定に中心的役割。

海外

1- Palo Alto Networks, Inc.（パロアルトネットワークスインク）（米国）
時価総額：約11兆円（2025年6月）
次世代ファイアウォール、AIサイバー防御技術で世界最大級。グローバルなクラウドセキュリティ市場を牽引。

2- CrowdStrike Holdings, Inc.（クラウドストライクホールディングスインク）（米国）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
クラウド型エンドポイント防御、AI脅威検知で成長。世界中の大企業・政府を顧客に持つ。

3- Darktrace plc（ダークトレースピーエルシー）（英国）
時価総額：約6,000億円（2025年6月）
AI活用のサイバー攻撃検知・自動対応ソフト開発。次世代AIセキュリティで急成長。

12. 都市環境・スマートシティの構築

　21世紀の都市は、人口増加・高齢化・気候変動・エネルギー問題・交通渋滞・災害リスク・社会的孤立など多様な課題を抱えています。これらを解決し、持続可能で安全・快適な都市を実現するためには、ICT（情報通信技術）・IoT・AI・ビッグデータを活用した「スマートシティ」への転換が急務です。

　スマートシティでは、①再生可能エネルギーや省エネ技術によるカーボンニュートラル、②自動運転・MaaSによる交通最適化、③AIを活用した都市インフラ管理・防災、④デジタル行政・キャッシュレスサービス、⑤都市緑化や生態系ネットワークの整備、⑥多世代共生のまちづくりなど、幅広い領域が融合します。日本でも国土交通省・自治体・企業が一体となり、多摩ニュータウン・柏の葉・横浜などで先進事例が進行中。海外の主要都市でも、データ駆動型の都市経営や国際標準化の動きが加速しています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・都市工学専攻・新領域創成科学研究科
都市計画、都市環境デザイン、スマートインフラ、エネルギー政策、AI都市管理などの融合研究。官民・国際連携も多数。

2- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院
都市のサステナビリティ評価、IoT・AIを用いたスマートインフラ設計、エネルギー・交通システム最適化。

3- 京都大学工学部・地球環境学堂
都市環境工学、都市再生、防災・減災、スマートグリッド、環境政策と都市政策の統合。

4- 横浜国立大学都市科学部
都市環境設計、グリーンインフラ、都市エネルギー・交通、スマートシティ実証研究が強み。

5- 名古屋大学工学部・環境学研究科
都市環境システム、交通計画、都市インフラ・防災工学、都市再生プロジェクト。

6- 千葉大学工学部・園芸学部
都市緑化・エコロジカルネットワーク、都市農業、気候変動適応型都市設計、スマート街区計画。

7- 大阪大学工学部・基礎工学部
都市情報工学、スマートモビリティ、防災都市設計、IoT応用の都市システム開発。

8- 九州大学工学部・総合理工学府
都市防災・減災、スマートエネルギー、気候適応型まちづくり、都市インフラ再生。

9- 筑波大学システム情報工学研究科・生命環境学群
都市交通・エネルギー・環境のシミュレーション、AI都市管理、持続型コミュニティ設計。

10- 神戸大学工学部・建築学科
都市デザイン、防災計画、スマート街づくり、ユニバーサルデザイン教育。

11- 明治大学理工学部・建築学科
スマートシティ政策、都市再生、交通ネットワーク、官民連携型実証研究。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 株式会社日立製作所（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
都市IoT・AIインフラ、スマートグリッド、防災・交通・エネルギー一体型都市ソリューション、官民協業プロジェクトも多数。

2- 株式会社NTT都市開発（日本）
NTTグループの都市開発専門会社。スマートビル、都市インフラ、エネルギー最適化型街区開発、スマートタウン事業を推進。

3- パナソニックホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
スマートホーム・街づくり、IoT家電・モビリティ、環境インフラ、街区再開発でリーダー。

4- 野村不動産ホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約1兆円（2025年6月）
都市再生・防災・スマートビル、都市型賃貸住宅開発、複合街区開発事業が強み。

5- 株式会社竹中工務店（日本）
大手ゼネコン。スマートビル建設、都市再開発、都市型防災インフラの設計・運営。

6- 鹿島建設株式会社（日本）
時価総額：約1.3兆円（2025年6月）
再生可能エネルギー導入型都市開発、グリーンインフラ、先端ICT施工管理を推進。

7- 国立研究開発法人建築研究所（日本）
都市環境・スマートシティ・災害都市設計の公的研究。官民連携・国際共同プロジェクトを牽引。

海外

1- Siemens AG（シーメンスアーゲー）（ドイツ）
時価総額：約17兆円（2025年6月）
世界有数のスマートシティ・インフラ、エネルギー最適化、都市型IoT技術で国際展開。

2- Schneider Electric SE（シュナイダーエレクトリックエスイー）（フランス）
時価総額：約15兆円（2025年6月）
都市インフラ・エネルギーマネジメントの世界大手。都市エネルギーのデジタル化・効率化でグローバルに活躍。

3- Cisco Systems, Inc.（シスコシステムズインク）（米国）
時価総額：約35兆円（2025年6月）
ネットワーク・IoT・都市AIインフラ、スマートシティの基幹技術で世界をリード。

13. 防災・減災とレジリエンス強化

　地震、津波、台風、洪水、豪雨、土砂災害、火山噴火など、自然災害のリスクは世界中で増大し続けています。さらに、都市化や気候変動の進行により、複合的な災害リスクが顕在化し、被害の甚大化・長期化も深刻な課題です。防災・減災は「災害を未然に防ぐ」「被害を最小限に抑える」「社会全体の復旧・復興力（レジリエンス）を高める」ための総合的な取り組みを指し、インフラ整備・ハザードマップ・予測技術・災害情報伝達・地域コミュニティの自助力強化など、多面的なアプローチが必要です。

　最新では、IoTやAIによる災害予測、ドローンや衛星による被害把握、都市インフラの自動監視、気候変動適応策、デジタル防災教育などが進み、官民連携・国際協力も不可欠となっています。企業、自治体、研究機関、市民が一体となって「災害に強い社会」を目指すことが人類の課題です。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・地球観測研究センター
地震工学、津波工学、気象・水文災害、都市防災、リスク評価など総合的な防災・減災研究を展開。JAXAや自治体、国際機関と共同研究が豊富。

2- 京都大学防災研究所・工学部
世界トップクラスの防災拠点。地震・水害・火山など多様な災害の総合研究、減災工学、災害情報システム開発。東南アジア等との国際連携も。

3- 東北大学災害科学国際研究所・工学部
震災復興、防災まちづくり、レジリエンス都市デザイン、災害医療、AI防災技術の実証研究に強み。

4- 名古屋大学環境学研究科・工学部
地震・豪雨・洪水・都市災害対策、災害リスク評価・政策提言、地域連携型防災教育が特色。

5- 大阪大学工学部・人間科学部
災害心理学、避難行動解析、防災インフラ設計、AI防災情報伝達、都市・地域レジリエンスの教育研究。

6- 千葉大学園芸学部・工学部
都市型防災、緑地・生態系を活かした減災技術、地域防災ネットワーク構築。地域密着型の実践教育。

7- 筑波大学生命環境学群・システム情報工学研究科
気象・水文災害、GIS・リモートセンシング、ICT防災、都市・農村レジリエンス強化。

8- 横浜国立大学都市科学部
都市の防災計画・インフラ設計、地震・水害対策、災害情報管理システム、実践型演習が強み。

9- 九州大学工学部・総合理工学府
気候変動と災害リスク、防災まちづくり、都市復興、デジタル防災・減災技術の研究。

10- 神戸大学工学部・都市安全研究センター
地震・津波・火山災害、危機管理政策、防災教育、防災計画・都市再生に強い。

11- 東京科学大学（旧・東京工業大学）環境・社会理工学院
都市災害対策、レジリエンス設計、AI・IoTによる防災インフラ研究が進む。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 清水建設株式会社（日本）
時価総額：約1.2兆円（2025年6月）
建設大手。耐震・免震構造、災害復旧技術、防災インフラ設計、AI活用の建設現場管理などで業界をリード。

2- 株式会社竹中工務店（日本）
大手ゼネコン。防災型建築、都市レジリエンス強化、災害対応型街区開発、海外でも防災プロジェクト多数。

3- 株式会社日立製作所（日本）
時価総額：約7兆円（2025年6月）
防災IoT・AIインフラ、気象・防災情報システム、災害対応型エネルギーシステム構築で実績。

4- 日本気象株式会社（日本）
気象・防災情報サービス最大手。官民・自治体向けの災害予測、情報提供、AI解析でリード。

5- 富士通株式会社（日本）
時価総額：約4兆円（2025年6月）
都市インフラ防災、AI防災予測、災害対応情報通信システム、自治体・企業向けクラウド防災サービス。

6- 国立研究開発法人防災科学技術研究所（日本）
防災科学研究、観測システム、実証実験、防災政策支援、公的研究の中核。

7- 国土交通省（日本）
国のインフラ・都市防災計画、防災政策の立案・実行、災害復旧事業の中核を担う行政機関。

海外

1- Munich Re Group（ミュンヘンレーグループ）（ドイツ）
時価総額：約6兆円（2025年6月）
世界最大級の再保険会社。自然災害リスク評価、防災型保険、気候リスクの国際標準策定でリーダー。

2- Swiss Re AG（スイスリーアーゲー）（スイス）
時価総額：約6兆円（2025年6月）
災害リスクマネジメント・復興ファイナンス・グローバル災害対応保険で世界トップクラス。

3- IBM Corporation（アイビーエムコーポレーション）（米国）
時価総額：約26兆円（2025年6月）
AI・クラウドを活用した防災シミュレーション、災害リスク評価、インフラのレジリエンス強化技術を展開。

14. 宇宙開発と地球観測

　宇宙開発は通信・ナビゲーション・地球観測・防災・気候変動対応など幅広い分野に不可欠となり、人類のフロンティア拡大を牽引しています。近年は、人工衛星・ロケット・宇宙探査・宇宙資源利用・月面開発・民間宇宙旅行など、政府機関と民間企業が連携する「ニュー・スペース」時代に入りました。また、地球観測衛星による気象・環境・災害・農業・漁業・都市管理のリアルタイムデータ活用、地球温暖化や自然災害の監視・予測も社会基盤となっています。

　一方で、宇宙ごみ・軌道管理・資源利用ルール策定・平和利用の推進、宇宙安全保障など新たな国際課題も増大。日本もJAXAや大学・企業連携による世界最先端の衛星・探査機・月惑星探査、AI画像解析、地球規模課題への貢献が進み、宇宙産業は今後も成長市場と注目されています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・新領域創成科学研究科（航空宇宙工学、宇宙理学）
人工衛星・ロケット設計、惑星探査、宇宙インフラ、地球観測AI、宇宙環境利用。JAXAやNASA等と連携した国際プロジェクトが豊富。

2- 東北大学工学部・理学部（航空宇宙工学）
宇宙機構造、推進工学、宇宙利用計画、地球観測・環境モニタリング、AI宇宙データ解析。

3- 京都大学工学部・理学部
宇宙環境利用、宇宙資源探査、地球観測衛星のデータサイエンス、宇宙政策・法制度研究。

4- 名古屋大学工学部・理学部
惑星科学、衛星リモートセンシング、地球・大気観測、宇宙ごみ管理、AI衛星画像解析。

5- 大阪大学工学部・基礎工学部
宇宙機システム設計、超小型衛星開発、宇宙通信、AIによる地球観測データ解析。

6- 九州大学工学部・理学部
ロケット推進、宇宙輸送、惑星探査、衛星観測技術、宇宙システム工学。

7- 宇宙航空研究開発機構（JAXA）連携の全国大学院
産学官連携で宇宙科学・工学の先端研究。東大・東北大・名古屋大・北海道大などが主な拠点。

8- 千葉工業大学惑星探査研究センター・未来ロボティクス学科
民間衛星・探査機開発、宇宙ロボット、地球観測AI応用、宇宙ビジネス教育が強み。

9- 東海大学工学部航空宇宙学科
民間宇宙産業連携、衛星運用・データ活用、地球観測、ロケット設計。

10- 東京科学大学（旧・東京工業大学）工学院・地球生命研究所
宇宙機工学、宇宙生命科学、AI衛星観測、宇宙資源開発など最先端教育。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 三菱重工業株式会社（日本）
時価総額：約1.8兆円（2025年6月）
ロケット・人工衛星・宇宙機器開発のリーダー。H-IIA/Bロケット、月・惑星探査ミッション等で実績。

2- 宇宙航空研究開発機構（JAXA）（日本）
日本の宇宙開発・衛星運用・宇宙科学研究の中核機関。多様なプロジェクト・産学官連携を展開。

3- NEC（日本電気株式会社）（日本）
時価総額：約1.3兆円（2025年6月）
人工衛星・地球観測システム、衛星搭載AI・リモートセンシング事業を国際展開。

4- ソニーグループ株式会社（日本）
時価総額：約17兆円（2025年6月）
衛星搭載カメラ、AI画像解析、民間宇宙ビジネスへの進出で注目。

5- パナソニックホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
宇宙用電池、AI通信、地球観測システム、衛星搭載センサー技術で国際競争力。

6- IHIエアロスペース（日本）
時価総額：IHI全体で約1.5兆円（2025年6月）
ロケット・推進システム、超小型衛星・軌道投入技術など宇宙産業の中核。

7- 株式会社アストロスケール（日本）
民間宇宙ごみ除去ベンチャー。世界初の商業的デブリ除去サービスを実用化し国際的評価。

海外

1- SpaceX（スペースエックス）（米国）
時価総額：約20兆円（2025年6月、推定）
民間宇宙開発のリーダー。再利用ロケット・衛星通信網「スターリンク」など宇宙商業化で革新。

2- Airbus SE（エアバスエスイー）（欧州）
時価総額：約17兆円（2025年6月）
宇宙・防衛機器・地球観測衛星・宇宙ビジネス拡大。衛星運用・地球観測データ提供で先進。

3- Planet Labs PBC（プラネットラブズピービーシー）（米国）
時価総額：約4,000億円（2025年6月）
超小型衛星による地球観測画像サービス世界最大手。環境・農業・都市管理にデータ提供。

15. 交通・物流の脱炭素化

　世界のCO₂排出量のうち交通・物流分野は約4分の1を占めており、気候変動対策の柱として「脱炭素化」が急務となっています。自動車・鉄道・航空・海運などすべてのモビリティにおいて、再生可能エネルギーや電動化、燃料電池、AIによる最適化、MaaS（Mobility as a Service）といったイノベーションが進みつつあります。物流では、電動トラック・自動配送ロボット・ドローン、サプライチェーンの最適化、グリーン輸送への転換、ラストワンマイル問題の解決も重要です。

　また、交通・物流インフラのデジタル化、スマートシティとの連携、カーボンフットプリントの可視化や「サステナブル物流」認証の導入が進展。日本国内でも水素鉄道・バイオ燃料・電動バス、AIルート最適化、都市部のシェアモビリティなど新しい試みが次々と実証されています。脱炭素型社会の実現には、業界・政策・消費者の連携が不可欠です。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学工学部・新領域創成科学研究科（交通・都市工学）
電動モビリティ、スマート交通システム、MaaS、都市物流の最適化、交通政策、カーボンニュートラル化のリーダー的研究拠点。

2- 東京科学大学（旧・東京工業大学）工学院・環境・社会理工学院
電動車両、鉄道・自動車の再生可能エネルギー化、AI交通制御、次世代物流インフラ設計に強み。

3- 京都大学工学部・地球環境学堂
公共交通・新エネルギー鉄道、都市物流の環境適応、省エネ車両、サステナブル都市交通。

4- 名古屋大学工学部・環境学研究科
自動運転、次世代都市交通、グリーン物流技術、スマートサプライチェーン研究。

5- 大阪大学工学部・基礎工学部
自動車工学、電動モビリティ、都市交通最適化、省エネ・排出削減技術、AI交通予測。

6- 九州大学工学部・総合理工学府
次世代輸送システム、電動化インフラ、水素・バイオ燃料応用、モビリティイノベーション教育。

7- 東北大学工学部・環境科学研究科
都市交通・鉄道エネルギー最適化、交通ビッグデータ解析、低炭素都市交通設計。

8- 横浜国立大学都市科学部
都市物流・交通システム、電動化・自動運転、都市交通インフラ設計・運用の実践的研究。

9- 筑波大学システム情報工学研究科
交通工学、AIルート最適化、都市物流シミュレーション、サステナブル物流管理。

10- 千葉大学工学部・園芸学部
都市交通グリーン化、電動モビリティ、都市・農村物流最適化、都市農業物流の新展開。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- トヨタ自動車株式会社（日本）
時価総額：約55兆円（2025年6月）
世界最大の自動車メーカー。電動車・燃料電池車・自動運転、モビリティ社会のカーボンニュートラル化を主導。

2- 東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）（日本）
時価総額：約3.5兆円（2025年6月）
鉄道の電化・水素化、省エネ車両・駅設備、AI交通制御、スマートシティ交通インフラを推進。

3- 日本通運株式会社（日本）
時価総額：約2.5兆円（2025年6月）
物流大手。グリーン物流、電動トラック・自動配送システム、国際サステナブル物流ネットワーク構築。

4- ヤマトホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約8,000億円（2025年6月）
宅配最大手。ラストワンマイル電動配送、自動化物流拠点、CO₂削減型物流の先駆者。

5- 川崎重工業株式会社（日本）
時価総額：約1兆円（2025年6月）
鉄道車両・船舶・航空機の電動化、水素燃料適用、環境配慮型交通機器開発。

6- パナソニックホールディングス株式会社（日本）
時価総額：約5兆円（2025年6月）
車載電池、物流ロボット、スマート交通インフラ、EV・物流の脱炭素化ソリューション展開。

7- 国立研究開発法人産業技術総合研究所（AIST）（日本）
交通・物流分野の脱炭素化、次世代エネルギー応用の公的研究・社会実装を担う。

海外

1- Tesla, Inc.（テスラ）（米国）
時価総額：約100兆円（2025年6月）
電気自動車・電池技術の世界的リーダー。自動運転・物流電動化、グリーンモビリティ社会を先導。

2- Deutsche Post DHL Group（ドイチェポストディーエイチエルグループ）（ドイツ）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
世界最大級の物流会社。EVトラック・自動倉庫・CO₂可視化サービス等、グリーン物流を世界で展開。

3- BYD Company Limited（ビーワイディーカンパニーリミテッド）（中国）
時価総額：約13兆円（2025年6月）
電動バス・商用車・バッテリーで世界最大手。アジア・欧州・米国で脱炭素型交通システムを拡大。

16. グローバル・ガバナンスと国際協力

　現代の地球社会は、気候変動、感染症、経済危機、サイバー攻撃、難民問題、武力紛争など、国家の枠を超えた課題に直面しています。これらのグローバルイシューの解決には、国際連携による「グローバル・ガバナンス（国際的協調と秩序形成）」が不可欠です。各国政府だけでなく、国際機関・多国籍企業・NGO・市民社会が連携し、普遍的ルールづくり・リスク管理・資源配分・人権擁護など、多層的な協力体制を築くことが求められます。

　近年はSDGs（持続可能な開発目標）を軸に、環境・人権・平和・経済の分野横断的なガバナンス体制が発展。AI時代の国際ルール形成、感染症対策の情報共有、グローバルサプライチェーンの安定化、金融・貿易の透明性確保なども重要テーマです。日本は国連加盟国として多くの国際枠組みで主導的役割を担っています。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学法学部・公共政策大学院・総合文化研究科
国際法、国際政治、国際経済、国際協力論、国際機構論、グローバルガバナンス政策。国連や世界銀行等と連携した教育・研究も充実。

2- 京都大学法学部・公共政策大学院
国際法・国際組織、開発協力、環境ガバナンス、平和構築、SDGs政策論、実務家教員による多国間交渉演習。

3- 早稲田大学政治経済学部・国際教養学部
国際関係論、グローバル・ガバナンス、持続可能性ガバナンス、国際開発、NGO/NPO論が特色。

4- 慶應義塾大学法学部・総合政策学部
国際制度設計、外交政策、グローバルリーダーシップ、多国間協力論。国際政策実習も豊富。

5- 一橋大学法学部・社会学部
国際社会論、平和・人権ガバナンス、国際NGO協働政策、比較法制度分析が強み。

6- 上智大学国際教養学部・法学部
国際法・国際人権、国際協力政策、グローバル市民社会、開発政策、国連職員養成コースも設置。

7- 大阪大学法学部・国際公共政策研究科
国際組織論、国際行政、危機管理、アジア・グローバル協力政策。多国間連携の現地実習。

8- 名古屋大学法学部・国際開発研究科
開発ガバナンス、国際援助・協力政策、国際平和構築の教育・研究。

9- 九州大学法学部・地球社会統合科学府
国際制度設計、国際経済秩序、アジア地域協力、多文化共生社会の研究。

10- 筑波大学国際総合学類・社会国際学群
国際協力論、開発政策、持続可能性ガバナンス、現場実習型プログラム。

11- 国際基督教大学（ICU）教養学部
国際関係学、グローバルスタディーズ、SDGs教育、NGO・国際機関連携実習。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 外務省（日本）
国際交渉・外交政策・国連分担金拠出・二国間協力等、日本のグローバルガバナンス・国際協力を担う中心的行政機関。

2- 国際協力機構（JICA）（日本）
開発援助・人材育成・政策提言・SDGs推進。アジア・アフリカ等で現地プロジェクト展開。

3- 国連大学（UNU）（日本・国際）
国連直轄の研究・人材育成機関。グローバルガバナンス・SDGs・平和研究など国際社会に知見を提供。

4- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社（日本）
時価総額：親会社MUFG 約13兆円（2025年6月）
国際開発・政策分析・サステナビリティコンサル、官民連携プロジェクトを推進。

5- 日本貿易振興機構（JETRO）（日本）
貿易政策・国際ビジネス支援・新興国市場開拓・国際経済協力。

6- 日本国際交流センター（JCIE）（日本）
民間外交・国際協力推進シンクタンク。政策提言・国際市民社会交流に強み。

7- 公益財団法人日本国際協力センター（JICE）（日本）
国際人材育成、研修・留学生受入、国際協力推進・SDGs事業。

海外

1- United Nations（ユナイテッドネイションズ：国際連合）（国際機関）
時価総額：該当なし（国際機構）
国際平和・安全保障・人権・環境・人道援助の世界最大組織。日本含む加盟国193カ国。

2- World Bank（ワールドバンク／世界銀行）（国際機関）
時価総額：該当なし（国際開発金融機関）
途上国開発援助、SDGs推進、金融・インフラ・社会開発の政策提言・融資。

3- International Committee of the Red Cross（インターナショナルコミッティーオブザレッドクロス／国際赤十字委員会）（スイス）
時価総額：該当なし（国際人道支援団体）
紛争・災害時の人道支援、国際法遵守・人権保護、世界有数のグローバルNGO。

17. デジタル経済と働き方の未来

　デジタル技術の進化により、経済構造や働き方は劇的に変化しています。AI、IoT、クラウド、ブロックチェーン、ロボティクスなどを活用した「デジタル経済」は、企業活動・雇用・教育・社会生活の全てに影響を与えます。リモートワークや副業解禁、シェアリングエコノミー、フリーランスの増加、ギグワーク（単発仕事）、ノマドワークなど多様な働き方も拡大。

　一方で、デジタル格差、雇用の自動化による仕事の喪失、不安定就労、個人情報保護、AI倫理、ワークライフバランスなど新たな社会課題も浮上しています。企業や社会は、①デジタル人材の育成、②リスキリング（学び直し）、③働き方改革・多様化支援、④雇用セーフティネット整備、⑤デジタルプラットフォームガバナンス、⑥女性・高齢者・障害者の活躍支援など、多面的な取り組みが求められます。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学経済学部・工学部・情報理工学系研究科
デジタル経済政策、ITイノベーション、AIと産業変革、雇用・社会制度の研究、企業・官庁連携実践が豊富。

2- 慶應義塾大学環境情報学部・政策・メディア研究科
ICT・AI・ビッグデータ活用、イノベーション経営、デジタル社会政策、起業・働き方の多様化支援に強み。

3- 東京科学大学（旧・東京工業大学）情報理工学院・工学院
デジタルシステム設計、IoT・AIビジネス、産業デジタル化、データサイエンス教育。

4- 早稲田大学商学部・社会科学部・情報生産システム研究科
デジタル社会の経済分析、働き方改革、シェアリングエコノミー、起業論。

5- 一橋大学経済学部・商学部
ITビジネス、デジタル経済政策、企業経営と組織変革、リーダーシップ育成。

6- 京都大学経済学部・情報学研究科
情報産業政策、AIと社会、雇用・労働研究、デジタル時代の人間社会設計。

7- 大阪大学経済学部・基礎工学部
IoT・ロボティクスと産業、AI・ビッグデータ解析、働き方・産業構造の研究。

8- 名古屋大学経済学部・情報学部
ICT政策、イノベーションと社会、企業DX（デジタルトランスフォーメーション）実践。

9- 筑波大学社会国際学群・情報学群
デジタル社会論、テレワーク研究、IT活用による多様な働き方・地域活性化。

10- 神戸大学経営学部・経済学部
IT経営、AI・デジタル人材育成、ワークライフバランス政策。

11- 東北大学情報科学研究科・経済学部
IT・AI応用、産業構造変革、デジタル社会インパクト分析。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- ソフトバンクグループ株式会社（日本）
時価総額：約18兆円（2025年6月）
通信・AI・IoT・ロボティクス・デジタル人材育成に強み。新産業創出、フレキシブルな働き方支援でもリード。

2- 楽天グループ株式会社（日本）
時価総額：約1.4兆円（2025年6月）
EC・フィンテック・AI・データ分析など多角展開。デジタル経済インフラと多様な雇用モデルを提供。

3- 株式会社リクルートホールディングス（日本）
時価総額：約11兆円（2025年6月）
人材プラットフォーム、IT活用の働き方改革支援、フリーランス・副業支援で業界を牽引。

4- 株式会社サイボウズ（日本）
時価総額：約1,500億円（2025年6月）
グループウェア・クラウドサービス開発。テレワーク・多様な働き方制度で注目。

5- 株式会社パーソルホールディングス（日本）
時価総額：約7,000億円（2025年6月）
人材派遣・IT就労支援、リスキリング・女性・高齢者の活躍支援サービス。

6- freee株式会社（日本）
時価総額：約2,000億円（2025年6月）
クラウド会計・バックオフィス自動化、SMB向けデジタル化・副業支援で高成長。

7- 国立研究開発法人産業技術総合研究所（AIST）（日本）
デジタル経済、AI活用、働き方の未来研究、公的研究機関の中核。

海外

1- Google LLC（グーグルエルエルシー）（米国）
時価総額：約300兆円（2025年6月）
クラウド・AI・モバイル・デジタルワーク、働き方変革、情報インフラ世界最大手。

2- Microsoft Corporation（マイクロソフトコーポレーション）（米国）
時価総額：約400兆円（2025年6月）
クラウド・AI・働き方改革、DX推進、全世界のデジタル経済基盤・リモートワークリーダー。

3- Amazon.com, Inc.（アマゾンドットコムインク）（米国）
時価総額：約250兆円（2025年6月）
EC・クラウド・AI・物流自動化、ギグワーク、働き方多様化のグローバルリーダー。

18. 生命科学・医療技術の進歩と倫理

　ゲノム編集、再生医療、AI診断、ビッグデータ医療、個別化治療、ロボット手術、遠隔医療、バイオセンサーなど、生命科学と医療技術はかつてないスピードで進化しています。これらの革新は、がん・遺伝病・難病・感染症など多様な疾病の治療・予防・健康管理を劇的に変え、人類のQOL（生活の質）向上に貢献しています。

　一方で、個人遺伝情報のプライバシー・差別、デザイナーベビー、医療AIの責任・説明性、生命倫理、医療アクセス格差など新たな社会・倫理課題も拡大。技術進歩を人類全体の幸福につなげるには、①倫理・法制度の整備、②市民参加・対話、③患者の自己決定権尊重、④公正な医療資源分配、⑤グローバル連携・ルール形成が不可欠です。

この分野を学べる日本の大学・学部

1- 東京大学医学部・理学部・工学部・公共政策大学院
先端医療・ゲノム編集・AI医療・生命倫理・医療政策まで総合的に学べる。国内外の研究機関や企業・政府との連携も多数。

2- 京都大学医学部・iPS細胞研究所（CiRA）・公共政策大学院
再生医療、ゲノム編集、バイオエシックス、医療AI、生命倫理政策研究の世界拠点。

3- 慶應義塾大学医学部・理工学部・政策・メディア研究科
ロボット手術、医療AI、医工連携、生命倫理・医療法、医療イノベーション政策。

4- 大阪大学医学部・工学部・生命機能研究科
遺伝子治療、先端バイオ医薬、医療情報学、患者参加型医療、バイオエシックス教育。

5- 東北大学医学部・歯学部・医工学研究科
再生医療、個別化治療、AI診断技術、医療倫理、医療機器開発。

6- 九州大学医学部・生体防御医学研究所
ゲノム・免疫・感染症・再生医療・生命倫理・臨床倫理を融合的に学べる。

7- 名古屋大学医学部・工学部
創薬・再生医療・医療AI・倫理教育・法政策、医療機器開発も推進。

8- 筑波大学医学群・人間総合科学学術院
生命倫理、医療AI、医療経済、先端バイオ技術と社会の接点を学際的に。

9- 神戸大学医学部・理学部
先端医療・がん研究・医療倫理・AI診断・創薬開発、医療人育成も重視。

10- 千葉大学医学部・理学部
医療バイオ・AI・再生医療・倫理教育、地域医療・社会実装も含めて学べる。

11- 順天堂大学医学部・生命科学研究科
医療AI・再生医療・創薬・生命倫理・健康政策、臨床と基礎研究を統合。

主な就職先（国内7／海外3）

国内

1- 武田薬品工業株式会社（日本）
時価総額：約7.2兆円（2025年6月）
グローバル創薬リーダー。ゲノム編集・個別化治療・再生医療分野で最先端。

2- 第一三共株式会社（日本）
時価総額：約5.8兆円（2025年6月）
がん・感染症治療薬・遺伝子医薬の研究開発。AI創薬や倫理対応も進展。

3- シスメックス株式会社（日本）
時価総額：約2.8兆円（2025年6月）
検体検査AI・個別化医療機器、バイオデータ活用、医療技術と倫理ガバナンスの先端。

4- オリンパス株式会社（日本）
時価総額：約3兆円（2025年6月）
医療機器、内視鏡AI診断、ロボット手術機器開発でグローバルに展開。

5- 中外製薬株式会社（日本）
時価総額：約10兆円（2025年6月）
抗体医薬・バイオテクノロジー医薬品の先駆者。個別化治療・AI医療に注力。

6- 国立研究開発法人理化学研究所（RIKEN）（日本）
先端生命科学・再生医療・医療AI・倫理ガイドライン策定など公的研究の中核。

7- 国立研究開発法人国立成育医療研究センター（日本）
小児医療・遺伝子診断・生命倫理・医療政策研究、臨床と社会の橋渡しを担う。

海外

1- Johnson & Johnson（ジョンソンアンドジョンソン）（米国）
時価総額：約70兆円（2025年6月）
世界最大級の医療・ヘルスケア企業。AI診断・バイオ医薬・再生医療でリード。

2- Novartis AG（ノバルティスアーゲー）（スイス）
時価総額：約30兆円（2025年6月）
がん・遺伝子・バイオ医薬品、AI創薬、生命倫理ガバナンスで世界を牽引。

3- World Health Organization（ワールドヘルスオーガニゼーション／WHO）（国際機関）
時価総額：該当なし
生命科学・医療倫理・グローバルヘルス政策の国際標準策定・普及に中核的役割。

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2025年6月2日