先日、とある高校生に中間テストの結果を聞いたところニコニコしながら「めちゃできました!」と言ってくれたので、講師陣で大喜びしていました。東京で頑張られている濵田先生も含め、私たち講師陣はとにかく生徒を褒めるタイプで、「自己肯定感」を高めるにはどうしたらいいかと考える人間です。
※ 自己肯定感とは、自分の存在には価値があると思うこと。
世間的には学習塾では勉強さえ教えてくれればいいと思われているかもしれませんが、ある程度の目標を達成しようとした場合、塾以外での学習習慣をどう身につけるかがとても重要です。目標を設定してこれを継続してやりきれる子供と、やりきれない子供の差はこの「自己肯定感」をはじめとした、幼少期から身につけてきた本人の気質によるところだということが近年の研究で分かっています。そこで今回は、私がどのような認識のもとで子供たちに接し、なぜ努力を賞賛するのかを書き綴りたいと思います。
貧困率が日本の4倍と言われているアメリカでは、裕福な家庭とそうでない家庭での教育格差がひどく深刻化しており、ある意味日本の先を行っているため参考にできるところが多くあります。そのアメリカで近年教育に特に重要視されているのが、学力や偏差値といったわかりやすい数値を伸ばすことよりも、「挑戦を恐れず、物事を継続して取り組むことのできる子供」をどう育てるかということです。
意欲的で挑戦を恐れず物事を継続できる子供は、将来的に学歴・年収が高く、創造的で、犯罪率も低いなど、より良い人生を送ることができる傾向が高いということが分かってきたからです。
(そしてこの能力は発達段階のなるべく早い時期から取り組むべきであり、この教育格差がのちの子供たちの人生に大きな影響を与えているということも分かっています)
受験をはじめ、子供たちには人生の岐路とも言える「努力をしなければならない場面」がいくつも訪れます。結論を言ってしまうと、この時に長期的な目線に立って目の前の誘惑を断ち切り、挑戦を行えるかは「家庭を中心とした周囲の環境が安定しているか」にかかっています。
教育についての環境というと、我々はすぐに裕福な家庭がお金をかけて整備するようなきらびやかな環境を想像しますが、研究により、このことより遥かに重要なことは、周囲の大人が子供の精神に「ストレス」をかけず、その子を尊重し、ささいな努力にも価値を認めることであるようです。逆に、周囲の環境が荒れており、幼い頃から否定され、自己肯定感の低い子供は、失敗を恐れ常に周囲を警戒を感じながら生きていくことになります。
・挑戦や継続を拒む、失敗を極度に恐れる
・ほんの少し軽く扱われただけで失望や怒りを感じる
・周囲の人間関係を常に警戒している
上記のような行動は多かれ少なかれ誰しもが経験することですが、周囲の環境が安定している子供ほどその傾向が少なく、「失敗してもどうでもいい」というような楽観主義者であることが知られています。
実際、挑戦は周囲からの評価を受けることを避けることができませんが、この時に「失敗しても家族や周りが守ってくれる」という、心の余裕が挑戦への後押しとなります。挑戦の回数が多い子供は良い結果を残すことは明らかです。挑戦し継続することでさらなる評価を得、「自分はできる。仮に失敗してもいい」という感覚はさらに難しく継続が必要な課題への取り組みを促します。
みや塾の子供たちには、あらゆる問題に挑戦し、継続的に取り組み目標を達成する人間に成長してほしいです。
人間には本来的に、好奇心からくる挑戦への意欲が本能的に組み込まれています。もしかしたら、それを奪うことになるのは周囲の大人の何気ない行動・言葉かもしれないということを認識した上で、子供たちが何事にも恐れず挑戦できる心の余裕を持ってくれるような環境づくりに努めたいと思っています。「褒めること」を大事にしているのは、以上のような考え方からでした。